この広い草原の向こうには何があるのかな? どこまでも続く青い空と緑の大地 好奇心いっぱいの少年たちが繰り広げる モンゴル版『トム・ソーヤーの冒険』、登場!

第18回東京国際映画祭・アジアの風出品作品 第55回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品作品

2005年/中国(内モンゴル)/105分/カラー/ドルビーSR/ヴィスタ・サイズ(1:1.85)/35mm モンゴル語/原題:緑草地 配給:ダゲレオ出版(イメージフォーラム・フィルム・シリーズ)/宣伝:グアパ・グアポ

2007年4月28日(土)、シアター・イメージフォーラムにてロードショー

©BAVARIA FILM INTERNATIONAL presents a KUNLUN BROTHER FILM & TV PRODUCTIONS LTD.

公開初日 2007/04/28

配給会社名 0413

解説


 壮大なスケールで描く、少年たちの小さな冒険
 ある日、川に流れてきたそれまで見た事もない真っ白なボール。大人たちに聞いても誰も知らないその謎の球を追って、少年ビリグとその友だちの3人はモンゴルの大地を馬とバイクに乗って駆け抜ける。目指すは、北京—。
 『モンゴリアン・ピンポン』は、誰もが身に覚えのあるどこか懐かしい子供時代の冒険譚。大きなこころざしを持って出かけたけれどやがて募ってくる不安な気持ちや、「わかってくれない」大人たちへの口に出せない反発心、やがて訪れる友との別れといった、私たち一人一人が心のどこかにしまった気持ちが、内モンゴルで暮らす少年たちの日常を通してよみがえる。
 子供たちの小さな冒険と成長を描いた『冬冬の夏休み』(侯孝賢監督)や『友だちのうちはどこ?』(アッバス・キアロスタミ監督)に連なる、少年冒険映画の最新版が誕生した。

 若き俊英監督を魅了したモンゴルの自然と人々
 監督は、昨年『瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン)』(06)が中国で大ヒットした新鋭ニン・ハオ。本作では淡々としたテンポでこみあげてくるようなおかしさを演出した。中国山西省出身の彼は、モンゴル特有の文化と生活に深く魅了され、長編第3作目の舞台にこの地を選んだ。特に、広大な草原での暮らしが、のびのびとした子供たちの性質を培っている様子を見て「雄大な自然の中を馬に跨がって自由に駆け抜けるモンゴルの子供たちの姿に非常に感動した」と語っている。
 出演者はすべて実際にこの地に暮らす人々を起用。その伝統的な暮らしぶりだけでなく、中国国家への意識や遊牧から定住への生活の移行といった、彼らの直面する問題をもさりげなくリアルに浮かび上がらせている。

舞台となる「内モンゴル」とは?
 中国国内の北方に位置する行政区、内モンゴル自治区のこと。省都はフフホト。現在、モンゴル系の人々は主に、内モンゴル自治区とモンゴル国(外モンゴル)、ロシアに分布して居住している。1920年代に現在のモンゴル国に当たる部分が中国(清朝)から独立した。そのとき、政治的な諸理由のため中国側に残された地域が内モンゴル自治区である。総面積の70%以上を占める広大な草原地帯では牧畜が盛んで、従来は移動を繰り返す遊牧型の生活様式が多く見られた。しかし現在では集落に定住して牧畜を行うのが一般的になってきている。本作で見られるように、内モンゴルに暮らすモンゴル族の人々の間では、中国国家に属しているという意識はありながらも独自の文化や生活様式、言語が保たれている。

ストーリー

 内モンゴルの雄大な自然の中に家族と暮らす少年ビリグ。やんちゃ盛りのビリグや同じ年頃の友達エルグォートゥとダワーにとっては、馬に乗って駆け回る大草原全体が遊び場だ。
 ある日、ビリグが川の水を汲みに行くと、上流から小さな白いピンポン球が流れてきた。しかし、卓球を知らない少年たちは謎の物体に興味津々。何に使われるものなのか?こんなに軽く水に浮くのはなぜなのか?ビリグのおばあちゃんは、それは川の上流に住むという精霊の宝物で「光る真珠」というものだという。しかし、夜じゅう待ってみても球は光らない。物知りのラマ僧たちにきいても、誰も知っている人はいなかった。 
 あるとき、ダワーの父親がテレビを買った。大草原に手作りのアンテナを立てて奮闘するが、なかなか映像が映らない。しかし少年たちは偶然に、聞こえてくる雑音まじりの音声から、あの白い球は「卓球」というスポーツに使われるボールらしい、ということを知る。さらにアナウンサーが続けて言う。「ご存知のように卓球は我々の国技、このボールは我が国家の球なのです。」これを聞いた3人はびっくり。「卓球」がどんなスポーツかはわからないけれど、そんなに大事な球がなくなって「国家」は困っているに違いない、「国家」のある北京まで球を返しにいこう、と考える。
 馬とスクーターで北京を目指した3人だったが、大草原は彼らの想像をこえてどこまでも広がっていた。彼らは疲れきって空き家で眠り込んでいたところを保護される。心配して帰りを待っていたビリグのお母さんは、怒って大事な球を踏みつぶしてしまう。ぺしゃんこになった球を巡ってけんかしてしまったビリグとダワー。ビリグのお父さんはこんなちっぽけなものをめぐってけんかするなんて、とつぶれた球を半分に切って二人に分ける。
 まもなくビリグが遠く離れた街の学校に入学する為に家を離れるときが来た。旅立つ朝、エルグォートゥがダワーから預かったピンポン球の半分を持ってくる。ダワーは家族と一緒に違う場所に移ることになり、大事な球をビリグに返すように、エルグォートゥに託したのだ。馬をとばしてダワーの家に向かったビリグだったが、一家はすでに移動したあとだった。
 長旅のあと、ようやく到着した街の学校。新入生歓迎の催しの途中、抜け出してトイレを探していたビリグは体育館の扉を開ける。そこでビリグは卓球をする大勢の生徒たちを目にし、たくさんのピンポン球の跳ねる軽やかな音を聞いた。彼は初めてあの白い球の本来の姿を知ったのだった。

スタッフ

製作:ル・ビン、へ・ブ
エクゼクティブ・プロデューサー:ラン・リュイロン、ニン・ハオ
ライン・プロデューサー:シェン・ツィミン、グ・チェン
脚本:シウ・エナ、ガオ・ジェングオ
撮影監督:ドゥ・ジエ
美術監督:チャン・シャオビン
衣装:チャン・ゲンリャン
音楽:フー・ヘー
編集:ジャン・ヤン
録音:ワン・ヤイェンウェイ

キャスト

ビリグ:フルツァビリゲ
ダワー:ダワー
エルグォートゥ:ゲリバン
ビリグの父:ユーデンノリブ
ビリグの母:バデマ
ビリグの姉:ウリン
ビリグの祖母:デゥゲマ
行商人:ジン・ラオウ
ダワーの父:ブヘビリゲ
ダワーの母:サランゴォ 
少年のラマ僧:ジリム

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