原題:秋へ.../Trace of love

「君はわかっているよね・・・ 僕が片時も忘れていないことを。」

第11回釜山国際映画祭オープニング作品

2006年10月25日韓国公開

2006年/スコープサイズ/全6巻/2,959m/1時間48分/SR*D SR/字幕翻訳:根本理恵 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2008年03月05日よりDVDリリース 2007年11月3日(祝)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

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公開初日 2007/11/03

配給会社名 0042

解説


10年後に知る──ノートに眠った、彼女の願いごと。
結婚が間近にせまり幸せな日々を過ごすヒョヌ(ユ・ジテ)とミンジュ(キム・ジス)。「暑いからデパートで待っていて」このヒョヌの一言が人生を一変させる。もしも、そうミンジュに告げなかったら、彼女はデパート崩壊事故に巻き込まれることはなかった・・・彼女を亡くしたヒョヌは“僕の一言が、彼女の命を奪った”と後悔し、自責する日々を過ごす。10年後−心を閉ざし、死んだように生きるヒョヌは、事故現場から奇跡的に発見されたミンジュ直筆のノートを手に入れる。1ページ目には【ヒョヌとミンジュの新婚旅行】と書かれていた。それは、テレビ番組のディレクターだったミンジュが仕事を通して知りえた選りすぐりの場所や、彼女が感じる自然からの贈り物を、自分の宝物のように書き添えた、手作りの新婚旅行のしおりだった。ヒョヌは幸せに満ちたノートを読み、はじめて彼女の願いを知る・・・。

麗しき韓国の秋の風景の中、彼女が遺した新婚旅行を、ひとり巡る。
ノートに沿って巡るヒョヌの旅。ロケ地の選考だけに3カ月が費やされた麗しき韓国の秋の風景が、次々とスクリーンに映し出され、観る者の心も潤す。また、ロケの中心となっている慶尚北道は、韓国政府が今年は「2007韓国慶北訪問の年」と定め、推奨している観光地で、今最も注目されているスポットでもある。ソウルからはるか南、海を渡った韓国で唯一の砂丘が残るウイ(牛耳)島、紅葉輝くソセウォン(瀟灑園)、そこから千年古都キョンジュ(慶州)に入り、国道7号線を北上する。樹齢千年にもなるという古木が立ち並ぶケリム(鶏林)や12の滝が並ぶネヨン(内延)山、日没のころに池に映る岩の影が仏様の形に見えることから名づけられたプリョン(仏影)寺など・・・この旅こそ、ミンジュが遺したヒョヌへの愛の形だった。次第に心に潤いが広がっていくのを感じる旅の途中で、ヒョヌは不思議なことに何度も謎の女性セジン(オム・ジウォン)と出遭う。彼女もまたミンジュの書き遺したノートに沿って旅をしているかのようだった・・・。

『バンジージャンプする』のキム・デスン監督が
最高のキャストから心の深みを炙り出す。
監督は、今なおイ・ビョンホンが主演作の中で「一番好きな作品」として挙げる『バンジージャンプする』(01年)のキム・デスン。突然に目の前から消えてしまった恋人が、17年後、まったく別の姿で現れる。意表をつく設定の中に永遠に消えない愛の尊さを描き出した、この鮮烈なデビュー作で、キム・デスン監督は韓国の恋愛映画史に大きな刻印を残した。そのデビューから5年を経て、再び手がけた愛の喪失と再生の物語は、よりしっとりとした大人の味わいが加わり、美しい自然を見事に融合させた感動的なロードムービーに仕上げられた。また、1995年6月29日に実際に起きたサムプン(三豊)百貨店の崩壊事故の悲劇をストーリーに組み込んだことでも、韓国公開時に大きな話題となった。
主演は、『春の日は過ぎゆく』(01年)の心優しい純粋な青年から、『オールド・ボーイ』(03年)の冷酷な復讐者まで、幅広い役を自在にこなし、韓国を代表する名監督たちから信頼されるユ・ジテ。本作では、心優しい青年と冷徹な検事という2つのキャラクターを自然に演じ分け、ヒョヌの心の旅を見事に表現している。ミンジュ役は、05年に満を持しての映画デビューを飾って以来、ファン・ジョンミン、チョ・ジェヒョン、ハン・ソッキュといった韓国を代表する男優たちと次々に共演しているキム・ジス。そして旅の途中でヒョヌの前に現れる女性セジンを演じるのは、鬼才ホン・サンス監督の『映画館の恋』(05年)でヒロインに抜擢されたオム・ジウォン。彼女は、2008年公開予定の話題作『いい奴、悪い奴、変な奴』(原題)でも特別出演することが決まっている。運命の糸で繋がれた男女を、韓国映画界でもっとも熱い期待を集める3人が演じ、愛の物語をひときわ輝かせるのだ。

ストーリー



 テレビの旅番組のディレクターをしているミンジュ(キム・ジス)には、司法研修院生のヒョヌ(ユ・ジテ)という恋人がいる。ある日、ヒョヌの指示に従ってミンジュが見知らぬ高層マンションを訪ねると、インターフォン越しにヒョヌがプロポーズしてくれる。風にそよぐ木々の新緑が窓から見えるその高層マンションは、ヒョヌが決めた2人の新居だった。ミンジュの両親にも2人で挨拶を済ませ、2人は幸せいっぱいの日々を過ごす。
弁護士から検事に志望を変更したヒョヌは慣れない仕事に忙殺され、ミンジュとデパートへ家具を見に行く約束の時間にもまだ会議が残っていた。初夏の太陽が照りつけているから、ヒョヌはデパートの中で待つようミンジュに言って、仕事に戻る。午後6時までに地下のコーヒーショップに行くと約束したヒョヌだが、上司から言われた書類の提出を忘れていたため、約束の時間に遅れてしまう。やっとデパートの前まで来たとき、突然、デパートの建物がヒョヌの目の前で崩壊する…。
 それから10年後。今なおミンジュを死に追いやったのは自分だという自責の念に支配され、死んだように生きるヒョヌは冷徹な検事になり、誰に対しても心を閉ざしていた。世の中はポケベル時代が終わって、誰もが携帯電話を持つようになっていたが、ヒョヌの中では時間が止まったままだ。そんなとき、今ではすっかり年老いたミンジュの父親がヒョヌを訪ねてきて、革表紙に染みのついたノートを置いていく。表紙を開くと、そこにはミンジュの懐かしい字で「ヒョヌとミンジュの新婚旅行」と書かれていた。ミンジュがひそかに計画していた一週間の新婚旅行の旅程が、手書きの地図と2人の愛の思い出がつまった文章とで、綴られていたのだ。
 政治絡みの事件に深入りしすぎたことから休職処分を受けたヒョヌは、ミンジュが記した美しい土地のすべてを訪ね歩くことを決意する。西南部のモッポ(木浦)から砂漠のあるウイ(牛耳)島に渡り、今度は東南部に位置する古都・キョンジュ(慶州)へ。ネヨン(内延)山を登って滝を見て、東海岸を北上──ミンジュの記した地図と言葉に導かれ、2人で来るはずだった新婚旅行をひとりで辿る。秋の紅葉に彩られた山林や寺や海を巡るうちに、ヒョヌは、それまで封印していたミンジュとの幸せな日々を思い出す。かつてミンジュと登った山道は、今も同じように紅葉が鮮やかで、吹く風も同じように気持ちいい。
愛しいミンジュの言葉や表情を胸に抱いて、自然の美しさに心の平穏を取り戻していくヒョヌは、同じようにひとり旅をしている若い女性セジン(オム・ジウォン)とたびたび出くわすようになる。ソセウォン(瀟灑園)に行った日の夕食で相席になり、プリョン(仏影)寺に向かおうとしていた時にも出会う。まるで彼女もまたミンジュの描いた地図に沿って旅しているかのようだ。ヒョヌの車の助手席に座った彼女は、「この道で出会う村は名前を呼んであげないと寂しがる気がします。ピョンゴク、フポ、ピョンヘ、ウォルソン、トクサン…」と呟く。それはミンジュが記していた言葉とまったく同じだった。ミンジュの魂が宿っているかのようなこの女性は、いったい何者なのだろうか?ヒョヌは「君はミンジュを知っているのか?」と問いかけるのだが…。

スタッフ

監督:キム・デスン

製作総指揮:アン・ドンギュ、キム・クァンソプ
プロデューサー:アン・ドンギュ
脚本:チャン・ミンソク
ライン・プロデューサー:チェ・ジョンミン
アシスタント・プロデューサー:キム・ヒョンジョン、チョ・ソクヨン、ユン・ヒョンジョン
撮影:イ・モゲ
照明:チェ・ソクジェ
美術:ハ・サンホ
録音:イ・テギュ
C.G.:カン・ジョンイク
音楽:チョ・ヨンウク

サウンド:イ・スンチョル (Wave-lab)
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
助監督:パク・スヨン
プロダクション・ディレクター:キム・プヒョン
メイク:チャン・ユンジョン
衣装:イ・チンスク、ソン・ヨンシム
特殊効果:チョン・ドアン、キム・テウィ

キャスト

ユ・ジテ(『オールド・ボーイ』『美しき野獣』)
キム・ジス(『チャーミング・ガール』『愛するとき話すこと』)
オム・ジウォン(『映画館の恋』『美しき野獣』)

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