原題:向日葵(Sunflower)

トロント映画祭 プサン映画祭正式出品作品 サンセバスチャン映画祭 最優秀監督作品賞 最優秀撮影賞

2005年/中国/129分 配給:東芝エンタテインメント

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2006年12月22日よりDVDリリース 2006年7月8日、Bunkamuraル・シネマにて感動のロードショー

公開初日 2006/07/08

配給会社名 0008

解説


『こころの湯』で世界中を感動させたチャン・ヤン監督の最新感動作

大ヒット作「スパイシー・ラブスープ」や「こころの湯」などで世界中の映画祭で絶賛された、中国のニュージェネレーションを代表する実力派監督のひとり、チャン・ヤンの最新作「胡同のひまわり」が遂に誕生した。舞台となっているのは、今、世界で最も速いスピードで進化しつづける北京の中で、昔ながらの佇まいを残す胡同。この街での30年間の変化を見つめながら、画家だった父と彼に抵抗を試みながらも、絵の道に進んでいく主人公の心の軌跡がみずみずしい映像で描かれていく。厳しい態度を崩さない父と自由を求めようとする息子。その激しくも、優しい親子の絆が、最後は見る人を温かい涙で包んでくれる感動作だ。

急速に発展する現代中国の3つの時代を見つめたある一家の30年史

映画が描き分けるのは、北京で暮らすチャン家の3つの表情である。1976年には9才になった主人公のシャンヤンは、近所の子供たちと外で遊びまわり、自由な日々を満喫していたが、そんな日々に変化が訪れる。父親のガンニャンが6年ぶりに家に戻ってきたからだ。彼は自分が果たせなかった画家になる夢を息子に託そうとするが、シャンヤンは自分から自由を奪おうとする父親に抵抗し続ける。87年には19才となったシャンヤンは、初恋に胸をときめかせながら、将来の進路を決めることになる。99年には32才となり、画家として展覧会を控えたシャンヤンだったが、妻の妊娠や両親の離婚騒動など、今度は新たな問題に心を痛める。文化大革命、大地震、新しい経済政策などを経て、急速に変わりつつある近代中国の変化を生き抜くチャン一家。3つの重要な時代をドラマの背景として切り取ることで、今の中国で生きる人々の鼓動と感情がリアルに伝わるユニークな構成となっている。

世界で最も変貌する都市、北京で昔ながらの佇まいを残す胡同。そこで営まれる旧世代の父親と新世代の息子の愛と葛藤の日々

99年の「こころの湯」では銭湯という昔壊かしい場所を背景にした親子のドラマで高い評価を受けたチャン・ヤン監督であるが、今回はひまわりが咲く北京の伝統的な住宅の四合院や胡同と呼ばれる古い路地など、今の中国から消え行こうとする街並みをスタジオに再現して、旧世代の父親ガンニャンと自由で新しい生き方を選択しようとする新世代の息子シャンヤンとの世代間の葛藤に焦点を当てる。自身の体験も反映されたという父と息子の厳しい心の葛藤は、映画全体にドラマティックな緊張感を与え、親子の普遍的な問題を見せてくれる。特に世界で最も急速に発展する中国の近代において、毛沢東の死後に成長した息子とそれ以前の父親ではそのギャップも想像以上のものに違いない。そして、最後は不器用にしか生きられなかった父親の切ない悲しみが伝わる衝撃的なエピソードが用意され、けっして涙なしでは見ることができない感動的なエンディングとなった。また、新しい公団にこだわる母と古い長屋を好む父との対立は、夫婦の老後の生き方について考えさせ、長寿国である日本人にも身につまされるエピソードともいえる。

中国の実力派のスタッフとキャストが総結集した意欲的な映画作り

30年間に渡る現代中国の劇的な時の流れをとらえ、スタジオに中国の古い街並みを再現するという野心的な監督の試みに賛同して、今の中国映画界を代表する実力あるスタッフとキャストが集結した。製作は96年のチャン・ヤンの大ヒット作「スパイシー・ラブスープ」以後、彼と手を組んできたピーター・ローアーが担当。撮影監督はジョン・リン、編集はヤン・ホンユー、美術はアン・ビンとホァン・シンミン、音楽はリン・ハイが担当し、リリカルなピアノ独奏も担当している。また、キャストはシャンヤンを見守るしっかり者の母親、シウチンに「ラストエンペラー」の主演で知られ、最近はリチャード・ギア主演の「オータム・イン・ニューヨーク」などの監督としても知られる国際派女優のジョアン・チェン。厳しい父親のガンニャンを演じるのは、70年代から活躍し、アン・ホイ監督などでも知られるベテランの実力派男優、スン・ハイイン。シャンヤン役は9才の時は1万人の中から選ばれた新鋭チャン・ファン、19才の時はガオ・グー、32才の時はワン・ハイディがそれぞれ演じる。父の旧友、ラオ・リウには国民的俳優のリウ・ツーフォンが演じている。

ストーリー

チャンー家のひとり息子、向陽は1967年に北京で生まれた。
彼の名前、シャンヤンは”太陽に向かって力強く育つ”という意味で、その時、一家が住む胡同の自宅の中庭で育っていたヒマワリにちなんで、この名前がつけられた。彼もヒマワリのように元気に育つが、30年の時の流れを経て、一家にはさまざまな転機が訪れる……。

1976年〜
〈シャンヤンの気ままな少年期〉
文化大革命と悪名高き”四人組”による統治の時代が終わりに向かい、シャンヤン(チャン・ファン)は9歳になった。近所の子供たちと気ままに外で遊ぶ日々を送っていたが、そんな彼にも大きな変化が訪れる。父親のガンニャン(スン・ハイイン)が五七幹部学校での強制労働を終え、6年ぶりに家に戻ってきたのだ。一家の大黒柱が戻り、母親シウチン(ジョアン・チェン)は安堵の表情を見せるが、シャンヤンは内心おもしろくない。父親は遊んでばかりの彼を厳しく叱りつけ、絵の勉強をさせようと考えたからだ。実は父親も絵描きだったが、強制労働で手をつぶされ、今では手の震えが止まらず、絵筆を握ることができない体になっていた。だからこそ、息子に夢を託して、絵を描かせるが、幼いシャンヤンは自由な時間を奪われ、父親に必死に抵抗しようとする。
やがて、唐山で起こった大地震の影響が北京にも及び、チャンー家は家が再建されるまで一時的に避難所で暮らすことになった。そんな混乱の中で、父は自分を強制労働所に追いやった報告書の作成者が旧友のラオ・リウ(リウ・ツーフォン)であることを知り、憤りを覚える。その頃、ラジオでは毛沢東死亡のニュースが報道され、”四人組”も逮捕される。シャンヤンは父の命令で、毎日、絵のノルマをこなし、そのせいで楽しみにしていた映画の上映会にも遅れて、その悔しさをじっとかみしめる。やがて、毛沢東死亡と”四人組”投獄によって自由化のニュースが報道され、シャンヤンは紅
小兵に入隊する。こうして、新しい時代が始まっていく。

1987年〜
〈シャンヤンの多感な思春期〉
シャンヤン(ガオ・グー)は19歳となった。父親に反抗を試みながらも、今では絵の才能を伸ばしつつあった。彼が熱心にスケッチをしていたのは、赤い帽子をかぶってスケートをする美しい女性ユー・ホン(チャン・ユエ)の姿だった。自分の絵を描くシャンヤンにユー・ホンも好意を抱き、やがて、氷の池にすべり落ちたふたりは、服を乾かすために入った部屋で結ばれる。
父親は相変わらず厳しい言葉を投げつけることで、彼の絵の才能を伸ばそうと考えていた。しかし、シャンヤンは少年時代から自分に対して抑圧的な態度を取り続ける父にいよいよ我慢ができなくなり、大学に行かずに、ラウ・リウの息子と共にひそかに広州に行くことを企てた。その旅には恋人のユー・ホンも同行することになっていた。
しかし父はシャンヤンの絵の才能を信じ、家を出ることを許さなかった。そんな父親の抑圧的な態度にますます激しい憤りを感じるシャンヤン。一方、母のシウチンは古ぼけた四合院の長屋から自分が望む近代的な高層アパートの公団にいつまでたっても入れないことに日々、イラ立っていた。

1999年〜
〈高度成長期の中で大人になったシャンヤン〉
北京の町は急速な勢いで近代化が進み、最後まで残っていた胡同や四合院の取り壊しが急速に進む。32才になったシャンヤン(ワン・ハイジ)はハン・ジン(リャン・ジン)と結婚し、元倉庫の建築物を改造して住んでいた。画家としてのキャリアは順調で、大きな展覧会の準備に追われていた。父と母は離婚を決意し、別々の家で暮らしていた。だが実はこれは偽装離婚で、一家がアパートに入れないのは、夫の過去の経歴が原因だったことを知り、新しい家に入るため、短期間、籍を夫と分ける決意をしたのだ。
やがてシャンヤンの展覧会が開かれることになり、父が訪れる。1987年〜
〈シャンヤンの多感な思春期〉
シャンヤン(ガオ・グー)は19歳となった。父親に反抗を試みながらも、今では絵の才能を伸ばしつつあった。彼が熱心にスケッチをしていたのは、赤い帽子をかぶってスケートをする美しい女性ユー・ホン(チャン・ユエ)の姿だった。自分の絵を描くシャンヤンにユー・ホンも好意を抱き、やがて、氷の池にすべり落ちたふたりは、服を乾かすために入った部屋で結ばれる。
父親は相変わらず厳しい言葉を投げつけることで、彼の絵の才能を伸ばそうと考えていた。しかし、シャンヤンは少年時代から自分に対して抑圧的な態度を取り続ける父にいよいよ我慢ができなくなり、大学に行かずに、ラウ・リウの息子と共にひそかに広州に行くことを企てた。その旅には恋人のユー・ホンも同行することになっていた。
しかし、出発の直前になって、その計画が父にばれてしまう。駅に向かった父は嫌がるシャンヤンの手を引きながら、列車から彼を引きずりおろしてしまったのだ。父はシャンヤンの絵の才能を信じ、家を出ることを許さなかった。そんな父親の抑圧的な態度にますます激しい憤りを感じるシャンヤン。そして、彼への怒りが遂に爆発する日が来る。シャンヤンは久しぶりに再会したユー・ホンに別れの言葉を告げられるが、その時、彼は身ごもったユー・ホンが父の指図のもとに、知らない問に子供を堕うしていたことを知ったのだ。さすがに今度ばかりは父親を許せない、と考え、家を飛び出したシャンヤンだったが、父が凍った湖の割れ目に落ちてしまい、仕方なく父に手を差し伸べるのだった。
一方、母のシウチンは古ぼけた四合院の長屋から自分が望む近代的な高層アパートの公団にいつまでたっても入れないことに日々、イラ立っていた。

1999年〜
〈高度成長期の中で大人になったシャンヤン〉
北京の町は急速な勢いで近代化が進み、最後まで残っていた胡同や四合院の取り壊しが急速に進む。32才になったシャンヤン(ワン・ハイジ)はハン・ジン(リャン・ジン)と結婚し、元倉庫の建築物を改造して住んでいた。画家としてのキャリアは順調で、大きな展覧会の準備に追われていた。父と母は離婚を決意し、別々の家で暮らしていた。だが実はこれは偽装離婚で、一家がアパートに入れないのは、夫の過去の経歴が原因だったことを知り、新しい家に入るため、短期間、籍を夫と分ける決意をしたのだ。
やがて、シャンヤンの展覧会が開かれることになり、温かい家族の時間が実現した。
しかしある時、父は姿を消し、シャンヤンたちの前には、テープに吹き込まれた彼のメッセージが残されていたのだ……。
30年間、シャンヤンが目を、心を閉ざし、気付こうとしなかった父親の秘めた想いとは一。

スタッフ

監督・脚本:チャン・ヤン
音楽:リン・ハイ
撮影監督:ジョン・リン
製作:ピーター・ローアー

キャスト

ジョアン・チェン
スン・ハイイン
リウ・ツーフォン
チャン・ファン
ワン・ハイディ
ガオ・グー
チャン・ユエ
リャン・ジン
リー・ビン

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