原題:26Years Diary

実話をもとに、夢と恋に生きた青年の短くも美しい青春の日々を描く感動作

2006年/日本・韓国/カラー/130分/ 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2007年07月04日よりDVDリリース 2007年1月27日より渋谷東急ほか松竹東急系にてロードショー

©2007映画「あなたを忘れない」プロジェクト/ワイズジャパン

公開初日 2007/01/27

配給会社名 0042

解説


私たちは決して忘れない。あの日、あなたが“生きた”ことを──

 日本で暮らすことに夢と希望を抱く若者がいた。彼の名前はイ・スヒョン、兵役を終えて日本に留学した韓国人だ。自分の歌を一人でも多くの人に聴いてほしいと願う少女がいた。彼女の名前は星野ユリ、音楽で成功することを夢見るストリート・ミュージシャンだ。広い東京の真ん中で、偶然出会った二人。故郷でバンドを組んでいたスヒョンは、音楽を通じてユリとの友情を育み、やがてそれは恋へと変わっていく。両親の離婚やバンドをめぐる大人たちの思惑に傷つき、夢を見続けることに少し疲れていたユリ。そんな彼女に、素直に家族を想う気持ち、夢に向かって歩き続けることの大切さを、自身の生き方で示したスヒョン。彼もまた大好きな音楽とスポーツを通して二つの国の架け橋になりたいという新たな夢を抱いていた。いくつもの壁を乗り越えて、互いにかけがえのない存在になった二人。しかし、ユリの夢が叶いかけたその時、悲劇は起きた……。
 2001年1月26日、JR新大久保駅のホームから線路に転落した男性を助けようとして、命を落とした韓国からの留学生イ・スヒョンさんの実話をもとに、夢と恋に生きた青年の短くも美しい半生を描く感動作が誕生した。実在のイ・スヒョンさんの心はそのままに、事実とは異なるエピソードを織り交ぜたのが、この映画の主人公イ・スヒョンである。実在のスヒョンさんも、決して特別な青年ではなかったという。恋に悩み、時に人生に傷つき、それでも夢に励まされる、そんな青春の日々を送っていたのだ。そんな彼が、なぜ異国の地で、自らの命を散らしてまで、見ず知らずの人を助けようとしたのか──?
 その答えは、スヒョンの生きた一瞬一瞬に存在しているのかもしれない。彼がいかに自分と家族、そして恋人はもちろん、他人の人生さえ愛していたか、どうやって最後の一瞬まで“生きた”かを、あなたの目で確かめてほしい。

日韓両国の期待の新星とヴェテラン演技派俳優の競演

 主人公のイ・スヒョンを演じるのは、2000人のオーディションから選ばれた、新進俳優イ・テソン。前作『サランニ(親知らず)』で一人二役を演じて高く評価され、今最も注目されている若手俳優の一人だ。この役のために、日本語とギターを猛特訓し、マウンテンバイクを乗りこなし、富士山に登り、大阪を訪ね……撮影期間中、まさにイ・スヒョンの青春を生き切った。いつまでも瞼に残るさわやかで温かい笑顔が、悲しい運命に連れ去られるその時、私たちは涙で見送ることでしか、彼と出会えた喜びを伝えることはできない。
スヒョンと恋におちる日本人のストリート・ミュージシャン、ユリには、沖縄県出身の6人組のバンドHIGH and MIGHTY COLORのヴォーカル、マーキーが扮している。実力派のヴォーカリストとして、すでに高い人気を獲得しているマーキーの歌声が観る者の胸に響く。これが映画初出演とは思えない圧倒的な存在感とピュアで瑞々しい演技が、まさに現代の青春を体現、作品にリアリティを与えることに成功している。
その他、日韓両国の演技派俳優が顔を揃えた。ユリの破天荒な父親、平田役には、俳優、監督、ミュージシャンと多彩な活躍を見せる竹中直人。ユリの繊細な母親、史恵役には、穏やかなキャラクターが幅広い層から支持されている原日出子。ユリの音楽仲間の風間には、クセのあるキャラクターから好青年まで自在にこなす金子貴俊。また、韓国の名優、大ヒットドラマ「冬のソナタ」のジョン・ドンファンが、スヒョンの父親イ・ソンデを演じているのも見逃せない。
監督は、『夢 追いかけて』『不良少年の夢』など、実在の人物を真正面から描くことに定評のある花堂純次。本作では、共同で脚本も担当、日韓両国での徹底した取材とリサーチを重ねた末に、渾身のフィクションを書き上げた。
また、最大の話題は、この映画のテーマと物語に感銘を受けたアーティスト槇原敬之が、主題歌を書き下ろしたこと。命の本質、生きるとは何かに迫る、日本のミュージック・シーンに残る名曲が誕生した。

●人々の記憶に刻まれたあの事故と、その後

2001年1月26日、JR新大久保駅のホームから酒に酔った男性が線路に転落した。日本語学校留学生のイ・スヒョンさん(当時26歳)とカメラマンの関根史郎さん(当時47歳)が、男性を助けようと線路に飛び降り、走ってきた電車に3人ともはねられて亡くなってしまった。スヒョンさんはアルバイト先から帰る途中だった。その後、スヒョンさんの両親が全国から集まった見舞金を寄付したことをきっかけに、日本語学に通うアジアからの留学生を援助する奨学会が設立される。これまでに約250人の就学生を支援している。

ストーリー



夢に向かってまっすぐ走ることを教えてくれたあなた
相手を大切に想うことが恋だと伝えてくれたあなた
そして、あまりにも早く人生を駆け抜けて行ったあなた
──私たちは、あなたを忘れない

出会い──東京の真ん中で、空から歌声が降ってきた

 その日、マウンテンバイクにまたがって、東京の路上ライブを巡っていたイ・スヒョン(イ・テソン)は、一人の女性の歌声に足を止めた。激しさと寂しさが同居する艶やかな声の持ち主は、ストリート・ミュージシャンの星野ユリ(マーキー)。しかし、ユリとバンドのメンバーたちは、因縁をつけてきた男たちとトラブルになり、思わず割って入ったスヒョンも巻き込まれてしまう。ユリの音楽仲間の風間(金子貴俊)の車に拾われ、彼が店長を務める小さなライブハウスに連れて行かれるスヒョン。その店の経営者であるユリの父親、平田(竹中直人)はなぜか韓国人嫌いで、スヒョンは激しい嫌悪をぶつけられる。

友情の始まり──知らないことが多すぎる互いの国のこと

 スヒョンは25歳、故郷で兵役を終えた後、留学生として日本にやって来た。祖父と父が大阪に住んでいた縁もあり、大きな夢と出会えるような予感を日本に抱いていた。ユリは21歳、バイトをしながら音楽で成功することを夢見て、路上ライブを重ねていた。両親が離婚してから父とはケンカばかりで、高校の同級生のミルキー(浜口順子)とアパート暮らしをしていた。翌日もユリのライブに現れたスヒョンは、彼女を新宿のコリアンタウンに案内する。半年前まで名古屋に住んでいたユリが、街並み以上に驚いたのは、スヒョンがサラリと口にした一言だった。「韓国では家族が大切です」

心の絆──音楽ならわかり合える、歌なら通じる

 父と娘はよく似ていた。すぐカッとなるところも、頑固なところも。ライブハウスでのトラブルから、ひどいケンカをしてしまう2人。ユリが歌を始めたきっかけは、争ってばかりいた両親が、彼女が歌うと笑ってくれたからだ。そんな家族も今はバラバラ──もう歌いたくない。落ち込んだユリを励ましたのは、やはり音楽だった。故郷でバンドを組み、ギターを弾いていたスヒョンが、留学生のパーティでユリの曲を演奏した。舞台に誘われて歌いだしたユリは、スヒョンの魂に自分と同じスピリットが流れていることを感じ取る。「なぜプロにならなかったの?」「両親のために人のやっていないことで一番になる。ギターじゃ世界一になれないからね」

友情から恋へ──大切なことを教えてくれた、あなた

 スヒョンは、マウンテンバイクで富士山に旅立つ。誰もやったことがないことをやり遂げると宣言して。しかもその後、名古屋から大阪へ行くというのだ。「ユリが歌えるのも、ユリのお父さんとお母さんがいたからだろう?」スヒョンの真っ直ぐな言葉が胸に突き刺さったユリは、名古屋でスヒョンに合流する。半年前に出て行ったきり電話もしていない母、史恵(原日出子)に会いに行くのだ。友人の五月(大谷直子)が経営する託児所で元気そうに働く母に、感謝の気持ちを素直に伝えるユリ。今度はスヒョンの祖父が暮らした大阪に向かう。
それぞれの原点を訪ねるこの旅で、2人の友情は恋へと変わるのだった。
 

スタッフ

プロデューサー:三村順一、山川敦子、杉原晃史
エグゼクティブプロデューサ:吉田尚剛、藤井 健、山中三津絵、成澤 章
共同プロデューサー:Hye Young Choi
アソシエイトプロデューサー:速水真吾
音楽プロデューサー:?村雅祥(示羊)
原作:辛 潤賛(シン・ユンチャン)著「息子よ!韓日に架ける命の架け橋」潮出版社刊
康 熙奉(カン・ヒボン)著「あなたを忘れない」早稲田出版刊
佐桑 徹著「李秀賢さんあなたの勇気をわすれない」日新報道刊
撮影:瀬川 龍
照明:岩崎 豊
録音:西岡正巳
美術:山崎 輝
編集:坂東直哉、阿部亙英
記録:田中小鈴
脚本:花堂純次、J・Jミムラ
主題歌:槇原敬之「光〜あなたを忘れない〜」作詞・作曲 槇原敬之
監督:花堂純次

キャスト

イ・テソン
マーキー
金子貴俊
ソ・ジェギョン
浜口順子
ジョン・ドンファン
イ・ギョンジン
イ・ソルア
ホン・ギョンミン(友情出演)
吉岡美穂
ルー大柴
大谷直子
原日出子
竹中直人

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