アポカリプト

『ブレイブハート』でアカデミー賞を受賞し、『パッション』でセンセーションを巻き起こしたメル・ギブソン。映画監督としてつねに新たな可能性を追求する彼が、いま再び世界に衝撃を与えた！
　セリフは全編マヤ語。出演者は映画経験のない若者たち。およそハリウッドの常識からかけはなれた映画でありながら、全米ボックス・オフィスのナンバー１を獲得する爆発的なヒットを記録し、USAトゥデイをはじめとする新聞各紙にニュースとしてとりあげられた『アポカリプト』。批評家からも絶賛を浴び、本年度のゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞をはじめ、アカデミー賞３部門（メイクアップ賞、音響賞、音響編集賞）ほか多数の映画賞にノミネートされた本作は、＜いまだかつて見たことのない世界を見せてくれる＞という映画本来の醍醐味を、たっぷりと味わわせてくれる話題作だ。

　舞台は、マヤ文明後期の中央アメリカのジャングル。主人公のジャガー・ポーは、誇り高き狩猟民族の血統を受け継ぐ青年。恐怖も争いも存在しない楽園のような村で、妻や仲間たちと平和に暮らしていた彼は、ある日、マヤ帝国の傭兵の襲撃を受け、都会に連れ去られてしまう。干ばつを鎮めるための儀式に駆り出され、無惨な生け贄になりかけるジャガー・ポーたち。その過酷な運命を逃れたと思ったのもつかの間、次に彼らを待ち受けていたのは、人間狩りの標的にされる試練だった。そのフィールドで果敢に逃走をはかるジャガー・ポー。村に残してきた妻子を救いたい。ただその思いだけを胸にジャングルの中に飛び込んだ彼は、執拗な追っ手と戦いながら、ひたすら村をめざして走り続ける。
　追う者と追われる者の間で繰り広げられるスリリングな駆け引き。みなぎる興奮。躍動する肉体。「観客の頭脳ではなく本能に訴える映画を作りたかった」と語るギブソンは、ジャガー・ポーと共にジャングルをノンストップで駆け抜ける感覚を観客に体感させ、アドレナリンを沸点まで沸き立たせる。これこそがアクション映画の原点だ。 　撮影監督は、『ダンス・ウィズ・ウルブス』でアカデミー賞を受賞した名手ディーン・セムラー。ジャガー・ポーの行く手にそそり立つ美しくも残酷な密林の大自然を、最新鋭のデジタル・カメラで捉えた映像は、スリリングであると同時に超一流の芸術の風格を湛えている。いまだかつて誰も見たことのないヴィジュアルで綴られた壮大なアドヴェンチャー──未知の世界の扉が、いま開かれる！