ヘイヴン〜堕ちた楽園〜

　『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役でブレイクし、ジョニー・デップ共演の『パイレーツ・オブ・カリビアン／呪われた海賊たち』で人気を不動のものにしたオーランド・ブルーム。2005年には、リドリー・スコット監督が手掛けた歴史超大作『キングダム・オブ・ヘブン』で堂々の初主演を飾り、続くキャメロン・クロウ監督作『エリザベスタウン』ではナチュラルな魅力を披露した。いまや、押しも押されもしない人気俳優となった彼が惚れ込み、主演だけでなく、製作を初めて手掛けたのが、この『ヘイヴン〜堕ちた楽園〜』だ。

　島民たちの税金を免除する“タックス・ヘイヴン”として、世界中から金持ちが集まっているカリブ海のケイマン諸島。光と影の側面を併せ持つ楽園の島を舞台に、破滅のドラマを描く。裕福な家の娘と恋に落ちた島の青年シャイ。彼女の家族に祝福されない恋がやがて彼の身に危険を及ぼし、破滅へと導いていく。一方、脱税の罪でＦＢＩに追われ、アメリカから島へと逃げてきたビジネスマン、リドリー。彼が逃亡前かき集め、島に運んできた100万ドルを狙い、島の人間たちが暗躍し始める……。この２つのドラマが、島で行われているパーティで結びつき、思わぬ方向へと転がっていく。時間軸を巧みに演出し、愛と欲望渦巻く一夜をサスペンスフルに描き出している。

　ブルームは、恋人アンドレアをまさに命がけで愛する一途な青年シャイを熱演。これまで持ち前の美貌で二枚目の役どころを演じてきた彼が、特殊メイクで美貌を崩して登場するシーンは衝撃を与えるが、顔とともに心にも深い傷を負ったシャイの内面を繊細に演じ切り、役者として成長した姿を披露している。もうひとりのキーパーソン、脱税によってアメリカから島に渡ってきたビジネスマンを演じるのは、『フレイルティー』『Ｕ−571』の実力派ビル・パクストン。罪を犯しながらも娘想いな父親像を好演している。シャイの恋人アンドレアを演じるのは、『センターステージ』『ノット・ア・ガール』のゾーイ・サルダナ。リドリーの愛娘ピッパを演じるのは、『完全犯罪クラブ』、ドラマ「２４」３ｒｄシーズンのアグネス・ブルックナー。野心的な弁護士アレンを演じるのは、映画『キング・アーサー』『ゴール』のほか舞台でも実力を評価されているスティーヴン・ディレイン。若手からベテランまで、実力を誇る面々が揃えられた。

監督・脚本は、ショートフィルム『ＳＷＡＬＬＯＷ』を経て、本作で長編劇場デビューを飾る新鋭フランク・Ｅ・フラワーズ。舞台となったケイマン諸島の出身であるフラワーズは３日間で脚本を書き上げた。その脚本と、彼の前作『ＳＷＡＬＬＯＷ』がブルームのもとに渡り、フラワーズのスタイルに惚れ込んだブルームが主演と製作を手掛けることとなった。撮影は、映画設備の全くない島で２９日間行われた。