原題:MUSHISHI

第63回ヴェネチア国際映画祭正式出品

2006年/日本/カラー/SRD/アメリカンウ゛ィスタ 上映時間/131分 配給:東芝エンタテインメント

2007年10月26日よりDVDリリース 2007年3月24日より渋谷東急ほか全国公開予定

(C)2006「蟲師」フィルムプロジェクト

公開初日 2007/03/24

配給会社名 0008

解説


<未知なる蟲の世界を描いた幻想的な傑作コミック、「蟲師」が衝撃の映画化!> 

 月刊「アフタヌーン」に連載され、単行本シリーズは350万部を売り上げた女流漫画家 漆原友紀の大人気コミック「蟲師」。特殊な能力に恵まれた蟲師たちの旅を幻想的な筆致で描き、2006年の講談社漫画賞に輝く傑作が、これまで誰も見たことがなかった衝撃的な映像作品として生まれ変わった。
 かつて日本の自然界に生息し、精霊でも幽霊でも物の怪でもない妖しい生き物として、数々の不可解な自然現象を引き起こした”蟲”。そんな生き物たちに触れ、その命の源を紐解く能力を持つ者は蟲師と呼ばれた。多くの人の目には映らない生命そのものを相手に、彼らを本来の場所へと導き、現象を鎮めて人々を癒し救う蟲師のギンコ。彼の果てしない旅が始まり、やがては彼の恐るべき過去の秘密が明かされていく。ギンコはどこから来て、どこへ行くのか?蟲師とは一体何者なのか?

<世界のカリスマ、大友克洋監督が描く第六感を呼び覚ますファンタジー巨編>

 代表作「AKIRA」でジャパニーズ・カルチャーの先駆者として、世界のクリエイターたちに多大なる影響を与えてきたカリスマ、大友克洋監督が、待望の実写大作に挑戦したのがこのファンタジー巨編。雄大にして、幻想的な日本の大自然を背景に、大胆かつ繊細なVFXを駆使して、蟲たちの奇想天外な世界を刺激的な映像で見せる。
 自然界で生きる蟲たちを引き寄せる特異体質の主人公、ギンコ。彼は旅先の宿で4本の角がはえた少女を助け、蟲で文字を封じる美しい娘、淡幽の苦境に立ち合うことになる。そして、やがては自らが蟲に冒されてしまう……。そんな宿命の主人公、ギンコがたどる壮大なスケールの旅を最先端テクノロジーと和の美学の融合で描ききり、唯一無二のヴィジュアル・ワールドが完成。まさに天才だからこそ成しえた、未曾有の映像体験がここにある。かつて日本人のDNAに組み込まれていたはずの原風景は、あなたの眠れる感性を呼び覚ます!

<オダギリジョーをはじめ、今、最も輝くスターたちが豪華共演>

 大友克洋のオリジナリティあふれる映像世界にふさわしい多彩な出演陣も大きな話題を呼んでいる。人智を超えた蟲の不可解な世界に見る者を誘う蟲師ギンコに、日本映画界を代表する若手スターとして活躍中のオダギリジョー。大ヒット作『ゆれる』での好演が記憶に新しいが、今回は白髪で片目のギンコを神秘的に演じて新しい魅力を見せる。蟲にとりつかれた家に生まれ、文字の力で蟲を封じる娘、淡幽には、『フラガール』などの話題作で、今、最も輝く女優、蒼井優。ギンコと旅を共にし、虹に似た蟲をつかまえようとする虹郎に『ヴァイブレータ』以後、売れっ子の演技派男優、大森南朋が扮する。ギンコの出生の秘密の鍵を握る女蟲師ぬいを久しぶりに映画復帰を果す江角マキコ(『命』)が演じる。
 また、製作総指揮はニコール・キッドマン主演の話題作『アザーズ』で知られるサンミン・パークで、第63回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門にも出品。海外で高い評価を得ている大友監督の最新作として世界中の熱い注目と期待が寄せられている。

<誰とも戦わない、誰も傷つけない。
新時代が求めるヒーローの誕生!>

 精霊でも幽霊でも物の怪でもない、妖しき生きもの—「蟲」。その命の源をさぐりながら、蟲が時に引き起こす人智を超えた現象を紐解き、人々を癒す能力を持つ者を蟲師と呼んだ─。
 蟲は時としてヒトに災いをもたらすが、ヒトを傷つけたり、脅すために存在するのではなく、ただそこに在るようにあるだけのもの。
 そんな蟲を敵として退治するのではなく、蟲とヒトの世界を繋ぐのが蟲師の役割。蟲を本来あるべき場所や状態へと導くことで、妖しき現象を鎮め、自然との共存をめざすことで、人々の平穏な日々を取り戻すのだ。そして、蟲師自身もその行為によって癒されていく。
 自然界の生態系の乱れが社会問題になりつつある昨今、蟲を本来の場所や状態に戻すことで、ヒトも救われる、と考える蟲師は、圧倒的な力で相手を倒し、平和を手に入れるスーパーヒーローとは異なる、今の時代が求める全く新しいタイプの癒しのヒーローなのだ。

ストーリー




 100年前、日本には「蟲」と呼ばれる妖しき生き物がいた。それは精霊でも幽霊でも物の怪でもない、生命そのものであり、時に人間にとりつき、不可解な自然現象を引き起こす。蟲の命の源をさぐりながら、謎を紐解き、人々を癒す能力を持つ者は”蟲師”と呼ばれた。
 そんな蟲師のひとり、ギンコは、蟲を引き寄せる特異体質のため、果てしない旅を続けている。彼は、旅先の宿で角がはえた少女を癒し、さらに文字で蟲を封じる美しい娘、淡幽に会うため、彼女の屋敷を訪ねる。だが、ある事件をきっかけに、ギンコ自身が蟲に冒されてしまう……。蟲に憑かれたギンコの運命は?生と死の間をさまよう彼の意外な秘密が今解き明かされる。

 深い雪山で一夜の宿を求めてさまよう男がいた。彼の名はギンコ(オダギリジョー)。白髪で、左が義眼の彼は旅を続ける蟲師。不可解な自然現象を引き起こす”蟲”の命の源を紐解き、その現象を鎮めることが彼の役目だった。
 ギンコはたどり着いた庄屋で、その家の夫人(りりィ)に頼まれ、片耳の聴力を失った3人の患者たちを診ることになる。その原因を家に憑いた蟲にあると突き止めたギンコは、患者の耳に薬を流し込むと、患者は瞬く間に聴力を取り戻した。ギンコの見事な腕前に感服した夫人は、今度は両耳を病んだ孫の真火をギンコに診せる。その少女の額には4本の異様な角が生えていた。そして、少女はその角が生えた頃から、今まで聞こえていた音が聞こえなくなり、逆に今まで聞いたことがないような音に悩まされるようになったという。
 真火の母親も同じ症状に苦しみ、この世を去った。やがて、ギンコは、真火が隠れていた裏手の大樹に憑いていた巻貝のような蟲『阿』と、真火の母親の話をヒントに得て、真火の病の原因を突き止める。そして、真火が隠し持っていた母親の角を真火の前で割ると、真火の体から蟲は出て行った。
 庄屋の家を出て、蟲師たちが集まるお堂にやってきたギンコは、旅人の虹郎(大森南朋)と知り合う。彼は幼い頃、父親と一緒に見た虹蛇と呼ばれる、蛇のようにうねる虹のような蟲を捕まえるために旅を続けていた。ギンコは虹郎を連れて、体に異変が起きたという知らせがあった淡幽(蒼井優)のいる狩房家に向かった。
 蟲に取り憑かれた家に生まれた淡幽は、蟲に身体を侵食されながらも、これまで文字でその力を封じてきた。彼女が指先で蟲の記録を取ると、それが文字の墨となって体から出て行くのだ。しかし、ギンコが彼女の屋敷を訪れたとき、淡幽の足先にしかなかった墨色のあざが体全体に広がっており、高熱で苦しんでいた。
 元蟲師で、今では淡幽の乳母のたま(李麗仙)の証言によれば、ひと月前にやってきた盲目の女蟲師(江角マキコ)が語る、池の底に棲む眼のない魚・銀蠱の話が原因で、淡幽の様子が急変したという。
 女蟲師の話によると、彼女は蟲を寄せる体質のため、夫と子供を里に残して旅をしている間に、二人は蟲の棲みつく池に入り帰らぬ人となった。彼女はその池のほとりに住み、夫と子供が姿を消した池の秘密を調べていた。
 その池には銀蠱と呼ばれる蟲がいて、その池の光を浴びると、魚やヒトは姿が変わり、遂には姿を消してしまうという。蟲の光を浴びすぎた彼女も、髪が白くなり、片方の眼を失っていた。
 ある時、女は土砂崩れで母を失った少年ヨキを介抱して、彼に情をかけるようになるが、やがてはヨキを里山に預け、自分も家族のもとへ行こうと考える。しかし、女が池に入った時、後を追ってきたヨキも奇妙な自然現象に巻き込まれ、以後、行方不明となってしまった。

 淡幽の病の謎を解くため、狩房家の蟲についての巻物を読み始めたギンコだったが、「ヨキ」という子供の話に差しかかった瞬間、ギンコの体から黒いモヤのような蟲、トコヤミが立ち昇り、封印されていたはずの巻物の文字が染み出す。
 淡幽の身に危険が迫っていることを察知したギンコは、書庫の中にひとりで閉じこもり、封印が解かれて巻物から流れ出る蟲の文字に自分の体を預ける。外でギンコを待っていた虹郎は、屋敷に駆け込み、たまが淡幽を救う手助けをする。
 淡幽はたまの処方で息を吹き返すが、今度はギンコがトコヤミに憑かれて、意識を失う。淡幽は弱った身体でギンコに取り憑いた蟲を元の巻物に戻す作業を続ける。そのかいあって、意識を取り戻したギンコだが、その姿は以前のギンコではなく、完治できるかどうかは、彼自身の力にかかっていた。
 そんなギンコをつれて、虹郎は身体に効くという命の源の光酒を求めて旅に出る。虹郎の優しさに支えられ、ギンコの体は少しずつ力を取り戻すが、やがて、ふたりは別の道を歩むことになる。
 再び、ひとりで果てしない旅に出たギンコは、過去の秘密を握る「ぬい」という名前の女蟲師と、運命の再会を果す……。

スタッフ

監督:大友克洋
プロデューサー:小椋悟
エグゼクティブプロデューサー:パーク・サンミン
原作:漆原友紀
脚本:大友克洋
   村井さだゆき
撮影:柴主高秀
美術:池谷仙克
音楽:配島邦明
VFXスーパーバイザー:古賀信明
製作:「蟲師」製作委員会(小椋事務所、ほか)

キャスト

オダギリ ジョー:ギンコ
江角マキコ:ぬい
大森南朋:虹郎
蒼井優:淡幽
りりィ:庄屋夫人
李麗仙:たま
クノ真季子:真火の母
守山玲愛:真火

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