原題:13 (Tzameti)

2005年ヴェネチア国際映画祭新人監督賞 2006年サンダンス映画祭ワールドシネマコンペティション(ドラマ部門)審査員大賞 2006年ヨーロッパ映画祭ディスカバリー賞

2005年/フランス/カラー/35mm/B&W/シエンマスコープ/ドルビーSRD/ 配給:エイベックス・エンタテインメント+ロングライド

2007年10月10日よりDVDリリース 2007年4月7日(土)よりシネセゾン渋谷他にてロードショー!

© 2005 LES FILMS DE LA STRADA - QUASAR PICTURES - SOLIMANE PRODUCTIONS -MK2

公開初日 2007/04/07

配給会社名 0316

解説



極度の緊張、黒と白のコントラスト。
そこは、容赦のない残酷で絶望的な場所…。
『13/ザメッティ』のスリリングな展開、森の奥深くで繰り広げられるその悪夢に、いまだ誰もが覚醒できない。

出資を決めた、驚愕のロシアン・ルーレットシーン
生まれ育った動乱のグルジアを後に、17歳でパリへ渡ったゲラ・バブルアニ監督。多感な青年期に彼は、フランス語に没頭し、映画に熱中した。映画監督としてベルリン国際映画祭での受賞歴がある、父親テムルの影響もあり、自然と映画制作の道を志すようになる。しかし、”親の七光り”が通用するような恵まれた環境では決してなかった。旧ソ連の小国出身の若者が、異国の地で脚本を書き上げたからとて、誰が容易に資金を提供してくれるだろう。ゲラは、製作資金の援助を求めて奔走するが、なかなか色好い返事をもらえない。そこで、ロシアン・ルーレットシーンを自らの資金で撮影。そのフッテージの独創性に監督としての才能を確信した出資者の支援を受け、完成に至った。「人間の限界に挑むスポーツよりも、10倍スリリング!(The New York Times)」と言わしめた、曰く付きのシーンである。

世界中で<13>旋風を巻き起こす!
幾多の困難を乗り越え、本作が完成すると、『13/ザメッティ』熱が伝染するかのように、瞬く間に世界中へと広まって行く。2005年のヴェネチア国際映画祭を皮切りに、トビリシ国際映画祭、2006年にはサンダンス映画祭、トランシルヴァニア国際映画祭に出品され、それぞれに賞を獲得するという快挙を成し遂げた。そして、アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン、ロシア、ルーマニア、ハンガリー、ノルウェー、スウェーデン、インド、タイなどの多数の国で次々と封切られ、まさに世界中で<13>旋風を巻き起こした。

奇異、大胆、冷淡、強烈、挑発的!
本作が映画祭で上映され、また一般公開に先駆けたプレス試写が行なわれる度に、評論家たちがどんどんこの独特な世界にハマって行く。レビューには、奇異、大胆、冷淡などの数々の言葉がおどった。これらの評の通り、監督自身も脚本を執筆中に、ハードな作品になることを覚悟していたという。しかし、衝撃を与えるためだけに『13/ザメッティ』がつくられたのではない。暴力描写の激しい映画のみが、衝撃的なのだろうか。ゲラは、敢えて鮮血を撒き散らして恐怖を描くことを選ばなかった。我々が劇中でほんの1滴の血も見ることはないのだ。彼は、ただ単純に観客を脅かす表現を排除し、心理的な切迫、神経が引き裂かれるような緊張感を追求した。その結果、リアリティーに溢れた死の恐怖をスクリーンに焼き付けている。

ブラッド・ピットが切望したリメイク権、レオナルド・ディカプリオらが主役をめぐって争奪戦!
本作の世界的な成功を受けて、ゲラ・バブルアニ監督はフィルム・メイカーたちの間で一躍脚光を浴びるようになる。すぐにハリウッドリメイクの噂がささやかれ、現に彼の元には50を超えるリメイクのオファーが殺到した。その中には、ブラッド・ピットも含まれ、権利取得を切望したという。
しかし、本作が自分の手元から完全に離れることに納得出来なかったゲラは、自らが監督をすることを条件にハリウッド版リメイクに同意する。2008年の公開を目標に、現在、ロケ地探し等の準備に追われている。そして、主人公のセバスチャン役をめぐっては鉾々たる俳優たちが争奪戦を繰り広げているという。レオナルド・ディカプリオ、ヒース・レジャー、トビー・マグワイア、ホアキン・フェニックス等の名前が各誌で報じられているが、一体誰がこの役を射止めるのだろうか。(2006年12月現在)

監督とB&W映像のクールでホットな関係
ゲラ・バブルアニ監督の長編デビュー作は、冷たく、そして美しいB&W映像である。シネマスコープサイズのワイドスクリーンの中、黒と白のコントラストが人間の残忍性や陰欝な表惰を際立たせ、我々を森の奥深くへと導く。
「ポランスキーの初期作品を彷彿とさせる!(The Telegraph)」という言葉通りに本作は、ロマン・ポランスキー監督作品である『水の中のナイフ(62)』や『袋小路(65)』を想起させる。モノクロームの映像と限られた空間での人間心理を描いたことがその所以だろう。
2006年に公開された、リュック・ベッソンの『アンジェラ』やジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』もB&Wだったことは記憶に新しい。それぞれ過去の作品に遡ってみると、ベッソンのデビュー作『最後の戦い(83)』も、ジャームッシュの長編第1作晶目である『ストレンジャー・ザン・パラダイス(84)』もB&W。他には、デヴィッド・リンチ監督デビュー作『イレイザーヘッド(76)』、ヴィム・ヴェンダース監督デビュー作『都市の夏(70)/未』、レオス・カラックス監督デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール(83)』等。作家性が高く評価される監督たちと同様にB&W映像作でデビューを飾ったゲラ・バブルアニの未来は、その映像とは対照的に明るく輝いている。

ストーリー


セバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)は、屋根修理の仕事で得るわずかな収入で家族と共に暮らす、グルジアから移民した22歳の若者。
ある日、仕事先の家主ジャン=フランソワ(フィリップ・パッソン)のもとに、友人が金の無心にやってきた。ジャン=フランソワ自身もセバスチャンへ支払う修理代さえもままならない状態だったが、自分には大金を手にすることが出来る方法があると、友人や妻クリスティーヌ(オルガ・ルグラン)に漏らしている。そして、その方法を知らせる`封筒’を待っている、と。
数日後、ジャン=フランソワのもとに待ち望んだ`封筒’が届いた矢先、日頃から麻薬漬けだった彼は、過剰摂取で命を落とす。
その日の作業を終え、セバスチャンが帰り支度をしていると、偶然窓の外に白い封筒を発見する。ジャン=フランソワ宛のその’封筒’には、パリ行きの列車のチケットと<ウィンザー>というホテルの領収書だけが入っていた。偶然耳にした儲け話が気になっていたセバスチャンは、単身ウィンザーホテルを目指す。列車とタクシーを乗り継ぎホテルに着くと、深夜、部屋の電話が鳴る。受話器の向こう側の男は、次の行き先とロッカーの暗証番号をセバスチャンに告げると一方的に電話を切る。指定場所に到着し、ロッカーを開けると、そこには新たな行き先と<13>とだけ記されたカードが入っていた。その指示に従い、殺風景な郊外までやって来たセバスチャン。しばらくすると1台の黒いセダンが彼に近づいてくる。そして、暗い森の奥に停む不気味な屋敷で、車は停まる。
屋敷の薄汚れた小部屋に通されるセバスチャン。
やがてアランという眼光の鋭い初老の男がやってくる。アランは、セバスチャンを見るなり怪訝な表情を浮かべながら、なぜ、ジャン=フランソワではなく、セバスチャンがここにいるのか、そして、これからここで何が行われるか知っているのかと尋ねる。
屋敷の異様な雰囲気とアランとその仲間の会話から、身の危険と犯罪の匂いを感じたセバスチャンは、ジャン=フランソワの死で偶然ここに迷い込んだ自分は何も知らず、今すぐここを立ち去ると告げる。
しかし、アランは冷酷な声で答える。もはやすべてが手遅れで逃れることは出来ない、そして、これから参加するものたちの’運命を狂わせるゲーム’が待ち受けている。
大広間に設置されたゲーム会場には、淀んだ熱気が漂っている。参加するプレイヤーは13人。
そこは、銃を持ったプレイヤーを円状に配置し、中央にある電球の点灯を合図に、13人が一斉に引き金を引くという、集団ロシアン・ルーレットが行われる場所だった。優勝した者には賞金85万ユー口が与えられ、そして、そこには、プレイヤーの生死に莫大な現金を賭けるギャンブラーたちの黒い欲望が渦まいていた。セバスチャンに与えられた番号は、皮肉にも<13>だった。
ついに進行役(パスカル・ボンガール)の怒声とともに、第1ラウンドが始まる。銃に触れたことすらないセバスチャンは、極度の緊張と恐怖で、弾を込めることすら出来ない。13人のプレイヤーたちは電球が点る瞬間に全神経を集中させている。異様な沈黙の中、心臓の鼓動が響く…、そして、電球の点灯とともにその沈黙を切り裂く銃声。床には4人のプレイヤーが息絶えていた。しかし、突然襲いかかった’自らの死’と、’自分が殺人を犯す’という二重の恐怖に、セバスチャンは引き金を引くことが出来ない。しかし、この非情な場所で、引き金を引かないことは即、死を意味する。
会場を埋めつくしたギャンブラーたちの脅迫じみた罵声を浴び、彼は引き金を引かざるを得なかった。
かろうじて第1ラウンドを終えたものの、かつてない絶望感に襲われたセバスチャンは、第2ラウンドを前に脱出を図るが、即座に連れ戻され、再びゲームに参加させられてしまう…。ラウンドごとに磨り減っていくプレイヤーの精神状態。第3ラウンドを終えた時点で生き残っていたのは、1番、3番、6番(オーレリアン・ルコワン)そして13番をつけたセバスチャンの4名だった。いよいよ最終ラウンドを迎える。抽選で選ばれた2名だけが進むことの出来る最終ラウンド…。
85万ユー口を争えるのは、13番のセバスチャンと、これまでに3度この邪悪なゲームを生き残った6番のジャッキーのみ。ギャンブラーのほとんどが、ジャッキーの強運に賭けている。
再び、2人の手にリボルバーと1発の銃弾が渡される。お互いの額に銃口を突きつける。
進行役の叫び声が響く。
「ランプが点灯したら引き金を引け!!」

スタッフ

監督・脚本:ゲラ・バブルアニ
撮影監督:タリエル・メリアヴァ
編集:ノエミ・モロー
オリジナル音楽:イースト(トラブルメーカーズ)
美術:ベルナール・ペオー
録音:リュドヴィック・エリアス
衣装:サビーヌ・ソラン
製作会社:レ・フィルム・ドゥ・ラ・ストラダ
製作:ゲラ・バブルアニ
製作総指揮:ファニー・サアディ

キャスト

ギオルギ・バブルアニ
オーレリアン・ルコワン
パスカル・ボンガール
フィリップ・バッソン
オルガ・ルグラン
オーギュスタン・ルグラン
ジョー・プレスティア
フレッド・ユリス
ヴァニア・ヴィレール
ディディエ・フェラーリ

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