原題:Aurore

踊る、ただ一度の恋のため。 それは、踊りを禁じられた国の王女の切なくも美しい恋の物語

2006/03/22

2006年/フランス/カラー/96分/ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2007年07月06日よりDVDリリース 2006年12月16日(土)よりBunkamuraル・シネマ、シャンテ シネほか全国順次公開!!

©La Cinéfacture/France 2 cinéma-2006

公開初日 2006/12/16

配給会社名 0025

解説



『エトワール』のニルス・タヴェルニエ監督が、パリ・オペラ座のトップ・ダンサーたちと創り上げた美と幻想の世界

 バレエが特定の劇場で限られた人々が楽しむ、崇高な芸術だった時代は終わった。今や日本でも日常的に誰もが楽しめ、それでいて品格は失わないという特別なエンタテインメントになったのだ。
 そのきっかけの1つと言えるのが、2000年に日本でも大ヒットした、ニルス・タヴェルニエ監督の『エトワール』だろう。300年を超える歴史を誇る世界最古のバレエ団、パリ・オペラ座。世界中のバレエ・ファンの憧れの的であるこのバレエ団の内部に初めてカメラが入り、ダンサー達の過酷なレッスンと素顔に迫ったドキュメンタリー映画である。
 あれから6年、再びタヴェルニエ監督が、パリ・オペラ座バレエ団のダンサー達と手を組み、バレエ・ムービーの新たなる境地を切り開いた。前作とは異なり、今回はフィクションに挑戦、幻想的な王国の宮殿を舞台に、華麗なダンスと繊細で甘美な音楽が、身分違いの男女の切ない恋の物語を紡ぎだす。

踊りを禁じられた国で、ダンスの天賦の才能を持つ王女と冨も名誉もない画家の切なくも美しい恋の物語

 王によって踊りを禁じられた国の王女にもかかわらず、オーロラ姫はダンスの才能に恵まれ、今日も弟だけにこっそりと優美な舞を披露していた。そんな娘に頭を痛める王に、もっと深刻な問題がふりかかる。国の財政が傾き、破産が目前だと言うのだ。密かに国を乗っ取ろうと企む側近は、王にオーロラ姫と異国の裕福な王子の政略結婚を進言する。
 舞踏会に招かれた王子たちは、オーロラ姫の光輝く美しさに目を見張り、すぐさま求婚するが、姫は拒絶するばかり。実はオーロラ姫は、彼女の肖像画を描いた画家に心を奪われていたのだ。王妃は娘の幸せを願うが、王は画家を投獄してしまう。身分違いの2人の許されない恋の行方は?そして王国の未来は−−−?

『オーロラ』は、どこを切り取っても完璧な一幅の絵画のような、美を極めた映像で描く、ロマンティックで切ない純愛おとぎ話。まさに今の時代に神話やおとぎ話が求められているのは、非日常的な冒険やラブストーリーの形を借りて、人の本来あるべき姿を示すと共に、未来を希望の光で照らしてくれるから。本作でも、王女と画家の恋の結末が、私たちの胸にいつまでも消えない温かい光をともしてくれる。

世界のバレエ界のトップに君臨するダンサー達と、フランス映画界を代表する名優たちの夢の共演

“ダンスの女神に愛されたオーロラ姫”を演じるのは、マルゴ・シャトリエ。オペラ座バレエ学校で学ぶ新星で、タヴェルニエ監督にひと目で気に入られ、大抜擢された。
 そして本作の一番の見どころは、画家を演じるニコラ・ル・リッシュの出演。パリ・オペラ座のエトワールで、彼をイメージしながら脚本を書いた監督でさえ、出演は無理だとあきらめていた、スター・ダンサー。ニコラは映画とダンスの新しい融合に共感し、出演を決めた。
 他にもパリ・オペラ座からは、オーロラ姫に求婚する王子を演じた、カデル・ベラルビとヤン・ブリダール、舞踏会の踊り子に扮したマリ=アニエス・ジロ、そして振り付けを担当したカロリン・カールソンらが参加、まさに全面的なコラボレーションとなった。
 一方、俳優陣もフランスを代表する名優がそろった。王妃を演じるのは、『美しすぎて』でセザール賞を受賞したキャロル・ブーケ。フランスELLE誌が選ぶ2006年の「ホットな女性」でも11位に選ばれ、大人の女性の理想的な存在として常に注目を集めている。王には『コーラス』、『トランスポーター』のフランソワ・ベルレアン。確かな作品力に貢献している。
 神話の世界から抜け出したような王国は、ロワール渓谷に位置し、シャルル・ペロー、ヴォルテールらも宿泊したという、ユッセ城で撮影された。初期ルネッサンス様式の城で、古くはペローの「眠れる森の美女」の、最近ではディズニーランドのシンデレラ城のモデルとなった城である。

ストーリー


踊りを禁じられた王国で王女オーロラ姫は2つの禁を破った
踊り続けることと、許されない相手を愛し続けること−−−

王は踊りを禁じた
「誰にも見られないように今度は森で踊るわ」
 そこは、踊りを禁じられた王国。しかし王女であるオーロラ姫(マルゴ・シャトリエ)はダンスの才能に恵まれ、踊ることを心から愛していた。今日も、こっそりと弟のソラル王子(アントニー・ムノ)に、優美な舞を披露する。
 王(フランソワ・ベルレアン)は、そんな娘に頭を痛めていたが、王妃(キャロル・ブーケ)のそろそろ禁を解いてはどうかという意見に、耳を貸す気はなかった。

政略結婚
「姫君が金持ちの王子に恋をすれば、国が救われます」
 王国に危機が訪れる。干ばつと洪水で農民が税を払えないため、国の財政が傾き、破産寸前だというのだ。側近は王に、オーロラ姫と裕福な異国の王子の政略結婚しかないと進言する。最初はためらっていた王だが、このままでは増税で国民を苦しめるか、戦争で弱小国の冨を奪うしかない。結局王は、残りの財産をはたいて、婚約者を見つけるための舞踏会を開くことにする。

ずっと昔の舞踏会
「千の明かりに輝くお城、音楽が流れて夢のようでした」
 宮殿は舞踏会の準備に浮き立っていた。本当の目的を知らない王妃(キャロル・ブーケ)は、娘の社交界デビューを喜ぶ。オーロラ姫は舞踏会で許される唯一のダンス“メヌエット”を習う。教師は姫の才能に驚き、王妃の遺伝だと感心するが、王妃はなぜかその話題を避けようとする。
 オーロラ姫の世話係が、昔の舞踏会の思い出を楽しそうに語る。では、なぜ王は2度と舞踏会を開かなかったのか?

初恋の肖像画
「髪の毛は小麦色、瞳は緑、肌はバラ色……忘れません」
 招待状と共に姫の肖像画を送るのが習わしだった。宮廷に呼ばれた画家のバンジャマン(ニコラ・ル・リッシュ)は、オーロラ姫の光り輝く美しさと純粋な瞳に、ひと目で心を奪われる。オーロラ姫もまた、彼の賛美と情熱に溢れた眼差しを受けて、ときめきという初めての感情に揺れるのだった。

退屈な最初の舞踏会
「ドレスは似合わないし、コルセットがキツイの」
 最初の舞踏会に招かれたのは、遠い国から来たアブダラ王子(カデル・ベラルビ)。キャンドルの光の中で、王子の国の踊りが披露される。エキゾチックで官能的な男女の群舞が終わり、メヌエットを踊ると、オーロラは席を外したきり帰ってこない。王子は「もう同盟国ではない」と激怒する。
 オーロラ姫は弟を森へ誘い、青白い月明かりの下で、見たばかりの異国の踊りを再現する。たまたま森でスケッチをしていたバンジャマンは、女神が舞い降りたかのような姿に、呆然と見とれるのだった。

不愉快な2度目の舞踏会
「ひどい王子よ。結婚はイヤ」
 婚約が失敗に終わり、王は王妃に舞踏会の真の目的を打ち明ける。好きな人と結婚させたい−−−王妃は心から愛する王に、初めて反対する。この機に王国を乗っ取ろうと企む側近は、邪魔な王妃に毒を盛る。衰弱した王妃が欠席した2度目の舞踏会の主賓は、ジパンゴ王国の王子(竹井豊)。彼が拾うしたのは、白塗りで半裸の男女が踊る恐ろしい舞踏だった。オーロラ姫は言葉をなくして退出し、王妃に結婚したくないと訴える。そんな娘に愛する人の前でつければ一生添い遂げられるという首飾りを贈る王妃は、命の終わりが近いことを知っていた。

母の遺言
「悲しい時も踊ることを忘れないで」
 遂に王妃が亡くなってしまう。3枚目の肖像画を描くために、バンジャマンの前に現われたオーロラ姫は、ソラルが物置で見つけた母のダンス・シューズをつけ、画家のためだけにダンスを踊る。瞬きもせずに見つめるバンジャマン。
 しかし、想いが通じ合った至福の時はあっという間に終わってしまう。娘の恋を知った王は2人を引き裂き、画家を投獄するのだった。

想いを遂げた最後の舞踏会
「愛する人、どこへ行っても一緒よ」
 3度目の舞踏会に招かれたヌシャトー王国の王子(ヤン・ブリタール)は、踊りも優美で礼儀正しい王子だったが、もはやオーロラ姫の目には入らない。バンジャマンの監禁場所を突き止めた弟の合図でその場を抜け出した姫は、彼の前で王妃から贈られた首飾りを身につける。王に連れ戻され、キッパリと王子の求婚を断る姫。王は激昂し、バンジャマンの処刑を命じる。

スタッフ

監督:ニルス・タヴェルニエ
脚本:ニルス・タヴェルニエ、マージョレーヌ・ノノン、マルク・カンタン、ジャン・コスモス
撮影監督:アントワン・ロシュ
プロダクション・マネージャー:シルヴァン・モノー
ポスト・プロダクション・デザイナー:アブラアム・ゴールドブラット
衣装デザイナー:イヴォンヌ・サシノー・ド・ネスル
美術デザイナー:エマニュエル・デュプレ
音響:フランソワ・サンペ、エマニュエル・ラランド、クリスティアン・フォンテーヌ
編集:フロランス・リカール
音楽:カロリン・プティ
振付:カロリン・カールソン、カデル・ベルラビ、竹井豊、ヤン・ブリダール
制作:エミリー・ジョルジュ

キャスト

オーロラ姫:マルゴ・シャトリエ
ソラル:アントニー・ムノ
王妃:キャロル・ブーケ
王:フランソワ・ベルレアン
画家:ニコラ・ル・リッシュ
王の相談役:ティボール・ド・モンタランベール
アブダラ王子:カデル・ベラルビ
ヌフシャテルの王子:ヤン・ブリダール
ジパンゴ国の王子:竹井豊

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