原題:James’ Journey to Jerusalem

2003年イスラエル作品 / 87分 / カラー / 英語+ヘブライ+ズールー(日本語字幕:落合寿和) 配給:ラウンドテーブル・シネマ、アップリンク

2007年10月26日よりDVDリリース 2007年6月23日(土)より渋谷アップリンクX、大阪シネ・ヌーヴォXにて公開

公開初日 2007/06/23

配給会社名 0829/0009

解説


聖者から資本主義の悪魔へ?純朴な青年ジェイムズ試練の旅。
果たして彼は“聖地”へたどりつけるのか?
とあるアフリカの村で次期牧師に任命された若者ジェイムズは聖地エルサレムへ巡礼に行く道中、予期せぬ事件に次々と巻き込まれて行く。黒人だという理由で“不法労働者”として働かされるハメになったジェイムズは、資本主義が蔓延し物質が溢れるイスラエルで、次第にマネー・ゲームのルールを学んで行くが…搾取する側、される側。果たして彼は“約束の地”エルサレムにたどり着けるだろうか…?アイロニーとユーモアを込めて描く、イスラエルのオモテとウラ。
アカデミー賞ノミネート作品『パラダイス・ナウ』のイスラエル人共同プロデューサー、アミール・ハレルが手がけた、ジェイムズと行く現代のスピリチャル・ジャーニー。

“約束の地”と“資本主義”
この映画はイスラエルの社会的背景を見せながら、ジェイムズを通してスピリチャルな精神世界を対比させている。映画が進むにつれ、そこに資本主義とモラルという普遍のテーマを発見し、同時にそれは世界共通であろう事に気づいていく。映画ではまた家族の土地問題も扱われ、日本の土地バブルを思い起こさずにはいられない。そして最後には映画に描かれる全てが、とても私たちと似ている事に気づく。この気づきをしっかりと観る者に伝えるためにジェイムズが存在する。

エルサレムは3大宗教 、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地であり、世界から毎年約200万人以上の巡礼者、観光客が訪れている。1948年に建国されたイスラエルは 地中海に面し、回りはエジプト、ヨルダン、シリア、レバノンに囲まれヨーロッパとアジアとアフリカの接点となっている。日本の戦後復興と時期を近くしてか、映画にでてくる 建物がかなり日本に似ている事に気づくだろう。人口は約700万人、国内の宗教構成としてはユダヤ教約80%、イスラム教17%、キリスト教2%との割合らしい。もともと歴史的にユダヤ人は土地を持てなかった事から、処世術が磨かれてきた。その一つが誰もがイメージする彼らの金銭感覚といえる。そしてその恩恵を受けようと、イスラエルには約50万人の不法労働者が住んでいる。

ストーリー



青年ジェイムズが聖なる地、エルサレムへの巡礼で遭遇したものは?
敬虔なクリスチャンで、純真無垢な心の青年ジェイムズはアフリカの小さな村の出身。
村で次期牧師に任命され、皆の期待を一身に背負い、聖なる地エルサレムへと名誉ある巡礼の旅に出かける。期待に胸を膨らませ空港に降り立ったジェイムズだが、入国審査で思わぬハプニングが!ジェイムズを不法労働が目的だと決めつけた女性係官に「アメリカかドイツ、フランスへ行って働きなさい。ここは神に見離されているわ」と突き放されてしまう。結局、パスポートを押収され留置場へ放り込まれてしまった。

その後、ジェイムズは釈放されトラックで外国人労働者の共同部屋へ連れていかれる。
「これでエルサレムへ行ける」と喜んだのもつかの間、ジェイムズは身に覚えのない保釈金の借金を負わされ、働かされるハメに。

薄暗い共同部屋に住みながら、朝から晩まであちこちへ駆り出され掃除をして回るジェイムズ。これも神様が与えてくれた試練だと固く信じて真摯に働くジェイムズは、仕事の報酬を受取るのを断り、「ラクダが針の穴を通るより、金持ちが天国へ行くのは難しい」と言い放つ。

他人を利用し、賢い者が勝つ資本主義社会の中で、ジェイムズはブラックマーケットのルールを徐々に理解していき、ずる賢さを身に付けていく。近代的な経済、高層ビル、ショッピング街といった資本主義的欲望が渦巻くイスラエルの顔に目を奪われ、彼の“聖地”エルサレムは心の中でどんどん遠くなる一方だ。搾取される側から、搾取する側へ。目的を忘れかけたジェイムズは、果たして約束の地、エルサレムにたどり着けるのだろうか……。そこには皮肉な結末が待っていた。

スタッフ

監督:ラアナン・アレクサンドロヴィッチ
プロデューサー:アミール・ハレル
脚本:ラアナン・アレクサンドロヴィッチ、サミ・デュニアス
撮影:シャロン・デ・メイヨ
編集:ロン・ゴールドマン
美術:アミール・ドヴ・ピック
衣装:マヤ・バースキー
録音:デヴィット・リス
音楽:ローナン・ネェゲル

キャスト

シアボンガ・シブ、
サリム・ダウ、
アリー・エリアス、
サンドラ・ショーンワルド

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