原題:Stevie

アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭大賞受賞 サンダンス映画祭最優秀撮影賞受賞 山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞受賞

2002年/アメリカ/カラー/35mm/1:1.85/145分/ 配給:ムヴィオラ

2006年2月18日、ポレポレ東中野にてロードショー

公開初日 2006/02/18

配給会社名 0690

解説


■ひとりの青年が、ある少年の「ビッグ・ブラザー」になった。
 10年後、青年は映画監督に、少年は非行を繰り返し社会から疎外された存在になっていた。

南イリノイ州立大学に在学中、スティーヴ・ジェイムスは、11歳の少年スティーヴィー・フィールディングの更正を助ける「ビッグ・ブラザー(兄役の制度)」になった。少年は私生児で、母親は、彼を虐待し育児を放棄して、義理の祖母へ引き渡してしまっていた。数年後、ジェイムスは映画のキャリアを築くためにシカゴへ移った。この先も出来る限り、少年に手を貸さなければ、と思うものの、いつしか疎遠になった。10年後、映画監督になったジェイムスはイリノイ州へ戻り、スティーヴィーとの再会を果たすが、24歳になったスティーヴィーは軽犯罪を繰り返し、荒れた人生を送っていた。

■ 問題を抱きながらも愛と絆をあきらめなかった家族の肖像。
 そして、それに深く関わった映画監督の矛盾した思いを浮き彫りにしたドキュメンタリーへ。
ジェイムス監督は、スティーヴィーと音信不通の10年間に彼の身に何が起きたのか、その軌跡を辿る映画を製作することにした。しかし、スティーヴィーが重大な犯罪の容疑に問われたことで映画製作は思いもかけない局面を迎える。スティーヴィーの状況は、彼の「ビッグ・ブラザー」であったジェイムス自身に、彼と彼の家族たちに深く関わることを選ばせた。その時、この映画作りは続けるべきか、やめるべきか。スティーヴィーにとって、ジェイムスの映画製作は正しいのか、正しくないのか。映画における自身の役回りは正しいのか、正しくないのか。ジェイムスは大きな問題に直面する。
しかし、結局、ジェイムスはカメラを手放さなかった。悩み続けた。映画は逡巡を繰り返しつつも続けられた。そして、問題を抱えた青年の軌跡を描く小品ドキュメンタリーになるはずだった映画は、スティーヴィーの魂のありかと彼の犯罪、そしてそれらが彼の家族や婚約者、そして監督であるジェイムス自身に与えた深い影響を映し撮った4年半にもわたる魂の記録となった。

■傑作ドキュメンタリー『フープ・ドリームス』の監督スティーヴ・ジェイムスと
 その製作チームが贈る魂のメモリアル。
映画『スティーヴィー』は、見た人を動揺させずにはおかない。果たして自分がジェイムスであったら。スティーヴィーの家族であったら。彼の婚約者であったら。そしてスティーヴィー自身であったら。犯罪の加害者といかに向き合うか、人間はいかに罪を負い、その罪はいかに償われるか。
簡単な解決はここにはない。しかし、深い傷を抱えながらも家族であることを受け入れるスティーヴィーの家族、失われない愛情を正直に認める婚約者、そしてスティーヴィーと共に生きることを選ぶジェイムスの姿は、人生というものの力強さを私たちに伝えてはいないだろうか。

監督は『フープ・ドリームス』で数々の映画賞を獲得したスティーヴ・ジェイムス。製作は、アメリカのドキュメンタリー映画製作の先駆者的な存在カルテムキン・フィルムズで、『フープ・ドリームス』の製作チームがあたっている。サンダンス映画祭で賞に輝いた撮影は、製作総指揮のゴードン・クィンをはじめとする3名のカメラマンがあたっている。また印象的な音楽は、カントリー&マウンテン・ミュージック界で著名なフィドル&バンジョー奏者ダーク・パウエル。大御所ウィリー・ネルソンが歌う“The Maker”がエンディングで深い余韻を残している。
本作は、日本では山形国際ドキュメンタリー映画祭2003で上映され、大賞の『鉄西区』に次ぐ、最優秀賞を受賞。2年の歳月の後、ようやく劇場公開にいたる。

ストーリー

スタッフ

監督:スティーヴ・ジェイムス
プロデューサー:スティーヴ・ジェイムス
        アダム・シンガー
        ゴードン・クィン
製作総指揮:ロバート・メイ、ゴードン・クィン
撮影:デナ・カッパー、ゴードン・クィン、ピーター・ギルバート
編集:スティーヴ・ジェイムス、ウィリアム・ヒュース
音楽:ダーク・パウエル
共同プロデューサー:ピーター・ギルバート
アソシエイトプロデューサー:キャスリーン・タッカー
音楽監修:リンダ・コーエン
プロダクションマネージャー:カレン・ラースン

キャスト

スティーヴィー・フィールディング
ヴァーナ・ハグラー(義理の祖母)
バニース・ハグラー(母親)
ブレンダ&ダグ・ヒッカム(義理の妹夫婦)
トーニャ・グレゴリー(婚約者)

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