原題:Daisy

2005年/韓国/110分/ 配給:東宝東和

2007年01月26日よりDVDリリース 2006年6月24日(土)〜東京・テアトル新宿、動物園前シネフェスタにて公開 2006年7月8日(土)〜福岡・KBCシネマにて公開 2006年7月29日(土)〜8月11日(金)札幌・スガイシネプレックス札幌劇場にて公開

公開初日 2006/06/24

配給会社名 0002

解説


 ヘヨンは幻に恋していた。どこかで自分を見守りながら、デイジーの花を贈り続けてくれる男性。名前も顔もわからないその人を、彼女は運命の恋の相手だと信じていた。そんなヘヨンの前に現れるひとりの男。シャイなまなざしで自分をみつめる彼を、ヘヨンは、運命の人だと確信する。しかし、彼女はまだ知らなかった。男の正体が、インターポールの刑事であることを。そして、彼の追う暗殺者こそが、本当の幻の恋人であったことを——。
  『私の頭の中の消しゴム』で、日本における韓国映画の興行記録を塗り替えたチョン・ウソンと、『猟奇的な彼女』でブレイクを果たし、『僕の彼女を紹介します』を大ヒットに導いたチョン・ジヒョン。韓国カリスマ・スターのトップに君臨するふたりが、『インファナル・アフェア』三部作のアンドリュー・ラウ監督とドリーム・チームを結成。オランダロケという破格のスケールによるユニバーサルな愛の名作を誕生させた。

『デイジー』は、異国の地でめぐりあった3人の男女の数奇な愛の軌跡をみつめた物語。どこかで自分を見守っている幻の恋人が、姿を現す日を待ち続けている画家の卵ヘヨン。捜査の過程でヘヨンと出会い、恋に落ちるインターポールの刑事ジョンウ。そして、匿名でデイジーの花を贈ることでしか、ヘヨンに気持を伝えられない暗殺者のパクウィ。運命のいたずらによって、それぞれの思いを交錯させる3人。ときに甘く、ときに切なく、ときに突き刺すような痛みを感じさせる彼らの愛の行方を、スタイリッシュなアクションにのせて描き上げた本作は、観る者すべてを酔わせる清冽な美しさを放つラブストーリーの超大作だ。

 暗殺者のパクウィと刑事のジョンウ。敵同士として戦う宿命を負ったふたりの男性に愛されるヒロインのヘヨンを演じるのは、韓流スターNO.1のナチュラル・ビューティ、チョン・ジヒョン。パクウィを思い続けているときにジョンウとめぐりあい、ジョンウを思い続けているときにパクウィと出会う。そんな運命の皮肉に翻弄される無垢なヒロインの心情を、今回のジヒョンは情感豊かに表現し、新境地を開拓。激しいアクション・シーンにも吹き替えなしで挑み、国際派女優として大きな飛躍を遂げた。そのジヒョンと共に、本作でアジアを代表するスターの座を不動のものにしたのは、暗殺者のパクウィを演じるチョン・ウソン。ヘヨンを愛しながらも、愛を打ち明けられない苦しさ。ようやく近づくことのできたヘヨンが、ジョンウを愛していると知ったときの切なさ。凄腕の暗殺者の横顔からは想像もできない純愛を胸に秘めた役どころに、セクシーな魅力をきらめかせるウソンが、本作で女性ファンのハートを釘付けにするのは必至だろう。さらに、パクウィとは対照的に冬の太陽のようなぬくもりを感じさせる刑事のジョンウには、『エンジェル・スノー』のイ・ソンジェが扮し、ヘヨンに対する愛と罪悪感の狭間で揺れ動く心情を繊細に表現する。

 脚本は、『猟奇的な彼女』、『ラブストーリー』、『僕の彼女を紹介します』などで、日本でも数多くのファンを持つクァク・ジェヨン。<運命の恋><すれ違い>といったキーワードに彩られたラブストーリーを、時制に工夫を凝らし、ファンタジックに描きあげていくストーリー・テリングの妙は、本作でも健在。その一級の脚本を、『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ監督が、香港ノワール伝統の<友情と裏切り>のスパイスを効かせて料理。暗殺者と刑事として相対することになったパクウィとジョンウのあいだに、同じ女性を愛する者同士のシンパシーが通いあっていく様をドラマチックに描き出し、観客を熱い感動の渦に巻き込んでいく。
  もちろん、『インファナル・アフェア』の三部作で開花したラウ監督一流のアクション演出も、大きな見どころだ。『スパイダーマン2』や『マトリックス・リローデッド』を手がけているディオン・ラムをスタント・コーディネーターに迎えた本作では、光と影の街として知られるアムテルダムの魅力を存分に活用。アンティークな建物が並ぶ広場や、運河、港といったエキゾチックなロケーションを背景に、息を呑むような華麗なアクション・シーンを作り上げている。
  その他のスタッフには、撮影監督のン・マンチン、美術監督のビル・ルイ、衣装デザインのシルバー・チャンなど、ラウ監督作でおなじみのメンバーが集結。また、日本からは、梅林茂が音楽で参加するなど、スタッフの顔ぶれも国際性豊かなものになっている。
  アジアを代表するキャストとスタッフが、ヨーロッパの地に乗り込み、持てる才能をフルに発揮して完成させた『デイジー』。映画のインターナショナル化の波がアジアから始まっていることを、全世界に向けて高らかに宣言する夢の映画が、いまここに誕生した。

★『デイジー』と『デイジー アナザー・バージョン』の違い
『デイジー』インターナショナル・バージョンは、ヒロインであるヘヨン(チョン・ジヒョン)の視点から描かれたものになっています。
『デイジー アナザー・バージョン』は、チョン・ウソン演じるパクウィからの視点で描かれたものです。

ストーリー

ヘヨン(チョン・ジヒョン)は、オランダで暮らす画家の卵。祖父の骨董店を手伝いながら創作活動を続けている彼女は、初めての展覧会を間近に控え、準備に追われる日々を送っていた。そんなヘヨンが、ある男性と運命的なめぐりあいを果たしたのは、彼女が広場で肖像画を描く仕事をしていた週末のことだった。
 肖像画の客として、ヘヨンの前に現れた男の名は、ジョンウ(イ・ソンジェ)。最初に肖像画のモデルになったとき、時間ばかり気にして絵の仕上がりも待たずに席を立ってしまった彼は、ヘヨンにも彼女の描く絵にも、関心を持っていないかに見えた。しかし、翌日、絵を完成させるために広場へ舞い戻ってきた彼と、ヘヨンは急速に親しくなっていく。ジョンウをひと目見た瞬間から、ヘヨンの胸には確信に似た思いがあった。ジョンウこそ、長い間ずっと待ち続けていた幻の恋人ではないか、と。
 それは、ヘヨンが展覧会用の絵を描くために、山間の村に滞在していた夏の日のこと。丸太橋から足を滑らせて川に転落してしまった彼女は、しばらくして、誰かが自分のために小さな橋をかけてくれたことに気づく。呼びかけても返事をしないその人に、感謝の気持ちを伝えるため、デイジーの絵を橋の手摺りに残していくヘヨン。それから1カ月後、匿名の贈り主からデイジーの花が届けられたとき、彼女は、橋をかけてくれた誰かが、いまもそばにいて、自分を見守っているのだと感じる。こうして名前も顔も知らない相手と恋に落ちたヘヨンは、以来ずっと、デイジーの贈り主が姿を現すのを待ち続けていたのだ。
 その話をヘヨンから聞かされ、黙って彼女を抱きしめるジョンウ。彼の胸は引き裂かれそうだった。自分は、ヘヨンが待っていた男ではない。しかし、真実を告げるには、あまりにも深く、彼は彼女を愛しすぎていた。
 ジョンウの他に、真実を知る男がもうひとりいた。本当のデイジーの贈り主であるパクウィ(チョン・ウソン)だ。プロの暗殺者である彼は生まれて初めて人を殺し、山間の村に身を隠していたときにヘヨンと出会った。その日からずっと、彼女だけを想い、彼女だけを見つめてきた。しかし、闇の世界の住人である彼には、匿名で花を贈り続ける以外、思いを伝える術はない。そしていま、ヘヨンがジョンウと恋に落ちていくのを、彼はただ黙って見つめているしかなかった。
 一方のジョンウも重大な秘密を抱えていた。彼の正体は、アジアとヨーロッパを結ぶ麻薬ルートを追跡するインターポールの捜査官。彼が広場でヘヨンの絵のモデルになったのも、実は張り込みのためだった。その事実を、ヘヨンには告げられずにいるジョンウ。しかし、ついに心の重荷に耐えきれなくなった彼は、ヘヨンにすべてを打ち明けようと決意する。
 事件は、まさにその瞬間、広場で起こった。ヘヨンの前にたたずむジョンウに、麻薬組織の襲撃グループが接近。その危機を、ジョンウ本人よりも先に気づいたパクウィは、ヘヨンを守るため、襲撃者に銃弾を浴びせる。たちまち広場は騒然。反射的に銃を取り出したジョンウは、ヘヨンをかばいながら必死の応戦を試みる。そして、ようやく応援の捜査官たちが駆けつけたとき、ジョンウは、それまで自分を援護していた謎の狙撃者が、敵に変貌を遂げたことに気づく。嫉妬のこもったパクウィの弾丸を足に受けながら、パクウィの潜むビルに向けて走り出すジョンウ。そのころ広場では、流れ弾で首に重症を負ったヘヨンが、声にならない声でジョンウの名を叫んでいた……。

スタッフ

監督:アンドリュー・ラウ
脚本:クァク・ジェヨン
制作会社:アイフィルム

キャスト

チョン・ジヒョン
チョン・ウソン
イ・ソンジェ   

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