2005年/日本映画/96分 配給:バイオタイド

2006年4月1日より池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開

(C)2005フルメディア/プラウドマン/KTJ

公開初日 2006/04/01

配給会社名 0330

解説


ただ音楽が好き、ただ歌が好き、ただ歌が歌いたい。
どんなにビッグなアーティストも、最初は音楽大好き。
そんな純粋な気持ちから出発しているのではないだろうか?

『君はまだ、無名だった。』は陽光きらめく真夏の湘南を舞台に、夢を叶えるために奮闘する若者の姿をみずみずしく描いた青春音楽映画である。

主人公の青年は、都会でひとり暮らす新進作曲家だ。
クライアントの意向最優先の楽曲作り、タイトな創作時間、理解されないオリジナリティー、土壇場でのコンセプト変更‥etc。
高校時代から持ち続けた「音楽で身を立てたい」という強い思い。それを見事に叶え、今やプロの作曲家として多忙な毎日を送る彼。だがいつからか自分の日常に違和感を覚えるようになっていた。「僕が望んでいたのは、こんな生活だったのだろうか?」。

 作曲家として忙殺される主人公はある日、高校時代の恩師の死をきっかけに青春時代に思いを馳せる。ただ純粋に音楽を愛していたあのころ‥‥‥。
 気の置けない仲間との会話、ピアノのレッスンに励んだ日々。そしてずっと封印してきたあの事件、最愛の女性との別れ。楽しい記憶だけでなく、悲しい過去とも勇気を持って向き合うことで、やがて彼は未来への新しい一歩を踏み出すこととなる。

 主人公・和実を演じるのは、これが映画初主演となる椿隆之。
 「仮面ライダー剣(プレイド)」に主演。一躍注目を浴びた彼が、自らの人生と葛藤する和実を繊細に演じている。和実に恋心を抱く同級生・由基子には”第8回全国日本国民的美少女コンテスト”でグランプリ受賞、「美少女クラブ31」の正統派美少女・阪田瑞穂。和実の才能を引き出す、美しい年上の恋人・乃里子に『桜の園』の宮澤美保。和実の人生に大きな影響を与える橘先生に名優・萩原流行、その妻・節子にベテラン・原日出子、和実の母に鶴田さやか。そして和実の同級生に新鋭・関川太郎と佐藤タケシ。

 原案&監督は若手俊英・葉山陽一郎。
故郷である湘南を舞台に、現実と格闘する主人公に真摯にカメラを向けた。「和実には現在の自分が投影されている」と葉山監督は話す。またオシャレなイメージが先行する湘南ではなく、地元民ならではのロケ場所を選び撮影を敢行。おみやげもの屋さんが並ぶ商店街や地元の若者が集う藤沢名店ビルなど、これまでの湘南映画とは一線を画した庶民的で暖かな湘南風景が堪能できるのも本作の大きな魅力だ。

 過去への旅を経験し、自らの”内なる情熱”を再確認する主人公・和実。
彼のそんな姿はきっと苦難を乗り越えようとする多くの人々への応援歌となるであろう。

ストーリー



 東京・副都心。とあるマンションの一室で鳴り響く電話の音。
深瀬和実(椿隆之)が受話器を取り上げないのはいつものことだった。こうして今日も留守電のメッセージには、クライアントからの無理難題や急ぎの発注が残されるのだった。
ここは新進作曲家として活躍する和実の仕事場兼自宅である。
音楽で身を立てたい。そんな夢を持ち、それを見事に叶えた和実。しかしプロの作曲家としての毎日に、彼はいつからか違和感を持つようになっていた。

 そんなある日、和実の元に実家の母・千津(鶴田さやか)から電話が入った。
「橘先生(萩原流行)が亡くなったわ」。
橘章吾先生。それは和実にとって忘れることのできない存在だった。
橘の葬儀に参列するために生まれ育った湘南を目指し、電車に乗る和実。やがて彼の記憶は海の見える高校で過ごした青春時代へと遡っていく‥。

1994年・夏。
和実は音大を目指す七里ヶ浜学園高校の3年生だった。
受験生にとって夏休みは勝負の季節。音大受験には筆記と同様、実技も重要だ。
だが父亡き後、スナックを経営する母の女手ひとつで育てられた和実。彼の家庭には到底ピアノを買う余裕はなかった。
そんな和実に音楽担当の橘先生は言った。
「夏休みの間、ウチに来ないか」。
橘家でピアノに向かうことに和実は夏休みの毎日を費やした。熱心にレッスンを続ける和実に、手料理を振舞う橘の妻・節子(原日出子)。和実は着実にピアノの腕前を上げていくのだった。

 和実は勉強のかたわら、同級生たちとバンドを組んでいた。メンバーは馬渕(関川太郎)、北川(佐藤タケシ)、そして由基子(阪田瑞穂)。バンドをやっている以上は人前でライヴをやってみたい。そう考えた彼らは渋谷での路上ライヴを計画。だが校外活動は校則で禁止されている。和実たちは学校に内緒で渋谷での路上ライヴを決行することに。渋谷を目指し、車で湘南を出発した彼ら。しかし慣れない運転のため一方通行を逆走。危うく人身事故を起こすところを免れたまではよかったが、早速学校に呼び出される。

無断で校外活動を行おうとしたことに対し、4人は学校側から厳しく追及される。その時、和実が叫んだ。
「無断じゃない。橘先生の許可をもらっています!」。
和実のその言葉が原因で、やがて橘先生は教壇を追われることになる…。

スタッフ

製作:永森裕二/大山敏和/川原田正史
プロデューサー:前田茂司/狩野善則
ラインプロデューサー:坂井正徳
脚本:平見瞠
音楽:平見文生
撮影:中尾正人
照明:安部力
録音:永口靖
美術:常盤俊春
編集:香山麻美
助監督:佃謙介
スタイリスト:小野今朝義
メイク:野中真紀子
制作主任:高瀬大樹
企画協力:ブレス
制作:楽映舎
製作:フルメディア/プラウドマン/KTJ
原案・監督:葉山陽一郎

キャスト

椿隆之
阪田瑞穂
宮澤美保
関川太郎
佐藤タケシ
鶴田さやか
小瀬川理太
天現寺竜
石井あみ
原日出子
萩原流行

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