原題:The New World

『シン・レッド・ライン』から7年、巨匠テレンス・マリック最新作! 壮大なスケールと圧倒的な映像美で描く感動の超大作

2005年/アメリカ/カラー/135分 配給:松竹

2006年09月20日よりDVDリリース 2006年4月22日よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー

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公開初日 2006/04/22

配給会社名 0003

解説


21世紀を生きるすべての人に贈る新たなる愛の伝説

 わずか2本の作品で、伝説になった監督がいる。彼の名前は、テレンス・マリック。デビュー作の『地獄の逃避行』、続くアカデミー賞撮影賞、カンヌ映画祭監督賞を受賞し、完璧な美をたたえた映像詩と絶賛された『天国の日々』を最後に20年間の沈黙を守ったため、伝説は完結したと誰もが思い始めていた。ところが、沈黙はさらなる傑作で劇的に破られた。太平洋戦争のさなか、ガダルカナルでのアメリカ軍の過酷な戦いを描いた『シン・レッド・ライン』だ。ベルリン国際映画祭金熊賞の栄誉で巨匠の復活が祝されてから7年、テレンス・マリック監督の最新作『ニュー・ワールド』が、遂に完成した。

世界中が祈るように待ち続けたこの最新作では、”生ける伝説”のマリック監督が、”アメリカで最も有名な伝説”に挑んだ。文学や舞台、ディズニー映画のアニメーション作品など様々なかたちで描かれ、日本でも広く知られているポカホンタスとジョン・スミスの愛の物語だ。

 17世紀初頭、アメリカ大陸の北部にイギリスからやって来た船が到着した。彼らの目的は、”新大陸”を開拓すること。しかし、この地には古くから受け継がれてきたネイティブ・アメリカンのコミュニティが存在していた。冒険家のジョン・スミスは、未知の世界で生き抜くためにネイティブの人々の助力を得る任務を負う。やがて彼は、族長の娘、ポカホンタスと出逢う。勇気と希望に満ち溢れたスミスと、ピュアで情熱的なポカホンタスは、異なる言葉と文化の壁を超え、たちまち恋におちる。しかし、友好を結んだかに見えた開拓者たちと先住民の間に激しい衝突が起こり、2人の愛は引き裂かれてしまう……。

ポカホンタスとジョン・スミスの物語は、17世紀から21世紀の現代に至る400年もの間、大切に語り継がれてきたラブ・ストーリーである。かつてない大発展を遂げた情報化社会に生きる今日の私たちは、あらゆるものを急速なスピードで消費している。数ヶ月前に世の中が夢中になった娯楽や芸術が、既に過去のものとなっている。そんな現代でも、なぜこの物語は決して忘れ去られることがないのだろうか? 強い絆で結ばれていくポカホンタスとスミスの恋の行方に、なぜこれほどまでに胸が震えるのだろうか?

マリック監督はその答えを探るべく、膨大な史実のリサーチを重ね、独自の解釈を加えて、魂の柔らかな場所に触れるような深遠なる感動に満ちた脚本を書き上げた。そして、驚くほど昔日の姿が保たれていた、アメリカ・ヴァージニア州の大自然をロケ地に、壮大なスケールと観る者を陶酔へと誘う圧倒的な映像で、唯一無二の超大作を生み出した。これこそが、21世紀を生きる私たちが求めていた、新たなる愛の伝説なのだ。

魂を癒す映像美を支えた驚異の新人と最高のスタッフ・キャスト
 テレンス・マリック監督が新作を撮るという噂が広まるや否や、名だたる俳優たちが出演を熱望して彼のもとに押し寄せた。しかし、ジョン・スミス役に関しては、マリック監督の心は最初から決まっていた。今やハリウッドを代表する若手演技派俳優としての地位を不動のものにした『アレキサンダー』のコリン・ファレルだ。マリック監督が惹かれたパワフルな魅力を存分に活かす一方、眼差しやふとした仕草だけでポカホンタスへの切なく熱い想いを表現、人が恋におちる美しい瞬間を艶やかに演じ、新境地を拓いた。

アメリカの神話ともいうべき存在、ポカホンタス役に大抜擢されたのは、15歳の新人クオリアンカ・キルヒャー。妖精のように無垢な少女が、恋の喜びと苦しみを知って成長し、やがて対立する2つの世界のかけ橋となっていく姿を、輝きを放つ存在感で見事に演じきった。心に傷を負ったポカホンタスを支えるジョン・ロルフには、『バットマン ビギンズ』のクリスチャン・ベール。善良で高貴な精神を持つ英国紳士の役に扮したベールの穏やかな優しさに満ちた演技は、観る者の心に長い余韻を残し、作品の品格を高めることに成功した。その他、『ナショナル・トレジャー』のクリストファー・プラマー、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のデヴィッド・シューリスら個性派俳優が味わい深い演技を見せている。また、全米各地からネイティブ・アメリカンたちが集結、祖先の偉大なる文化とスピリットを伝えるために出演した。

 スタッフには、マリック監督が絶大な信頼を寄せる、高度な技術と気高い精神をあわせもつ顔ぶれが揃った。監督が望む、照明を使わない自然光での撮影を実現したのは、『スリーピー・ホロウ』のエマニュエル・ルベツキ。風の歌と囁きが聴こえる緑の草原、森の奥深くへと蛇行する神秘的な川、一番星が煌く澄み切った空、そして愛と争いの入口となった広大な海──心を癒す大自然を捉えた映像は、神々しいまでに美しい。

 プロダクション・デザイナーは、マリック監督の全作品を担当しているジャック・フィスク。資料に乏しい当時の住居や装飾品を、徹底的なリサーチと豊かなイマジネーションでほとんどゼロから創り上げた。さらに、魂を清めるような優美で崇高な音楽は、『タイタニック』でアカデミー賞を受賞したジェームズ・ホーナーが手がけている。

ストーリー




新大陸へ──
「自然の恵みにあふれる、実りの大地。切り開こう、新しい国を築くのだ」
 1607年、イギリスを出港した船が、北アメリカのヴァージニアに流れ着いた。さっそく自分たちの住む砦を造り始めた彼らの目的は、”新大陸”を開拓し黄金を手に入れること。しかし、この地にはすでにネイティブ・アメリカンたちが暮らしていた。川上に、ポウハタン(オーガスト・シェレンバーグ)という強大な王が治めるコミュニティがあるのだ。
 ニューポート船長(クリストファー・プラマー)は、反乱罪で裁かれるはずだったジョン・スミス(コリン・ファレル)を解放する。彼の勇敢な行動力を高く買っていた船長は、スミスにネイティブとの交渉役を任命すると、補給物資を調達するためにイギリスへと戻っていった。
恋におちた2人──
「王の末娘が一番美しかった。太陽よりも明るく、いつも輝いていた」
 好奇心から近づいてきたネイティブを捕え、川上へと案内させるスミスの遠征隊。広大な川が徐々に狭まって浅瀬になると、どこまでも続く緑の平原が待っていた。スミスたちは背丈より高い草に飲み込まれ、たちまち案内役を見失ってしまう。気が付けば、スミスはたった1人で弓や斧を構えたネイティブの戦士たちに囲まれていた。
 ポウハタンの前に連行され、この地から立ち去れと言われたスミスは、春に船が戻って来るまでは動けないと告げる。スミスの処刑が命じられた時、ポウハタンの末娘のポカホンタス(クオリアンカ・キルヒャー)が命乞いをする。最愛の娘の願いを聞きいれたポウハタンは、スミスが娘に海の向こうの世界について教えることを望む。妖精のように愛らしいポカホンタスの輝きに、スミスはたちまち心を奪われるのだった。
愛こそすべて──
「自分が怖い。彼が神のように見える。誓うわ、私たちは1つよ」
 ポカホンタスに自国の言葉を教えるスミス。一方、部族の若者たちは、スミスに自分たちの武器や装飾品を貸し与え、メイクを施し、戦術や踊りを教える。彼らは優しく誠実で、悪意や策略、裏切りや嫉妬、所有の観念とは無縁だった。スミスは、夢に違いないと思うほどの美しい時間を味わっていた。
 太陽の下で子供のように無邪気に戯れていたスミスとポカホンタスの恋は、急速に深い愛情へと育っていく。ためらいがちに手を握り、そっとポカホンタスの肩に触れる手が、スミスの愛の告白だった。彼女の答えは、髪から外してスミスの手に握らせた、素朴な羽根飾り。鳥の群れが飛び立ち、雷鳴が轟き、2人の心は1つになった。しかし、ポウハタンは春にイギリスへ帰るという条件で、スミスを解放する。
離ればなれ──
「夢だった、夢から目覚めた。なぜここにいる?」
 食料をもらって、砦に戻るスミス。彼の留守の間に、砦は飢えと病と憎しみに満ちていた。いつの間にか指揮権を握っていたウィングフィールド(デヴィッド・シューリス)が、逃亡による反乱罪だとスミスに銃を向ける。しかし、横暴なウィングフィールドに反発する男にあっさりと撃ち殺され、スミスが新しいリーダーに選ばれる。
 スミスは砦の生活を立て直そうと奔走するが、いくら掘っても黄金など影も形もなく、伝染病は広がり、やがて厳しい冬が訪れて人々の飢えは極限に達した。スミスが川上の楽園を忘れようとしていたある日、雪の中にポカホンタスを先頭にしたネイティブたちが現れる。父親には内緒で、食料を届けにきてくれたのだ。
運命を変えた戦い──
「どんな時でも、私はあなたの味方よ」
 春が来た。スミスとポカホンタスは再会し、頭上に広がる大空に見守られて、ひそかに愛を確かめ合う。しかし、いつまでも立ち去らないイギリス人をポウハタンは許さなかった。夜半、ポカホンタスはスミスに明朝の攻撃を報せるが、もはやどうすることもできない。スミスは軍を統率し、大砲や銃でかつて心を通わせた戦士たちを迎え撃つ。ゆっくりと流れる雲の下、戦闘はいつ果てるともなく続き、たくさんの血が流された。
 戦いは思わぬ形で幕を下ろす。ポウハタンに親子の縁を切られて追放されたポカホンタスを、叔父が人質としてイギリス側に売り渡したのだ。反対したスミスは失脚、彼女は砦に連行される。
引き裂かれる2人──
「あなたは、私の人生を盗み去った。私の神が死んだ」
 砦に戻ったニューポート船長はスミスの地位を回復させ、国王がインドへの新航路発見のため帰国するよう求めていると伝える。王からの要請は名誉だが、それはポカホンタスとの別れを意味していた。
 スミスの愛を信じて、イギリス流の暮らしを学ぶポカホンタスの姿が、スミスの胸を締め付ける。親兄弟から、裸足で草原を駆け抜けるポカホンタスを奪ったのは、他ならぬ自分ではないか──。「僕は君にふさわしい男じゃない」ある朝、ポカホンタスが眠っている間に、スミスは旅立つ。自分は溺死したと伝えてほしいと仲間に言い残して……。
 スミスとの別れに泣き崩れ、死の報せには言葉も失くし、ポカホンタスは抜け殻のようになってしまう。一方、ポウハタンたちは開拓の名のもとに土地を追われる。愛のために異なる2つの世界を結ぼうとしたポカホンタスは間違っていたのか?
再会、そして──
「愛ゆえに結ばれる。愛ゆえに別れる」
 妻と娘をなくしたイギリス人貴族ジョン・ロルフ(クリスチャン・ベール)が失意のポカホンタスに同情し、やがてそれは愛に変わる。ポカホンタスもロルフの優しさに心安らぐが、彼のプロポーズを承諾した時、まだスミスを愛していることに気付くのだった。
 ポカホンタスが穏やかに包み込んでくれる夫の愛情に応え始めた時、彼女はスミスがロンドンで生きていることを知る。ちょうどロルフと共に、新世界の象徴としてイギリス国王から招待を受けた時だった。スミスとの再会を期して大海を渡るポカホンタス。果たして彼らの愛の行方は──?

スタッフ

監督:テレンス・マリック
プロデューサー:セーラ・グリーン
脚本:テレンス・マリック
製作総指揮:ビル・メカニック、トリッシュ・ホフマン
撮影監督:エマニュエル・ルベツキ
プロダクション・デザイナー:ジャック・フィスク
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
編集:リチャード・チュウ、ハンク・コーウィン、サー・クライン
音楽:ジェームズ・ホーナー

キャスト

コリン・ファレル
クオリアンカ・キルヒャー
クリストファー・プラマー
クリスチャン・ベイル
オーガスト・シェレンバーグ
ウェス・ステューディ
デヴィッド・シューリス
ラオール・トゥルヒロ

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