リトル・ランナー
原題:SAINT RALPH
本国カナダにて、2005年4月8日公開
2004年/カナダ/98分/ビスタサイズ/DOLBY SR/DOLBY DIGITAL 提供・配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ
2009年06月26日よりDVDリリース 2006年10月27日よりDVDリリース 2006年3月4日、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
(C)2004 Runnning Miracles Producions Inc, an Alliance Atlantis company. All rights reserved.
公開初日 2006/03/04
配給会社名 0025
解説
その最年少ランナーは、ボストンマラソンだけでなくトロント映画祭に感動と熱狂を巻き起こした!
『グッバイ、レーニン!』、『北京ヴァイオリン』に続き、
またひとつ親子の絆をみつめた珠玉の感動作が誕生した—-。
「お母さんは、奇跡でも起きない限り昏睡状態から目覚めない」
医者の言葉が、14歳の少年の心をとらえた。
奇跡なら、自分が起こしてみせる。そう誓った少年は、
がむしゃらに走り始める。
最年少でボストンマラソンに優勝するという
〈奇跡〉を実現するために—-。
2004年のトロント映画祭でプレミア上映され、いつまでも鳴りやまない絶賛の拍手を浴びた『リトル・ランナー』。病気で昏睡状態に陥った最愛の母を失いたくない。そのひたむきな思いを胸に、ボストンマラソン優勝という奇跡の実現に向けて走り出す少年の奮闘を、いきいきと描き出した本作は、自分を信じて何かに立ち向かうことの素晴らしさを、観客の心にダイレクトに訴えかけてくる心洗われる奇跡の物語だ。
主人公のラルフは、カトリックの学校に通う14歳の少年。父は戦死し、唯一の肉親である母も入院という境遇にも負けず、明るさを失わずに生きる彼は、校則破りの常連として校長に目をつけられているヤンチャ坊主だ。だが、その青春の日々が終わったことを告げるように、病状の悪化した母が意識不明の重体に。
「奇跡でも起きない限り、昏睡から目覚めることはない」と医者から宣告されたラルフは、半年後に行われる第53回ボストンマラソンに、史上最年少で優勝するという〈奇跡〉を起こそうと決意する。クラスメイトにバカにされながらも、奇跡を信じ、黙々と自己流のトレーニングを続けるラルフ。そんな彼の熱意に打たれ、コーチを引き受ける元オリンピック選手のヒバート神父。さらに、看護婦のアリス、親友のチェスター、初恋の少女クレアたちの協力を得たラルフは、度重なる苦難を乗り越え、心身ともにたくましく成長を遂げていく。そして迎えたレース本番。世界の強豪がズラリと居並ぶなか、果敢に先頭集団にくらいつく。果たして、彼の切なる思いは天に届くのか!?
母を失いたくないから走る。そんなラルフの純粋で一途な思いを軸に展開するドラマは、ときに切なく、ときにユーモラスな味わいを醸しだしながら、崇高な感動が待ち受けるラストに向けて大きなクレッシェンドを描いていく。奇跡を信じる気持と、その気持を共有する人々の応援に後押しされて、ボストンマラソン最大の難所である心臓破りの丘を駆け上がっていくラルフ。彼が走ることによって神に近づいていく瞬間を、ダイナミックにとらえた場面には、痺れるような興奮がみなぎっている。そして、レースが熾烈なデッドヒートにもつれこんでいくクライマックス。ラルフと共に走り、ラルフと共に奇跡を体感する私たちは、自分たちの魂までもが飛翔していくような、至高のカタルシスを味わうことができるのだ。
主人公のラルフを演じるのは、TVシリーズ「Super Rupert」の主演で注目を集めたアダム・ブッチャー。異性やタバコに好奇心を燃やす思春期真っ直中の少年が、ボストンマラソン優勝という途方もない目標に向かって全力で立ち向かい、大きな成長を遂げていく過程をのびのびと演じるアダムの好演ぶりは、この映画の共感の決め手だ。そんな小さな主演俳優を、『シェルタリング・スカイ』のキャンベル・スコット、『ブドーロウェイと銃弾』でオスカー候補になったジェニファー・ティリー、『シッピング・ニュース』のゴードン・ピンセントといったベテランたちが脇を固め、随所で心の琴線に触れる名演技を披露し、ドラマをいっそう味わい深いものにしている。
監督・脚本は、1985年のデトロイトマラソンの勝者でもある新鋭のマイケル・マッゴーワン。思春期の少年を主人公にした青春映画のきらめきと、『炎のランナー』や『運動靴と赤い金魚』に代表される〈走る映画〉の高揚感、そして、母子の愛を原点としたピュアな感動を、1本の作品の中に封じ込めた脚本と演出は、各映画祭で高い評価を獲得。オンタリオで開催されるロンドン・カナディアン映画祭で観客賞、パリ映画祭でグランプリを受賞したほか、カナダの監督組合賞にもノミネートされる栄誉を受けた。
ストーリー
ぼくが奇跡を起こせば、母さんは目覚める—-。
そう信じる少年はボストンマラソン優勝にすべてを賭け、走りつづける。
彼の切なる思いに見えざる手は動くのだろうか?
1953年の秋。ラルフ・ウォーカー(アダム・ブッチャー)は、カナダのハミルトンにある力トリックの私立学校に通う14歳の少年。思春期の少年の例にもれず、タバコや異性に好奇心を燃やす彼は、校則破りの常連として、校長のフィッツバトリック神父(ゴードン・ピンセント)から目をつけられている。この夏も、女子更衣室が見えるという噂を聞いて出かけたプールでトホホな事件を起こし、学校中の笑い者になってしまった。
その試練に追い打ちをかけるように、さらに辛い出来事が彼の身にふりかかる。以前から病気で入院中だった母のエマ(ショーナ・マクドナルド)が、昏睡状態に陥ってしまったのだ。戦争で父を亡くしたラルフにとって、母は唯一の肉親。いまもラルフは、祖母と暮らしていると学校に偽り、施設行きを免れている状態だった。もしも母を失ったら、自分はどうなってしまうのか?天涯孤独の身になることへの不安と、最愛の母に去られる恐怖に、押しつぶされそうになるラルフ。しかし、それを他人に気付かれないように気丈にふるまう彼は、以前と同じように毎日病院へ出かけ、日々の出来事を母に語り続けた。が、ラルフの呼びかけに、母が応えてくれる気配はない。その様子を見ていた看護婦のアリス(ジェニファー・ティリー)は、ラルフのためを思い、つらい現実を知らせようと決意する。
「お医者さまが言ったの。お母さんは、奇跡でも起こらないかぎり目覚めない、と」
アリスの言葉に、呆然とするラルフ。しかし、それからまもなく、クロスカントリー部のコーチをつとめるヒバート神父(キャンベル・スコット)が、「君たちがボストンマラソンで優勝すれば奇跡だ」と言ったのを耳にしたラルフは、あることを決意する。それは、ボストンマラソンで優勝するという奇跡を、自分の手で成し遂げること。そうすれば母は目覚めてくれるという願いに、ラルフは一縷の望みを託すことにしたのだ。
さっそくラルフは、親友のチェスターと、好意を抱いているクレア(タマラ・ホープ)の助けを借りながら、自己流の猛特訓を開始。マラソンの指導書を参考に荷物を背負って丘を走ったり、殉教者をマネて真冬のプールに飛び込んだりと、がむしゃらにトレーニングに打ち込む。そんなラルフの暴走ぶりを見かね、ボブスレーの選手時代に覚えたウェイト・トレーニングを指導するアリス。彼女のおかげで、マラソンに必要な筋力と体力を身につけていくラルフだったが、ペース配分のまったくできない彼は、地元の10マイルレースに参加しても、完走するのがやっとという有様だった。
しかし、そんなラルフの頑張りに、目を留めた者がいた。マラソンのカナダ代表として、オリンピックに出場したこともあるヒバート神父だ。人から何を言われようとあきらめず、雨の日も風の日もひたむきに走り続けるラルフの姿に、走ることがすべてだったかつての自分を見出した神父は、ラルフのコーチを志願。レースに勝つ走り方を、徹底的に教え込んでいく。その甲斐あって、2カ月後に行われた地元のマラソン大会に再び出場したラルフは、ヒバートの予言どおり見事に優勝を果たした。
この頃になると、最初はラルフをバカにしていた上級生やクラスメイトも、次第にラルフに一目置くようになっていた。が、校長のフィッツパトリック神父だけは、ラルフの挑戦を「身の程知らず」と非難。ラルフが学校を休んでボストンに行けば放校処分にすると、ヒバート神父に言い渡す。それだけではなく、校長は、ヒバートにも修道会からの追放を匂わせた。
さらに、ラルフの身には不幸な出来事がふりかかる。彼の不注意が原因で、家が全焼してしまったのだ。すっかり意気消沈し、走る気力をなくしてしまった彼を奮い立たせたのは、親友チェスターのこんな一言だった。
「ボストンマラソンに出場すれば、校長を最高に怒らせることができる。それに、君なら優勝できるよ」
かくしてラルフは学校を休んでボストンへ。いっぽう、「私は人助けをするために神父になったんです」と校長の前で宣言したヒバート神父も、ラルフを追ってボストンへ向かった。
そして迎えたレース当日。「どんな選手も、32キロを過ぎると祈り出す」というヒバート神父の言葉を胸に刻みつけたラルフは、世界の強豪が居並ぶスタートラインに立った。その模様を、ラルフの母にも聞かせようとラジオのスイッチを入れるアリス。
教会で熱心に祈り続けるクレア。大胆にも学校の放送室を占拠し、マラソンの実況中継を流すチェスター。すべての人々の思いをのせ、いま、ラルフは走り出す。目に見えない不思議な力が、自分の背中を後押ししてくれるのを感じながら—-。
スタッフ
監督・脚本:マイケル・マッゴーワン
製作:テッツァ・ローレンス
マイケル・サウザー
シートン・マクリーン
撮影監督:ルネ・オーハシ
美術:マシュー・デイヴィス
衣装:アン・ディクション
音楽:アンドリュー・ロッキングトン
キャスト
アダム・プッシャー(ラルフ・ウォーカー)
キャンベル・スコット(ヒバート神父)
ジェニファー・ティリー(アリス看護婦)
ゴードン・ピンセント(フィッツパトリック神父)
タマラ・ホープ(クレア・コリンズ)
ショーナ・マクドナルド(エマ・ウォーカー)
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