原題:Inside Man

その時、犯人は人質全員を共犯者にした。

2006年3月24日全米公開

2006年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/7巻/11,585 ft/3,311m /DTS/SRD/SDDS/SR 上映時間:2時間8分/翻訳:戸田奈津子/サントラ:ジェネオン エンタテインメント/ランブリング・レコーズ/ノベライズ:メディアファクトリー刊 配給:UIP映画

2011年09月02日よりDVDリリース 2010年05月12日よりDVDリリース 2006年10月12日よりDVDリリース 2006年6月10日よりみゆき座ほかにて全国ロードショー

公開初日 2006/06/10

配給会社名 0081

解説



主要スタッフ&キャストだけで5度のアカデミー賞受賞、ノミネートは合計12回+『フライトプラン』&『ダ・ヴィンチ・コード』の製作陣。
映画界最強の豪華なコラボレーションが、サスペンスの新たな領域に踏み込んだ!!
 マンハッタン信託銀行で強盗事件が発生。頭脳明晰な犯人グループのリーダーは人質全員に自分たちと同じ格好をさせるという陽動作戦をとり、やがて神経をすり減らすような心理戦が繰り広げられていく。ところが計算し尽くされているこの計画には、信じられないような衝撃的結末が用意されているのだった…。
 この映画界の常識を覆すようなプロットを最初に手にしたのは、『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞に輝き、『フライトプラン』から『ダ・ヴィンチ・コード』まで、数々の名作・話題作を手がけている名プロデューサー、ブライアン・グレイザー。そして常に社会派の問題作を作り続け、代表作『マルコムX』のみならず、最近では『25時』が記憶に新しいフィルム・メイカー、スパイク・リーだった。脚本に魅せられた2つの才能は、極限まで研ぎ澄まされた時間・空間の中で目まぐるしく展開していく完璧な犯罪ドラマには、完璧な演技力が必要であると考えた。そして現代最高峰のキャスティングが実現したのである。圧倒的な演技力を見せつける3大俳優のトライアングルが生み出す、思いもよらない強烈なインパクトとは——。
 映画史上に残る究極の“完全犯罪”で犯人と渡り合うキース・フレイジャー捜査官役には、『グローリー』、『トレーニングデイ』で2度のアカデミー賞に輝くデンゼル・ワシントン。時間の経過とともに変化していく“犯人側からのルール”に翻弄されながら、次第に事件の核心に迫っていく姿はさすがの一語。観客は彼を通して完全犯罪を目撃していくことになる。映画の展開はダルトンの仕掛けたものではあるが、ラストに待ち受けているカタルシスはフレイジャーが支えているといっても過言ではない。
 冷静沈着な超頭脳犯ダルトン・ラッセルを演じるのは、『クローサー』でゴールデン・グローブ賞受賞、アカデミー賞ノミネートのクライブ・オーウェン。知的でクールな演技の中に激しさと圧倒的な存在感を包みながら、ストーリーの全てをその手に握っている。冒頭の彼の独白が物語のテイストを見事に凝縮し、単なる知能犯ではない彼の魅力が、そのまま作品の持つパワーとなっているのは間違いない。
 そして、ストーリーを刑事と犯人の“双方向の物語”だけに終わらせないキーパーソンとして登場するのが、『告発の行方』、『羊たちの沈黙』のオスカー女優であり、最新作『フライトプラン』も大ヒットを記録したジョディ・フォスター。近年では『パニック・ルーム』も含めたサスペンス映画で実力を発揮。本作品はその集大成ともいえる。彼女が演じる女性弁護士マデリーン・ホワイトは銀行からの極秘ミッションという“火薬”を携えて突然現場に現れ、立てこもる側と包囲する側の神経戦に拍車をかけると同時に、想像を遥かに超えた“化学変化”を引き起こす。

50人の人質全員が容疑者!? 
登場人物たち全員の顔を見落としてはならない。これまでの常識は通用しない。
一瞬たりとも目を離せない驚くべきストーリー展開と予測不能な結末。
 強盗人質事件の現場は膠着状態となり、指揮を執る敏腕捜査官フレイジャーですら解決の糸口が見つけられずにいた。犯人グループのリーダー、ダルトンから“型通り”の要求はあったものの、彼らからは焦りが全く感じられない…。徐々に追い詰められていくのは包囲している警官隊の方だった。人質と犯人の見分けがつかない以上、突入作戦も不可能。「犯人たちは相当にキレる奴らだ。でも何かがおかしい、時間稼ぎをしているのか…」——やがて銀行の会長ケイスによってネゴシエイター役に指名された女性弁護士ホワイトが現れ、“事件の根本”が次第に露呈していく。しかしダルトンは一切の交渉にも挑発にも応じない。そしてついに人質が射殺されるという事態が発生。フレイジャーは突入を決意するのだったが…。
 この完璧なドラマを創造しているのは3人のメイン・キャストだけでなく、緊迫感を高めるに相応しい演技派の俳優たちが脇を固めている。『プラトーン』、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』でアカデミー賞にノミネートされ、最近では『スパイダーマン』でも強い印象を残したウィレム・デフォーが、現場を統括するダリウス警部を演じている。また事件の舞台となる銀行の会長役には、『インサイダー』で全米映画批評家協会賞、LA映画批評家協会賞を受賞し、『シリアナ』にも出演しているベテラン俳優クリストファー・プラマー。そして『堕天使のパスポート』、『ラブ・アクチュアリー』のキウェテル・イジョフォーがフレイジャーの相棒役で出演している。
 本作の驚くべき世界観を構築している脚本は、これが初の映画化作品となるラッセル・ジェウィルスとアダム・エルバッカーが共同で執筆。プロデューサー、監督、俳優陣からも絶賛された新感覚のイマジネーションは、一躍ハリウッドの注目を集めている。編集のバリー・アレクサンダー・ブラウン、音楽のテレンス・ブランチャード、プロダクション・デザイナーのウィン・トーマスは、これまでもスパイク・リー監督と組んだ経験を持ち、撮影は『フォーン・ブース』、『ゴシカ』等、緊張感溢れるカメラワークを得意とするマシュー・リバティックが担当。彼らをはじめとして、職人的ともいえるスタッフが監督の下に結集し、見事なチームワークを披露している。
「目に見えるもの全てがキーワード」であるが、「目に見えるものだけが全て」ではない。今までの映画のルールはまったく通用しない!タイトルこそが最大のヒント!?

ストーリー






私はダルトン・ラッセル。
二度と繰り返さないからよく聞け。
私は銀行を襲う完全犯罪を計画し、そして、実行する——

 「パーフェクト塗装サービス」のバンがマンハッタン信託銀行の前に停車し、ジャンプスーツを着た男たちが降りてくる。やがて彼らは銀行の中へと進む——。それが史上空前の完全犯罪の始まりだった。完全武装した犯人たちは銀行内にいた従業員と客を人質に取り、全て計画通りに素早く行動を開始。「全員床に伏せろ!これから我々は、この銀行から多額の金を引き出す。」
犯人グループはリーダーのダルトン・ラッセル(クライブ・オーウェン)以外に3人。互いに“スティーブン”、“スティーブO(オー)”、“スティービー”と呼び合い、駆けつけた警官に「ヒトジチトッタ。チカヅイタラ、ヒトジチコロス」と外国なまりで伝えるのだった。
 急報を受けたのは、NY市警のフレイジャー(デンゼル・ワシントン)とミッチェル(キウェテル・イジョフォー)。フレイジャーは以前関った麻薬事件で14万ドルの小切手が紛失するという事態に巻き込まれ、内務調査課から汚職の疑いをかけられていた。それだけに今回の事件は汚名返上のチャンスであり、意気揚々と現場に駆けつけるのだった。
 強盗人質事件発生の連絡を受けたのは警察だけではなかった。マンハッタン信託銀行の取締役会長アーサー・ケイス(クリストファー・プラマー)は明らかに狼狽し、言葉を失っていた。そして彼は警察に事態を確認するよりも先に、ニューヨークでも指折りの有能な弁護士マデリーン・ホワイト(ジョディ・フォスター)を自ら呼び出すのだった。
 銀行内ではダルトンたちが着々とプランを進行。人質全員にジャンプスーツと覆面を着用させて、自分たちと同じ格好をさせていた。これでは人質同士でも誰が誰なのか見分けがつかないどころか、人質か犯人かすら区別できない状態となる。犯人グループは想像以上に頭の切れる連中だった。
 ダリウス警部(ウィレム・デフォー)率いる作戦指令車には、犯人との電話回線等、全ての準備が整った。その時、人質の老人が解放され、犯人からのメッセージが伝えられる。「警官がドアに近づいたら人質を2人殺す」。そして犯人グループが4人であることと、ペンキ職人を装っていたことが判明する。
 一方、ケイスはマデリーンに仕事の依頼をしていた。「銀行の貸金庫には、私にとって大切な物が保管されている。それには誰の手も触れさせたくはない。私だけの秘密なのだ」——ケイスにとって金庫の金を奪われるよりも重要な意味を持つ物とは…。
“それ”が露見することは、自分の身の破滅につながることを彼は知っているのだった。
 人質がまたひとり解放された。そして遂に犯人からの要求が明らかになる。人質の首に下げられたボードに書かれていたのは、《ケネディ空港にジャンボ機とパイロットを用意しろ。夜の9時以降、1時間ごとに人質を殺す。銀行には爆弾が仕掛けてある》。
警察側は食料も要求されていたことを逃さず、ピザの箱に盗聴器をセットして銀行内に運び込む。
 そんな時、マデリーンが市長を伴って現場に現れ、政治レベルの問題をちらつかせながら事件に介入してくる。事件は益々
混迷の度を深めていくが、フレイジャーは遂にダルトンとのコンタクトに成功する。ダルトンの声には立てこもり犯特有の焦りが全く感じられず、極めて冷静で自信に溢れていた。主導権は完全に犯人側に握られていた。
 そんな局面を打開するため、マデリーンが交渉役として銀行内に入ることになった。「依頼人の“ある利益”を守るため、あなたたちの要求をのむことにする」——しかし、結局はマデリーンの交渉も決裂する。やがてフレイジャーの頭に疑問が浮かんできた。時間稼ぎをしているのは奴らの方だ。何かがおかしい…」。今度はフレイジャーが自ら銀行内に入り、中の状況を確認することになった。捜査官と犯人が直接対峙する緊迫した状況。フレイジャーは何とか解決への突破口を探るため、様々な言葉でダルトンを挑発。しかし彼は冷静な態度を一切崩さない。それどころか逆に、「そうすべき時が来たら、堂々と正面から出ていくさ」と、フレイジャーに対して挑戦的な言葉を投げかけるのだった。
 事態は完全に膠着状態だった。ところがその時、自分たちの本当の力を示すように、突然犯人が人質を射殺。初めて犠牲者が出たことで、現場の緊張感が一気に高まる。怒り狂うフレイジャー。そして遂に警官隊による突入準備が開始された。問題はどのようにして犯人と人質を見分けるか。全員が同じ格好をしている以上、それは非常に困難だった。ところがまたしてもダルトンの方が一枚上手だった。最初の要求を出したボードに盗聴器を仕掛け、警察の動きを全て知り尽くしていたのだ。しかしすでに警官隊の突入は止められない。そして——。
 突入と同時に、次から次へと同じジャンプスーツに覆面姿の人々が銀行から飛び出して来る!誰が犯人で、誰が人質なのか…?銃を構えて待ち受ける警官たち。しかし彼らも咄嗟のことに事態が飲み込めず、ただ呆然と立ち尽くすしかない。しかも本当の完全犯罪は、ここから始まったのだった…。

スタッフ

監督:スパイク・リー
脚本:ラッセル・ジェウィルス
製作:ブライアン・グレイザー
製作総指揮:ダニエル・M・ローゼンバーグ 
ジョン・キルク 
カレン・ケヘラ・シャーウッド 
キム・ロス
撮影:マシュー・リバティック, ASC 
プロダクション・デザイン:ウィン・トーマス 
編集:バリー・アレキサンダー・ブラウン
音楽:テレンス・ブランチャード
共同製作:ジョナサン・フィリー
衣装:ドンナ・バーウイック

キャスト

キース・フレイジャー:デンゼル・ワシントン
ダルトン・ラッセル:クライブ・オーウェン 
マデリーン・ホワイト:ジョディ・フォスター
アーサー・ケイス:クリストファー・プラマー 
ジョン・ダリウス:ウィレム・デフォー 
ビル・ミッチェル:キウェテル・イジョフォー
スティーブ:カルロス・アンダース・ゴメス
スティービー:キム・ディレクター
スティーブ-O:ジェームス・ランソン
コフリン:ピーター・ジェレティ

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