原題:Notes on a Scandal

第79回アカデミー賞 主演女優賞、助演女優賞、脚色賞、作曲賞ノミネート

2006年12月25日全米公開

2006年/イギリス/カラー/??分/ 配給:20世紀フォックス

2010年06月25日よりDVDリリース 年00月/1日よりDVDリリース 2007年6月2日、シャンテ シネほか全国順次ロードショー

公開初日 2007/06/02

配給会社名 0057

解説


孤独に甘んじながら孤立し、他人との関わりを否定するのが当り前となった現代の都会人たち。しかし、そんな都会人もある時期突然、仲間を求め、手を伸ばし、人と関わりたくなる。それが、どんな関わりであろうとも——。この普遍的な思いと、世代ギャップが生む力関係を基に、人間関係を渇望する孤独な人間の心の闇を描き上げたのが本作である。

主人公は生い立ちも社会的階級も生活環境も異なるものの、自身を見失い、孤独から抜け出せないという共通点を持つ女教師バーバラとシーバ。教え子とのスキャンダラスなロマンスに走るシーバと、その関係を利用してシーバとの友情を堅固なものにしようと歪んだ本性を徐々に現わすバーバラ。共依存となった関係がやがて、エゴむき出しの行動を生み出していく……。皮肉なユーモアとリアリズムのなかに現代人が抱える孤独と脅迫観念、嫉妬、妄想、自己欺瞞が浮かび上がるサスペンスフルな人間ドラマが完成した。

イギリスの優れた文学に与えられるブッカー賞の2003年最終候補に残り、イギリスとアメリカ両方のベストセラー・リストに載ったゾーイ・ヘラーの「あるスキャンダルについての覚え書き」。大手映画会社から独立プロダクションまで激しい争いが繰り広げられた映画化権を「アイリス」や「めぐりあう時間たち」で文学の香と演劇を見事にミックスさせたスコット・ルーディンとロバート・フォックスのコンビが獲得。

原作を読んだルーディンは、バーバラを演じられるのはジュディ・デンチしかいないと確信していた。「恋におちたシェイクスピア」でオスカーを受賞したのをはじめ、数々の演技賞の輝くデンチは誰もが当代きっての女優と認めるところだ。物語の非常に主観的なナレーターを務めながら、その言動に信頼性がまったくないどころか悪意すらにじませる老女バーバラをデンチが貫祿たっぷりに演じている。

そのデンチと堂々と渡り合える女優としてシーバ役に抜擢されたのがケイト・ブランシェット。平穏な家庭生活を営むなかで、子宝にも恵まれたが、人生に意義を感じることも自分に自信を持つこともできず、40歳を過ぎても自分を探し続けている最中のシーバ。ふとしたきっかけでスタートした不倫にのめりこみ、身動き取れなくなっていくキャラクターをブランシェットは、繊細さと大胆さを絶妙に配分した演技で血肉を備えた人間として存在させている。

ストーリー


ロンドン郊外にあるセントジョージ総合中等学校で歴史を教えるバーバラ・コヴェット(ジュディ・デンチ)は、非常に厳格な態度で生徒に接することで知られているベテラン教師。同僚や社会に対しても常に批判的な上、斜に構えた態度や歯に衣着せぬ物言いで周囲からは疎まれてもいた。

孤立しているバーバラはある日、労働階級の子供たちばかりが通う学校に現れた場違いな美術教師シーバ・ハート(ケイト・ブランシェット)に目を留める。「彼女こそ、私が待ち望んだ女性に違いない」と心ひそかに興奮するバーバラは、シーバの様子にこっそりと目を配り、日記に彼女のことを夜毎書き綴る。

そんなある日、シーバの受け持つクラスで騒動が起こる。偶然、通りかかったバーバラが殴り合う男子生徒を一喝し、騒ぎを収拾。シーバは心からの感謝をバーバラに捧げ、バーバラを自宅に招くことになった。美容院で髪をセットし、花束を手にいそいそとシーバ宅を訪れたバーバラを出迎えたのは、シーバの夫リチャード(ビル・ナイ)と長女ポリー、そしてダウン症の長男ベン。幸せを絵に描いたようなブルジョワ家族の休日をシニカルに見つめるバーバラだが、食後にシーバから人生の不満や夢を打ち明けられ、彼女との友情を再確認するのだった。

しかし、この友情はバーバラが思っているほど神聖なものではなかった。セントジョージ校で演芸会が行われた夜、姿の見えないシーバを探しに美術教室に向かったバーバラは、シーバが男子生徒とセックスしている姿を目撃する。少年は以前、バーバラが叱り飛ばしたスディーヴン・コナリー(アンドリュー・シンプソン)だった。2人の関係に気づかなかった自分を呪ったバーバラは数日後、シーバをパブに呼び出して、すべてを告白させる。シーバはバーバラの厳命を聞き入れ、コナリーとの別離を明言。秘密を握ったバーバラとシーバの間には、微妙なパワーバランスの友情が培われ始める。

スタッフ

監督:リチャード・エアー
脚本:パトリック・マーバー

キャスト

ジュディ・デンチ
ケイト・ブランシェット
ビル・ナイ

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