呉清源 極みの棋譜
美しき天才の、静かなる孤独
2006年/中国/カラー/107分/ 配給: エスピーオー
2008年07月02日よりDVDリリース 2007年11月17日(土)より、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
(c)2006,Century Hero,Yeoman Bulky Co
公開初日 2007/11/17
配給会社名 0116
解説
あなたは、まだ知らない———永遠に語り継がれるべき、史上最強の天才
昭和3年、中国から来た14歳の少年。その澄んだ瞳の奥には、「何百年に一度」と言われる才能が秘められていた・・・。ノーベル賞作家・川端康成も敬愛した、実在する囲碁界の至宝・呉清源。日中戦争前の日本に帰化し、国籍や人生を変えてまで囲碁を打ち続ける彼が、清源の如く澄んだ瞳で捉えた<昭和>とは———。『呉清源 極みの棋譜』は、数奇なる運命に導かれながらも、囲碁の追究に人生を捧げる呉清源の、波瀾と孤独の半世紀を描いたドラマである。
中国第五世代の巨匠・田壮壮、4年ぶりの新作!
現在も神奈川県小田原市で囲碁の研究を続ける呉清源の半生を映画化したのは、中国第五世代を代表する田壮壮。『盗馬賊』で鮮烈な印象を残し、その後『青い凧』で93年東京国際映画祭グランプリに、『春の惑い』で2002年ヴェネチア国際映画祭コントロコレンテ部門に輝いた巨匠が約4年ぶりにメガホンを取った。映画化のきっかけは『中の精神』をはじめとした呉清源の自伝。中国で翻訳出版されているそれらを読んで感動した田壮壮は、3年以上もの準備期間を経て撮影。呉清源と数え切れないほどの対話を重ねながら、天才の知られざる内面を、深い共感と尊敬を込めて映像化し、2007年度上海国際映画祭で最優秀監督賞と最優秀撮影賞を受賞した。
<東洋の美>チャン・チェンが、美しき天才を熱演!
当時のトップ棋士をことごとく打ち込み、長らく日本囲碁会の頂点に君臨した呉清源。華やかな棋風と抜群の戦績で、男は彼の才能に、女は彼の美しさに夢中になった・・・。そんなカリスマを演じたのは、台湾の俳優、チャン・チェン。<東洋の美>を体現した完璧に整った顔立ちと、物静かで優雅な佇まい。会った瞬間から「彼しかいない」と田壮壮に感じさせたオーラを発す彼は、呉清源の家に住み込んで彼の細かな癖までも習得。若き呉清源を知る人から「30歳代の呉さんにそっくりだ」と言われるほど、呉清源になり切った。
<失われた日本>を再現させた豪華なる日本人スタッフ・キャスト
一方、撮影のほとんどが日本語、日本ロケで行われた本作には、日本からも最高レベルのスタッフ・キャストが集結した。衣装デザインとプロダクション・デザインを手掛けるワダエミは、田壮壮と共に当時の雰囲気を細部に至るまで徹底追及。結果、田壮壮がイメージしたという昭和最高の写真家、木村伊兵衛の作品を彷彿させる<失われた日本>の美を見事に再現した。また、俳優陣も柄本明、松坂慶子、伊藤歩、仁科貴、南果歩、野村宏信、大森南朋はじめ、実に豪華な顔ぶれが揃い、繊細かつ格調高い映像美の中でそれぞれの個性を放っている。日中国交正常化35周年となる今年、孤独を抱えながらも自分にとっての真理を探し続ける呉清源の生き方は、あなたの心に深く刻み込まれるに違いない———。
ストーリー
呉清源の自宅で、90歳の呉清源と妻の和子、そして、チャン・チェンと伊藤歩が談笑している。話に花が咲く4人。穏やかな時間が流れている———
呉清源は、1914年(大正3年)、中国の福建省に生まれ、その後、北京に移り住んだ。7
歳から囲碁を学び始め、たちまち「天才少年」と呼ばれるようになる。日本囲碁の重鎮、瀬越憲作は、江戸末期の棋聖、本因坊秀策の再来と評し、彼を日本に呼ぶために尽力する。
そして1928年, 呉清源は母と兄と共に日本に渡った———
呉清源は、盟友、木谷実と共に従来の常識を覆す「新布石」を提唱。昭和囲碁界に新風をもたらし、一大ブームを起こす。トーナメントで勝ち抜き、最高段位の本因坊秀哉名人への挑戦権を得る呉清源。読売新聞社長の正力松太郎は、「日中対決」の好カードに大喜び。さらに呉清源は伝統を重んじる本因坊一門を激怒させる奇抜な打ち方をし、対局は日中戦の色合いを深めていく・・・。
1935年、精神的な支えだった西園寺公毅が他界。激しい勝負の世界に身を置く呉清源は、翌の36年の4月、日本国籍を取得し、棋院の昇段試合では8戦全勝する。しかし、結核が再発し、富士見療養所への入院を余儀なくされる。富士見へは喜多文子や川端康成らが呉清源を見舞いに訪れた。
秀哉名人が引退し、呉清源と木谷実は日本囲碁界の最強者となる。そして読売新聞は両者による「打ち込み十番碁」を企画する。日中情勢が悪化する中、呉清源の家には反日派から脅迫文が送られるようになる。しかし苦戦続きの果て、呉清源は劣勢を挽回し、勝利を収める。
喜多文子と共に道場を訪れた呉清源は、道場に通う19歳の少女、中原和子を紹介される。以降、道場で呉清源と和子は顔を合わせるようになった。一方、時代は戦争を向かえつつあり、呉清源の母や妹は帰国を余儀なくされ、呉清源は一人、日本に残る。翌年、呉清源は中原和子と結婚した。
入隊の身体検査を受けるが、呉清源は古い肺病のため懲役を免除される。戦局が悪化し、瀬越は本因坊の試合を故郷、広島で実施することに決める。呉清源にも東京を離れるよう説得するが、呉清源は道場のために囲碁を捨てるつもりだと言い、瀬越を激怒させる。空襲警報が鳴る中、道場の人々と非難する呉清源だが、新居も大空襲で全壊。皆がパニックに陥る中、彼らの指揮を取ったのは信者の一人、長岡良子だった。翌年、広島で本因坊戦が行われた。その中、広島に原爆が落とされる。瀬越の息子は原爆の犠牲をなり、そして戦争は終結した・・・
スタッフ
監督:ティエン・チュアンチュアン
脚本:アー・チョン
プロダクションデザイン:ワダエミ
衣装デザイン:ワダエミ
キャスト
チャン・チェン
柄本明
シルビア・チャン
伊藤歩
仁科貴
大森南朋
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