原題:Murderball

2005年度アカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞 ノミネート作品 2005年サンダンス映画祭 ドキュメンタリー部門 観客賞/編集部門 特別審査員賞 受賞作品

2005年/アメリカ/85分/ビスタ/ドルビーSRD/字幕翻訳:石田泰子 後援:日本ウィルチェアー連盟/ 提供:クロックワークス、テレビ東京、エイベックス・エンタテインメント、ぴあ 配給:クロックワークス

2007年03月21日よりDVDリリース 2006年10月7日より渋谷アミューズCQNほか全国ロードショー

公開初日 2006/10/07

配給会社名 0033

解説


戦車のようにカスタマイズされた車いすを駆使して相手をなぎ倒し、格闘技にも匹敵する激しさから“マーダーボール”とも言われる競技、ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)。本作『マーダーボール』は、ウィルチェアーラグビーで世界一を目指す男たちを追ったスポーツ・エンタテインメントである。

不良少年として育ち、事故で車いす生活を余儀なくされてもその生活ぶりは変わらない、アメリカ代表チームキャプテン、マーク・ズパン。ケンカがもとで不完全四肢マヒになったスコット・ホグセット、9歳にして病気で両手足を失ったボブ・ルハノらチームメンバーの活躍で、アメリカ代表チームは世界選手権を10連覇していた。しかし、2002年大会決勝で奇しくもカナダに敗れてしまう。カナダ代表チーム監督は、かつてアメリカ代表選手として活躍していたジョー・ソアーズ。家族との関係にも支障をきたすほどの情熱を競技に注ぎ、激しい闘志を剥き出しにする“裏切り者”ジョー率いるカナダからNo.1の座を奪還すべく、アメリカ代表は再びハードなトレーニングを開始する。
その頃、ニュージャージー州に住む少年、キース・キャビルはリハビリ生活をスタートさせていた。彼は4ヶ月前にバイク事故に遭い、下半身不随となってしまったのだ。靴を脱ぐ事すらできないという現実に苦悩する日々。そんな彼が車いすでの生活を受け入れるきっかけとなるのは、ウィルチェアーラグビーとの出会いだった。

個性豊かな選手たちとその恋人・家族との関係、そして事故の加害者との確執や苦悩を交えながら、舞台はアテネ・パラリンピックでのアメリカとカナダの因縁の対決へと向かっていく・・・。激しいタックル、スピード、息を呑むほどの臨場感—その試合がもたらす熱狂と興奮、そして過酷な運命と闘い続ける選手たちが、最も過激な競技でプレーする姿は、観るものすべての胸を熱くする!

ストーリー



慣れた手つきでカスタマイズされた車いすに乗り込み、トレーニングのためジムへ向かう男。長いヒゲと派手なタトゥーが印象的なマーク・ズパンは、ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)のアメリカ代表選手である。11年前の交通事故で四肢マヒ障害を負ったが、事故に遭う前から両親も手を焼く”荒くれ者”だった。車いす生活になった今でも、健常者相手に喧嘩を吹っかけ「俺が車いすだから引くのか?来い!殴り返してやる」と、性格はそのままだ。ウィルチェアーラグビーに参加するほとんどの選手が頚椎を損傷しており、同じアメリカ代表選手のアンディ・コーンは交通事故、スコット・ホグセットはケンカが原因で、ボブ・ルハノは子どもの頃の病気で両肘・両膝の先を失い、車いす生活を送っていた。

2002年、スウェーデン・イエテボリにて開催された第11回ウィルチェアーラグビー世界選手権大会。これまでの世界大会はアメリカが10年連続で優勝。トーナメント3日目、全勝で勝ち進むアメリカは、世界ランキング5位のカナダと対戦することとなった。カナダ代表チームでは、かつてアメリカ代表として数々の偉業を成し遂げたジョー・ソアーズが監督を務めていた。ジョーはアメリカ代表から戦力外通告を受けたことに納得できず、無断でカナダへ渡り、監督に就任していたのだった。元チームメイトとの対戦を前に「アメリカの戦術は古臭い」と、闘争心を剥き出しにするジョー。そんなジョーに対し、「彼は道端の火だ。小便で消してやる」とマークたちは罵り、アメリカ代表チームの作戦やサインを持っていった“裏切り者”だと反発心を強めていた。
試合は接戦の末、最終ピリオドへ。同点となり、残り時間30秒を切ったところでカナダが得点。残り時間10秒、アメリカの最後のパスは通らずに試合終了、カナダが勝利を収めた。初めて味わう敗北に打ちひしがれるアメリカ代表メンバーだったが、2004年アテネ・パラリンピックに次の目標を定め、カナダを倒し、再び世界の頂点に立つことを誓う。

同じ頃、ニュージャージー州のケスラー・リハビリ・センターに入院しているキース・キャビルは、4ヶ月前にバイク事故に遭って以来、リハビリ生活を送っていた。靴を脱ぐ事すら自分でできないという現実に絶望する日々。アメリカ代表チームのスコットは言う「最初の2年が一番辛い。治療が終わって退院しても、体はほとんど動かず、何ひとつできない。3〜4年は自立のためのリハビリだ」。また、「退院してから彼女とどうやってSEXしたらいいのか?」と悩むキースには、リハビリの一環として性生活のレッスン・ビデオも用意されていた。

一方、マークは高校卒業10周年の同窓会に参加していた。そこにかつての親友クリス・アイゴーの姿はない。11年前、サッカー部の祝賀会で泥酔したクリスの運転する車が事故を起こした。荷台にいたマークは車外に放り出され、13時間運河の枝に捕まったまま、ひたすら救出を待った。一命を取り留めたものの、マークの体には四肢マヒ障害が残る。それ以来、二人はお互いの正直な気持ちを話し合う機会を失ってしまったのだ。しかし、長い年月が経った今、クリスは当時の事故と正面から向き合うようになっていた。マークはそんなクリスをアテネ・パラリンピックへと招待する。

アテネ・パラリンピックまで3ヶ月。カナダ・バンクーバーで行われたシード決定戦で、再びアメリカとカナダが対戦。今度はアメリカが勝利し、第一シードの座を奪還する。
その後、マークはニューヨークの病院を訪れ、ウィルチェアーラグビーの説明会を開催する。そこにはキースの姿もあった。最初はためらいがちなキースも、「俺は車いすになってからの方が活動的になった」と話すマークや競技用の車いすの造形に魅了され、ウィルチェアーラグビーに興味を持つようになっていく。

そして遂に2004年のアテネ・パラリンピックが始まる。アメリカ代表チームは、5日間でドイツ、ニュージーランド、日本、オーストラリアを撃破、いよいよジョー・ソアーズ率いる宿敵カナダ代表チームとの対戦を迎える。果たして因縁の対決を制するのはどちらの代表チームか?!

スタッフ

監督:ヘンリー=アレックス・ルビン/ダナ・アダム・シャピーロ
製作:ジェフリー・マンデル/ダナ・アダム・シャピーロ
撮影:ヘンリー=アレックス・ルビン
原案:ダナ・アダム・シャピーロ
編集:ジェフリー・リッチマン
音楽監修:トレイシー・マクナイト
オリジナルスコア:ジェイミー・サフト

キャスト

マーク・ズパン
ジョー・ソアーズ
キース・キャビル
アンディ・コーン
スコット・ホグセット
ボブ・ルハノ

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