原題:Ma mère

うつくしい人は堕落を選んだ—。 エロティシズムの本質を描いた傑作「聖なる神」を奇跡の映像化

2004年/フランス/110分/DOLBY SRD/1:85 ビスタサイズ/R-18 配給:アットエンタテインメント

2007年03月02日よりDVDリリース 2006年7月15日、銀座テアトルシネマにてレイトショー 2006年7月1日、テアトルタイムズスクエアほか全国公開 

公開初日 2006/07/01

配給会社名 0104

解説


 生きる意味を身体で感じたい。感情を抑えて過ごすうち、自分の欲望にさえ鈍くなってしまうのなら。ふしだらであってもいい、剥き出しのままで。それが、真の輝きだと思うから—。 
 美術、文学、政治—エロティシズム。本国フランスはもちろん、日本においても作家の三島由紀夫、芸術家の岡本太郎など、時代の先駆者たちに多大な影響を与えた、20世紀最大の思想家ジョルジュ・バタイユの遺作となった「聖なる神」を完全映像化。’エロス’は’死の意識’と結びつき、タブーを犯すことから生まれるという鬼才の根底をなす重要な要素が、母と子の関係を軸にスキャンダラスに、スリリングに展開していく—。
 内容の過激さから映像化は不可能と思われていた、この究極の愛の物語に挑んだのは『NOVO/ノボ』でジャン=ピエール・リモザン監督とともに脚本を手掛けた、フランス映画界の新鋭クリストフ・オノレ。前作『17 fois Cécile Cassard』(02/国内未発表)が初の長編監督作品にも関わらず、同年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映された事実からも、国内外の彼に対する期待の高さが窺えるだろう。本作においても原作が現代の空気によりマッチするよう見直し、舞台を20世紀初頭のフランスから、現代のスペイン カナリア諸島に移すなど、オリジナルの視点と類い稀なるセンスでバタイユ文学に新たな息吹を注ぎ込んでいる。
 主演は『ピアニスト』『8人の女たち』のイザベル・ユペール。カンヌ国際映画祭で2度の最優秀女優賞に輝く卓越した演技力で、母親・ヘレンを演じる。画面に登場するだけでその場に緊張がほとばしる研ぎ澄まされた存在感で、ともすれば軽薄になってしまう難役に、複雑さと神々しいまでの魅力を与え、刹那に生きるヘレンの痛々しさを見事に表現している。
 母親の隠された本性を知り当惑しながらも、自分の生き方を模索していく息子・ピエールに扮するのは『ドリーマーズ』のルイ・ガレル。巨匠ベルナルド・ベルトリッチに見出された天賦の才能と、物憂げな眼差しから漂う端正な美しさで、欲望をコントロールできず身悶えする役柄にも体当たり。きわどい描写も原作の格調高さそのままに魅せる実力を備えた若手実力派である。
 このほか、衣装提供にクリスチャン・ディオール、バレンシアガをはじめとするフランスのトップメゾンが参加しているほか、挿入歌として1960年代に活躍したタートルズの代表曲「ハッピー・トゥギャザー」、シンディー・ローパーが歌う名曲「愛の讃歌」を起用し、主人公たちの表面的な美しさを華やかに明るく演出することで、彼らが堕ちていく闇の深さをより際立たせ、寓話のような甘美で毒のある世界を創り上げている。バタイユが遺した、美しくも残酷な衝撃作品が華やかによみがえった—。

最愛のママンが、僕を絶望と破滅へ突き落とす—。

ストーリー



崇拝する美しいママンに会うため、ピエールはスペイン、カナリア諸島を訪れる。
自堕落な父親に対する煩わしさから解放され、ママンと二人きり、平穏な暮らしへの訪れに胸を振るわせながら。
しかし、喜びは打ち砕かれ、不安と恐怖に支配される。
青い海、煌めく太陽の下、ママンが徐々に本性を露にしはじめたのだ。
17歳の少年が知る、不道徳で魅惑的なママン。そして、残酷で暴力的な愛の姿とはー。

誘惑の光は、暴力に満ちた行為を開始するたびに神聖な生を照らし出し、
死が犠牲者の首元を切り裂き生を終わりにするその瞬間に輝くのだ。

スタッフ

監督:クリストフ・オノレ「NOVO/ノボ」(共同脚本)
製作:パウロ・ブランコ「クレーヴの奥方」「家宝」
撮影:エレーヌ・ルバール「マルタ…、マルタ」
原作:『聖なる神』三部作「わが母」刊 二見書房
配給:アット エンタテインメント

キャスト

イザベル・ユペール
ルイ・ガレル
エマ・ドゥ・コーヌ
ジョアンナ・プレイス

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