原題:sakuran

いま最高にカッコいい女たちが、この映画で勝負する!

第57回ベルリン国際映画祭・公式部門「特別招待作品/ベルリナーレ・スペシャル」

2007年/日本/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/111分 (PG-12) 配給:アスミック・エース

2007年08月03日よりDVDリリース 2007年2月24日(土)渋谷シネクイント・新宿ジョイシネマ・シネリーブル池袋 他全国一斉ロードショー

(c)2007「さくらん」製作委員会 (c)安野モヨコ/講談社

公開初日 2007/02/24

配給会社名 0007

解説


バシッと心に響き、勇気が満ちる、極彩色エンタテインメント

「てめえの人生、てめえで咲かす」
恋に揺れ、愛を選び、自分らしく本気で生きる青春
監督:蜷川実花×原作:安野モヨコ×脚本:タナダユキ×音楽:椎名林檎 ×主演:土屋アンナ
いま最高にかっこいい女たちが、この映画で勝負する

真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ。大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
桜が満開の中、遊郭<玉菊屋>に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。
時代は江戸。舞台は吉原遊郭にある<玉菊屋>。幕府公認の社交の場として栄華を誇る吉原には、この世のものとは思えないほど、ゴージャスで煌びやかな世界が広がっている。この非日常的な世界で明日の”身請け”を夢見て生きる遊女たちの中でひときわ異彩を放つ遊女がいる。名前は、きよ葉。彼女は、自由を奪われた遊郭という世界で、誰にも頼らず、ただまっすぐに自分を信じて生き、やがて吉原一の花魁・日暮となる・・・。
主人公きよ葉・日暮を演じるのは、モデル、女優、そしてロックアーティストと、多彩な才能を発揮している土屋アンナ。彼女の自然体でありながら、エネルギッシュでパワフルな生き方は、まさしく主人公きよ葉・日暮そのものだ。スタイリッシュなかっこよさの中に、女性らしい繊細さ、美しさ、そして強さをもつ彼女のキャラクターは男女問わず、今まさに圧倒的な支持を得ている。江戸に生きた、吉原が誇る花魁の、誰にも媚びない”かっこよさ””粋””張り”を土屋アンナは体現し、演じる。
監督は、鮮やかな色彩と独自の世界観で、写真史を塗り替える衝撃をもたらした世界的フォトグラファー蜷川実花。妥協が一切許されない”江戸・時代劇”により、華々しくデビューを飾る。蜷川は、今まであった”花魁悲劇映画”ではなく、いつの時代も変わらない活き活きとした”女性のリアル”を追求し、切なくもやさしい”感情”を込めることに成功した。さらに派手派手しいVFX、合成に頼らず、独自のヴィヴィッドな色彩感覚をも存分に発揮した。
原作は、「働きマン」「ハッピー・マニア」など、つねにその時代の女性たちがもつ”リアルな女性像”を投影した作品を描き続け、男女問わず幅広い年齢層にファンをもつカリスマ漫画家安野モヨコ。漫画家になって初めて自分のために描いたという本作が初めての映画化作品となる。脚本には、今回初めて脚本家として参加する『タカダ・ワタル的』『月とチェリー』の映画監督タナダユキ。タナダは、未完の原作と安野の最終話までのプロットを基に、蜷川と共に数ヶ月に渡り練り上げた。そして、本作で初めて映画音楽を手掛けるのは、椎名林檎。全編を流れる音楽は、すべてこの作品の為に作り上げた曲である。椎名は映像編集終了後から作曲を開始。三ヶ月もの間、作品世界にどっぷりと浸かり、粋な花魁がもつ切なさ、儚さ、強さを次々に作品へ投影し、見事に結実させた。
各界最高の女性クリエイターたちが、それぞれがもつ全エネルギーを注ぎ込み、日本映画の枠組みを軽々と飛び越えてみせる。
映画『さくらん』は、ヴィヴィッドで力強さに満ち、いまを生きる私たちの心に深く突き刺さる映画として完成した。

煌びやかな遊郭の裏で繰り広げられる男と女、その光と影
玉菊屋に勢揃いした豪華キャスト

豪華実力派オールスターが蜷川監督のもとに結集した。
日暮を本気で愛してしまう大人の男、大名・倉之助を演じるのは、椎名桔平。きよ葉が初めて本気で恋してしまう男・惣次郎に成宮寛貴。愛に生きる激しく情熱的な花魁・高尾に木村佳乃。常にプライドを持ち、クールで凛とした最高の花魁・粧ひに菅野美穂。玉菊屋の楼主を演じる石橋蓮司、女将を演じる夏木マリ。きよ葉の初めての客であり、吉原一の通人であるご隠居を歌舞伎界から 市川左團次。
そして、主人公きよ葉・日暮を幼少の頃から見守りづつける、玉菊屋の清次を演じるのは、安藤政信。
その他、永瀬正敏、美波、遠藤憲一、小泉今日子など、ずらりと並んだ豪華キャストが盛り上げ、吉原とそこに生きるヒロインを艶やかに彩り、やさしく包み込む。

今までにない吉原と花魁を求めた蜷川ワールド、最高のスタッフィング

繊細で激しい・・・今までにない吉原と花魁の物語を作るためには、最高のスタッフが必要だった。
巨大な遊郭のセットをスタジオいっぱいに創り上げた美術の岩城南海子は、本作で美術デザイナーとしてデビューを飾る。蜷川監督と二人三脚で取り組んだ色鮮やかな美術セットは、非日常的でゴージャスな遊郭という空間を見事に現出させた。衣装を担当したのは、スタイリスト伊賀大介と杉山優子。新たに作られた 50着を超える劇中衣装は、ヴィヴィッドで斬新、まさにこれまでの歴史を覆す着物の数々である。劇中に登場する「花」を担当したのは、フラワー界の異端児、東信。その部屋の主であるキャラクターに合わせ、床の間という小さな空間をロックにアレンジした。さらにアメリカを拠点に活躍する撮影の新鋭・石坂拓郎と、これまで150本を超える作品に携わってきた”光の魔術師”である照明の重鎮・熊谷秀夫が、蜷川ワールドの陰影を見事に捉えた。
これだけの先鋭的なスタッフと共に、浮世絵を徹底的に分析し、その世界観をベースにしながら、独自の再解釈を行った蜷川ワールドは、見る者へ衝撃と共に、活力を与えるだろう。

ストーリー



男と女の求める全てがあった吉原遊郭。
あまたの廓に数え切れない程の遊女、そして花魁がひしめく中、のちに伝説となったひとりの花魁がいた。「なめんじゃねぇよ」と言い放ち、気に入らない遊女に跳び蹴りを食らわす豪快な遊女”きよ葉”。のちの花魁・日暮である。

桜が満開の季節、大門をくぐり、女衒のお蘭によって吉原<玉菊屋>に連れて来られた、たった8歳の少女は”きよ葉”と名づけられる。
門外の桜は満開なのに、廓の中の桜は一本も咲いていない。逃亡して暴れるきよ葉に「吉原に桜が咲いたら、ここから出してやる」とたしなめる店番の清次だったが、きよ葉はきっぱりと「てめえの足で吉原を出てやらあ」と言い放つ。

完璧な花魁:粧ひ「金魚はびいどろの中でしか生きられない」

口が悪く、誰にもなつこうとしないきよ葉の面倒をみることになったのは、気位が高く、絶世の美しさと知性を兼ね備えた完璧な高級花魁・粧ひ。女だらけの世界に嫌気がさし、きよ葉は脱走を図るがあえなく失敗。厳しい折檻を受けても逃げ出すことをやめようとしないきよ葉。だが、自分から「吉原一の花魁になってやる」と言ってしまう。その気にさせたのは粧ひだった。きよ葉に、相手に自分が思った通りの言動をとらせる”手練手管”を見せ付けたのであった。そして、粧ひは金持ちの旦那に身請けされ、全ての遊女が最も夢み、羨望するかたちで吉原を出て行く。それは吉原の門を出て、遊女が生きられる、唯一の方法。別れの日にきよ葉は粧ひから、彼女が身につけていたかんざしを受け継ぐ。

裏切りたくない男:惣次郎「僕は君の真の心を信じるよ」

やがて、17歳になったきよ葉は「十年に一度の天女」と楼主が誉めるほどの女に成長し、店に立つ。きよ葉のはじめての客「突き出し」の相手は玉菊屋一の上客であり、花魁・高尾の馴染であったご隠居。鼻っ柱の強さと美貌が気をひき、一躍江戸中の注目の的となる。
そんな、きよ葉も初めて恋に落ちる。うぶな青年・惣次郎がきよ葉目当てに玉菊屋を訪れ彼女を求めたとき、きよ葉はどうしようもなく恋に落ちた。惣次郎の前では弱さも本音も全て曝け出し、ただひたすら彼といられることをこの上もなく幸せに感じていた。遊女は偽りの愛を売る世界に生きるもの。しかし、惣次郎と過ごす時間だけはきよ葉にとっては本物だったのだ。

情念の女:高尾「惚れるも地獄、惚れられるも地獄・・・」

そんな折、客の人気も愛する浮世絵師・光信の心もきよ葉に向きつつあることを知った高尾はある策略に出る。それによって惣次郎との縁が引き裂かれたきよ葉は激怒し、高尾と大乱闘になり、玉菊屋は騒然となるが、店番の清次はなんとかきよ葉をなだめる。「泣いても負け、勝っても負けだ」。
高尾はその後、光信との久しぶりの時を過ごした後、愛しているからこそ、壮絶な決意を下すのだった・・・。

ついに花魁:日暮「花魁をなめんじゃねぇよ」

18歳になったきよ葉に楼主と女将は花魁になることを願い出る。とまどうきよ葉だが、清次の「お願いします。花魁」という言葉に心が動く。きよ葉はその名を”日暮”と改め、ついに玉菊屋を背負って立つ吉原一の花魁となる。気に入らぬ客はどんなに身分が高くとも相手にしないかと思えば、自分を本気で慕う男は心から大事に扱う日暮は江戸中の男女の羨望を浴びるようになっていた。
そんな見事な日暮の花魁道中に心を奪われた男、倉之助が玉菊屋を訪れる。由緒正しい家柄の武士だ。力の入る女将をよそに日暮は、「物入りであろう」と悪気もなく小判を差し出す倉之助に向かって、「そんなもので自分はなびかぬ」と一掃する。

真に大人の男:倉之助「今日は君に侘びに来た・・・。」

倉之助は再び日暮を訪れた。自分の無礼をただ詫びたいと申し出る謙虚な彼に、素直に自分の非も認める日暮。その晩から彼は日暮の馴染となった。そしてある晩、彼は日暮を正式に妻として迎え入れることを申し出る。だが日暮は「吉原の桜が咲けば、自分はここから出て行くつもり」とつぶやく。
その言葉を叶える為、ある朝、倉之助は本当に吉原を桜でいっぱいにした。そしてあらためて身請けを申し出るのだが、それを断る日暮。詰め寄る倉之助に、日暮は妊娠していることを告げる。誰の子かも分からぬ子を産むということすらも、倉之助は受け入れるのだが・・・。

いつも側にいた男:清次「泣きたいときは思いっきり泣きな」

流産してしまった日暮を助け、励ましたのは、幼い頃から見守り続けていた店番の男、清次だった。何度も脱走を試みたときも、大失恋を経験したときも、初めて客に愛されたときにも、いつも側にいたのは彼であった・・・。
一方清次も、倉之助による身請けが決まり、日暮に対する気持ちの変化を感じていた。

最初と最後の客:ご隠居「咲かぬ桜はないんじゃよ」

着々と身請け、輿入の準備は進められ、春を迎えようとしている矢先、日暮にとって最も大事な客、ご隠居が久しぶりに彼女を訪れた。最後の客として。何かを見失いはじめていた日暮に、ご隠居はある言葉を残して息をひきとる。その言葉に日暮は気がつくのだった・・・忘れていた一番大事なことを・・・。
そして日暮は自分の人生を生きる。

本気で人を恋し、人に愛され、自分の道を自分で決めようともがく。性愛と純愛の狭間を、清々しく生き抜く主人公の姿は、もっともっと自由な世界に生きているはずの私たちの胸をえぐるだろう。2007年、新時代の青春映画が、咲く──。

スタッフ

監督:蜷川実花
原作:安野モヨコ「さくらん」(講談社『イブニングKC』所載)
脚本:タナダユキ
エグゼクティブ・プロデューサー:椎名保
プロデューサー:宇田充、藤田義則
助監督:山本透
撮影:石坂拓郎
照明:熊谷秀夫
録音:松本昇和
美術:岩城南海子
スタイリスト:伊賀大介、杉山優子
ジャルダン・デ・フルール:東信
編集:森下博昭
製作担当:本藤雅浩
ライン・プロデューサー:中林千賀子
特別協力:京朋、ジャルダン・デ・フルール 
製作:「さくらん」製作委員会 
プロダクション:アスミック・エース エンタテインメント 
プロダクション協力:フェローピクチャーズ 
配給:アスミック・エース 

キャスト

土屋アンナ
椎名桔平
成宮寛貴
木村佳乃
菅野美穂
永瀬正敏
安藤政信

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