原題:Dust to Glory

2005年/アメリカ/カラー/ビスタ/97分/35mm 提供:レイドバック・コーポレーション 配給:グラッシィ

2006年7月22日、シアターN渋谷ほか全国順次ロードショー

公開初日 2006/07/22

配給会社名 0457

解説


メキシコの西側に位置するバハ・カリフォルニア半島。ここには毎年11月、世界各国から車やバギー、オートバイに乗った怖い者知らずの冒険者たちが集まってくる。彼らが目指すのは、半島の端から端まで不眠不休で走りきる世界最長のノンストップレースにして、最も過酷と言われるオフロードレース”バハ1000″だ。
手つかずの自然が残る荒野で、一昼夜、1000マイルに渡って繰り広げられるこのレース。地球の裏側に位置する日本からも多くの人が参加し、地元では20万人の観客が詰め掛ける熱狂ぶりなのだ。一体、何が彼らのアドレナリンを爆発させるのか?コヨーテがウヨウヨする荒れ地に行き、身銭を切ってまでレースに参加しようという奇特な人たちはどんな奴らなのか?
疑問に答えるべく、ドキュメンタリー・映画界のサラブレッドが立ち上がった。サーフィン映画の金字塔『エンドレス・サマー』のブルース・ブラウン監督を父に持ち、サーフィン・ドキュメンタリー『ステップ・イントゥ・リキッド』が好評だったデイナ・ブラウン監督だ。ブラウン監督はレースの魅力を余すところなく伝えるために、カメラ50台以上、ヘリコプター4機、そして約90人のスタッフを引き連れてババ・カリフオルニアに乗り込んだ。撮ったフィルムの総時間は200時間以上!そして完成したのがドキュメンタリー映画『ダスト・トゥ・グローリー』だ。
オフロードレースと言えば、アフリカを舞台に展開する”パリ=ダカール・ラリ一”が有名だが、規模の大きさから、参加者のほとんどが企業のサポートを受けたワークスの選手中心という”パリ・ダカ”に比べ、”バハ1000″は勇気と根性と、ちょっとばかりのお金があれば誰でも参加可能。67年の初代覇者であり、オフロード界の伝説的レーサーであるJ.N.ロバ一ツは62歳。30年間、レースから離れていたが、息子のジミーと共に親子で参戦だ。マクミランー家は親子3世代で参加。3代目のアンディ一はまだ16歳。取り立ての運転免許証を片手に、バギーを駆る。そんな男たちに付き添ってバハ通いを続けているうちに、「私たちにも走らせて!」とハンドルを握る女性チームもいれば、78年のF1でワールド・チャンピオンを獲得したマリオ・アンドレッティや、バリバリの現役オフロード・レーサーのロビー・ゴードンもエントリー。まさに玉石混合だが、だからと言って必ずしもプロが勝利を収めるとは限らないのが面白いところ。
メキシコというラテン気質な土地柄ゆえ、「ありえねえ〜!」と叫びたくなるハプニングもカメラは捕らえる。
一部、公道を走ることになるこのレースは、その際、一般車両同様の交通ルールにのっとって走らなければならない。だが闘争心に火がついたレーサーたちが法を守るワケもなく、スピード違反で警察にご用となる珍事も。ライダ一なら、転んでサボテンのトゲが刺さることは日常茶飯事。運が良ければ?真夜中の荒野でコヨーテにご対面!となることもあるらしい。
まさに一丁縄ではいかず、参加したレーサーたちはロ々に「こんな過酷なレースははじめて」と弱音を吐く。それでも一度、バハの水を飲んだ者は必ずここに帰って来る不思議な魅力がある。故・スティーブ・マックイーンや『きみに読む物語』の俳優ジェームズ・ガーナー(彼らバハOBも映像で友情出演)らも虜にしたこのレース。メキシコの自然、風、舞い散る埃(ダスト)、そしてそれぞれの目的のためゴール(栄光)を目指すレーサーたちの興奮と汗の匂い。五感で感じる映画がここに誕生した。

ストーリー



〈11月19日。レース前日〉
バハ・カリフォルニア半島の付け根に位置するメキシコ・エンセナーダの街に、今年も世界一・過酷だが、世界一美しい景色が拝めるレース”バハ1000″に約1200人の冒険者たちが集まって来た。『ダスト・トゥ・グローリ一』のプロデューサーであり、プロのライダーでもあるマイク・”マウス”・マッコイも、オートバイの”クラス30″(30歳以上のライダーによるプロクラス)で出場する。マウスの父、マイク・マッコイは”バハ1000″のパイオニア的存在で、その父親から初めてもらった誕生日プレゼントがオートバイだった事から、彼のライダー人生が幕を開けた。レースは、何人で走ってもOKだが、マウスはたった一人で1000マイル(1600km)を走り切るという。マウスは言う。「バハ・カリフオルニアに来ると本能的な感覚になり、すべてを五感で感じるようになるんだ」。
〈11月20日。レース当日〉
まだ夜が明け切れぬ中、レースはオートバイからスタート。”バハ1000″には国境、性別、年齢をも超えて、あらゆる人々が参加しているが、中でも一際脚光を浴びているのが、67年の第1回開催の覇者であり、オフロードの伝説的ライダーであるJ.N・ロバーツ(62歳)。30年間、レースから遠ざかっていたが、息子のジミ一を伴って参加を決めた。バハでもう一度、奇跡を起こすために。
3時間後、バギー、四輪が次々とスタート切る。”インディ500″や”パリ=ダカール8ラリー”でもその名をとどろかせ、「フラッシュ・ゴードン」の異名をとる現役レーサー、ロビー・ゴードンが、ババの最速クラズ”トロフィー・トラック”で最高速300km/hで疾走し詰め掛けた観客を沸かせれば、ビートルのノーマルクラス”クラス11″がほのぼのした空気を漂わす。参加者すらも「どうやって完走するのか謎」と首を傾げるが、彼らはスピード不足も車の不備も、情熱でカバーする。78年のF1ワールド・チヤンピオンであるマリオ・アンドレッティは語る。「ここではどんなに腕のあるレーサーでも、ちょっとした岩に乗り上げたら車は簡単に横転してしまう。だから面白いんだ」
〈11月20日。レー一ス中盤〉
ハプニングが起きた。”バハ1000″は一部、公道を走る。その際のル一ルは、一般車両と同じスピードを守らなければならない。だが、順位を競うワークス車たちのイライラが頂点に達し、つい、アクセルを踏み込んでしまう。すかさずパトカーが飛んできて、70人の選手が逮捕されてしまった。罰金を払い、パトカーに先導されながら再びレースに戻る選手たち。常連レーサーが言う。「シルト(微砂)は最悪。警官には逆らうな。これがバハの教えさ(笑)」。
レーサーたちと救援部隊の連絡係、通称「ウェザーマン」の仕事も慌ただしくなってきた。レースコースとなっている町は、主に貧しい人たちが多く暮らす。彼らにとっでバハ1000″はお祭りであり、レーサーは子供たちにとってヒーローだ。少しでもレースの興奮やスリルを間近で味わいたくて、観客はコースのギリギリに立ってレースを見守る。そこにレースカーが突っ込み、観客の中から怪我人が出たというのだ。ウェザーマンが顔を曇らせる。「例え死者が出てもレースは続くのさ」。
〈11月21日。未明〉
トップは、約15時間でゴールするが、大半の選手にとっていかに夜を乗り切るかが大きな問題。月夜に浮かぶサボテンが不気味に立ちはだかり、約1/4の選手がここでリタイアする。まさに”魔の時”。一人で戦ってきたマウスも暗闇の砂漠でクラッシュし、骨折をしてしまった。たった一人の挑戦。マウスにはゴールしなければならない理由があった、若くして得た栄光からの挫折…。それらを振り払うかのように走り続けてきたマウスは新たなるゴールにたどり着くことはできるのだろうか……。

スタッフ

監督:デイナ・ブラウン

キャスト

[出演ドライバー]
ジミー・ヴァサー
ロビー・ゴードン
イバン・ステュアート
マイク&ロビー・グルフ
ミシェル・ジョーダン ジュニア
ロバート・ゲレロ
マイク“マウス”マッコイ
ジョニー・キャンベル
ライアン・アルシエロ
アラン・フルーガー
マーク・ミラー
マルコム・スミス
JN&ジミー・ロバーツ
ラリー・ロズラー
リッキー・ジョンソン
パーネリー・ジョーンズ
[出演 セレブリティ]
マリオ・アンドレッティ
チャド・マックィーン
ブルース・ブラウン
ジェシー・ジェイムズ
ポール・ページ
スティーブ・マックィーン
(記録映画中)
ジェイムズ・ガーナー
(記録映画中)
タラ・デキデス(Dakedis)

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