第18回東京国際映画祭 日本映画・ある視点公式参加

2005年/35ミリ/カラー/106分 配給:バサラ・ピクチャーズ

2007年02月21日よりDVDリリース 2006年1月28日(土)よりキネカ大森にてロードショー!初日10時15分の回、上映終了後に深川監督、大野真緒、増田怜奈ほか舞台挨拶有り。テアトル梅田ほか全国順次上映! 2005年12月3日、テアトル新宿にて連日レイトショー&限定モーニングショー

(C)2005『狼少女』フィルムパートナーズ

公開初日 2005/12/03

配給会社名 0557

解説


空き地、寄り道、夕焼け小やけ
口裂け女に火吹き男、そして「狼少女」
僕が住んでいるこの街に、見せ物小屋がやってきた

 女の子を好きになったり、1人で電車に乗ってでかけたり、夜に友達だけでお祭りに行ったり……。子供の頃、初めての体験を前に味わうコワいけれど刺激的な、あのドキドキする感覚。大人たちが忘れてしまった、ささやかだけど瑞々しくて、大切な思い出……。
 主人公・大田明は小学4年生。美少女の転校生・手塚留美子や、クラスのいじめられっ子・小室秀子と、ふとしたことから仲良くなっていく。そんな彼が最も興味を持っているのが、街に巡回興行でやってきた見せ物小屋。学校からも親からも「危ないから近づかないこと」と言われるほどに、見たい気持ちは高まるばかり。そんなある日、演し物のひとつ「狼少女」の正体が秀子だという噂が流れ始める。どうしてもそれを確かめたくなった明は、夜遅くなってからたった1人で街外れの見せ物小屋に自転車を走らせる。そこに悲しい真実が待っていることに秘かに気付きながら……。
 「見せ物小屋」を通して「昭和」の香りを作品に封じ込め、子供たちの生き生きとした表情を生み出したのは、PFF出身の若手監督、深川栄洋。堂々たる語り口で深い感動を呼んでいる。主演の3人の子役には『風の残響』で映画デビューをしている鈴木達也、東京電力のCMで注目の大野真緒、子供番組『おはスタ』で人気の増田怜奈が、それぞれ演じ、また、明の両親役として大塚寧々と利重剛が息のあった演技を見せている。見せ物小屋の主人を演じた田口トモロヲは、本物の口上をCDで繰り返し聞き、長ゼリフを自分のものにした。一方、貧しくも毅然と秀子を育てる母親役に手塚理美、飄々としたクラスの担任教師に、演技派の若手女優、馬渕英里何。また、子供相手に怪しげな手品商品を行商する男になぎら健壱、明の母をスカウトする手芸店の社長に、ベテラン西岡徳馬らが脇を固めている。
 函館港イルミナシオン映画祭でシナリオ大賞を受賞した大見全の原案を、ノスタルジー溢れる脚本に仕上げたのは、ディレクターズ・カンパニー出身でこれまで多くの映画作品を手がけた小川智子。屋外ロケでの微妙な陰影を作り出した撮影には、森田芳光監督の『海猫』を手がけた石山稔。照明には『発狂する唇』『バーバー吉野』などの鳥越正夫。録音に『海猿』『電車男』の田中靖志。音楽はシンガーソングライターとして活躍し、また『いとしのエリー』『マドンナのごとく』『東京原発』など、映画音楽を手がける崎谷健次郎が担当、劇中曲の他にも、新人アーティスト植村花菜が歌う主題歌『melody』もプロデュースしている。なお、ロケは昭和の香りを残す東京郊外を意識し、茨城県水海道市周辺で2005年2月に行われた。

ストーリー



——「昭和」と呼ばれていた時代。

 大田明は不思議なことに興味がいっぱいの小学4年生。明の住む街に興行にやって来た「見せ物小屋」にも興味津々、客寄せの口上を聞き、やっと手にしたチラシに書かれた演し物「狼少女」が見たくてしょうがない。しかし、学校や親からも見せ物小屋に近づく事は禁止されている。
 そんな頃、明のクラスに都会の香りに満ちた転校生、手塚留美子がやってくる。頭も良くて容姿端麗でオシャレ、あっという間にクラスメイトから一目置かれる存在になり、明はちょっと眩しい思いで眺めていた。
 クラスには、家庭が貧しいことでいじめられている小室秀子がいた。いつしか秀子は、見世物小屋の演し物「狼少女」だと噂が広まり、ガキ大将の光一たちから執拗に追い回されるが、ひょんなことから明と留美子がそれを助けることになった。
 この事件をきっかけに明・留美子・秀子は交流を深めていく。いじめられっ子だった秀子にとって、初めて出来た友達との楽しい日々が流れる。明は少し大人びてみえる留美子に、初めての恋心が芽生えていった。
 そんなある日、明の母・未沙は、手芸店の社長と出会う。未沙が得意とする手編みの腕が見込まれて、手芸店で講師として働くことになった。専業主婦だった母が、頻繁にしかも楽しそうに出かけている。明にはそんな母が浮かれているようにしか見えない。しかも、数日後の夜、父・創と母が離婚について話し合っているのを盗み聞きしてしまう。留美子のこと・両親の不安が絡まって明の小さな胸は複雑に揺れる。同時に見せ物小屋への強い興味は抑えることができないほど高まっていった。
 留美子は留美子で、ガキ大将の光一たちへ仕返しを企てる。その執念に明は子供ながらに不安を感じ、止めようとしたが、留美子は聞く耳を持たなかった。そして、作戦は見事に成功するが、光一たちにケガをさせてしまう。このことは学校でも問題となり、気まずくなった3人の歯車は、すでに噛み合わなくなっていた。
 さらにその夜、父親にひどく叱られた明は、ひとりで家を飛び出す。向かった先は、街外れの見世物小屋……。大人の目をかいくぐり、明が入り込んだ見せ物小屋には火噴き男や、口が大きく裂けた女、タコ女にろくろ首が次々と登場する。初めて見る世界で、意識が遠のき出した明の前に、ついに狼少女が入れられた檻が現れた……。

スタッフ

監督:深川栄洋
エグゼクティブ・プロデューサー:横濱豊行/松澤亜椰子
プロデューサー:石原真/陶山明美
原案・脚本:大見全
脚本:小川智子
ライン・プロデューサー:金子哲男
音楽プロデューサー:長岡和弘
音楽:崎谷健次郎
撮影:石山稔(J.S.C.)
照明:鳥越正夫
録音:田中靖志
音響効果:柴崎憲治
美術・装飾:黒須康雄
特殊メイク:福岡洋一
編集:阿部亙英
助監督:吉田和弘
製作担当:宿崎恵造
主題歌“melody”植村花菜 (キングレコード)
製作:『狼少女』フィルムパートナーズ(オメガ・プロジェクト/バサラ・ピクチャーズ)
製作プロダクション:バサラ・ピクチャーズ
配給:バサラ・ピクチャーズ
配給協力・宣伝:シナジー・リレーションズ

キャスト

鈴木達也
大野真緒
増田怜奈
大塚寧々
利重剛
手塚理美(特別出演)
馬渕英里何
なぎら健壱
田口トモロヲ
西岡徳馬

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