2003年/ジャマイカ、ノルウェー、イギリス/カラー/35mm/100分 配給:アートポート

2006年9月2日、シアターN渋谷ほか全国順次ロードショー!

公開初日 2006/09/02

配給会社名 0014

解説


 熱帯の息吹に満ちたカリブ海の島国、ジャマイカ。ボブ・マーリーやジミー・クリフなど、偉大なレゲエ・ミュージシャンを生んだミュージック・アイランドから、新たなラブストーリーが届けられた。

 ジャマイカの人里離れた小屋に住み、人生を音楽に捧げる青年、カッサ。彼はジャマイカのゲットーで生まれた宗教、ラスタファリズムを信仰するラスタファリアンだった。ある日、仲間と組んだバンドで、音楽コンクールに挑戦しようとするカッサの前に、美しい女性、セリーナが現れる。
 セリーナの歌声に惹きつけられ、自分のバンドに彼女を誘うカッサ。しかし、セリーナは牧師の父親に育てられた厳格なクリスチャンだった。しかも彼女には、アーロンという許婚もいたのだ。 
 ラスタファリアンとクリスチャン。決して結ばれてはならない者同士に芽生えた、ほのかな感情が、やがてふたりに大きな試練をもたらすことになる……。

 主役カッサを演じたのは、ボブ・マーリーの息子であり、兄弟のなかでは、もっとも父親の才能を受け継ぐアーティストとして評価の高いシンガー、キマーニ・マーリー。これまでに3枚のアルバムをリリースしているキマーニは、父の名曲をタイトルに掲げた本作にレゲエ・スピリッツを注ぎ込んでいる。
 ヒロイン、セリーナ役を演じたのは、『Dancehall Queen』(97年)をはじめ、女優兼シンガーとして活躍するシャリーヌ・アンダーソン。歌の才能に溢れたふたりのキャストの共演により、本作ではレゲエ・ムービーとしての魅力もたっぷりと味わうことができる。
 また共同で本作の監督にあたったのは、ドン・レッツとリック・エルグウッドのコンビ。ドン・レッツはUKパンクとレゲエを橋渡しした伝説のDJであり、映像作家に転身してからは、300を越えるプロモ・クリップを手掛けた。なかでもクラッシュとの交流は深く、彼らの映像作品のほとんどに関わってきた。
 リック・エルグッドは、これまでにティナ・ターナーやブライアン・フェリーなどのプロモ・クリップを制作。ドンとは『Dancehall Queen』ではじめてチームを組んでいる。
 さらに脚本をジャマイカン・ムービーの傑作『ハーダー・ゼイ・カム』(72年)を手掛けたトレヴァー・ローヌが担当するなど、リアルなジャマイカを知るスタッフが集結。緑溢れる自然を背景に、レゲエやゴスペルの名曲に包まれたジャイマイカ版『ロミオとジュリエット』がここに完成した。

ストーリー


 ジャマイカのキングストン郊外。なにより音楽を愛するカッサは、美しい自然に囲まれた小屋で、ひとり曲作りに没頭していた。カッサは仲間たちとのバンド、フリーダム・シティの練習に出掛けるが、ヴォーカルのクローデットの歌に満足できない。そんな時、音楽コンテスト開催の知らせが彼らのもとに届く。賞金は2万ドル、しかも、有名なセレクターGのスタジオでレコーディングできるとあって、バンドはいろめきたった。
 いっぽう、厳格な牧師を父にもつセリーナも、教会のゴスペル・グループのシンガーとして、コンテストを目指していた。同じグループでキーボードを弾くアーロンと婚約している彼女は、どこか結婚に不安を感じたまま、神を讃える歌を歌っていた。
 そんなカッサとセリーナは、それぞれコンテスト応募用のデモテープを作るために向かったスタジオで偶然出会った。セリーナの歌声にすっかり魅せられたカッサは、自分の
バンドで歌ってくれないかと誘いをかける。突然の誘いに戸惑うセリーナだったが、カッサの音楽を愛する純粋な心に触れて、次第に打ち解けていく。
 しかし、異教徒のラスタが最愛の娘に近付くことを、クリスチャンの父親は許さなかった。さらにゴスペル以外の歌を歌うことを固く禁じられているセリーナは、カッサの歌に魅力を感じながらも、それを歌う勇気はない。お互いの信仰が埋められない溝となって横たわっていた。
 そんなある日、フリーダム・シティのデモテープを聴いたセレクターGが、彼らの歌を気に入り、契約を持ちかけてきた。ところが、セレクターGの強引なやり方に反発したバンドは契約を拒否。業を煮やしたセレクターGは、彼らの曲「ワン・バイ・ワン」を盗んだ挙げ句、手下を使ってバンドを襲わせた。その卑劣な仕打ちに復讐を誓うカッサ。その計画に救いの手を差し出したのは、家を抜け出してきたセリーナだった。
 彼女の手助けで、なんとかセレクターGからデモテープを取り返したカッサだったが、今度はセリーナとの仲に嫉妬したアーロンが仕掛けた罠が待ち受けていた。麻薬密売の汚名を着せられて、刑務所に拘留されてしまったのだ。そして、この事件がきっかけで、カッサとセリーナの関係は気まずくなってしまう。運命に押し流されるように、アーロンとの結婚を受け入れるセリーナ。式の日は刻々と迫る。もう二度と、ふたりの気持ちが通いあうことはないのだろうか。信仰を越えた愛の行方は……?

スタッフ

監督:ドン・レッツ、リック・エルグッド

キャスト

キマーニ・マーリー
シェリーヌ・アンダーソン
アイドリス・エルバ

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