原題:TAKI 183

生きる意味、行方不明。

2005年/35mm/85分/ヴィスタサイズ/DTSステレオ 配給:コムストック

2006年10月18日よりDVDリリース 2006年1月28日、渋谷 Q-AXシネマ他にてオープニングロードショー

©2005「TAKI183」フィルムパートナーズ

公開初日 2006/01/28

配給会社名 0028

解説


普遍的な行き場の無い青春を、イマに描く“フラフィティ・ムービー”が誕生!
これからの映画界を担う、期待の5人のストリート・パフォーマンスが炸裂する!!

トミー、カン、ハッタ、吉野山義夫、そしてヲンナの5人はグラフィティに夢中だった。彼らの最高傑作は、渋谷のあばら家(通称「スルメ屋敷」)に描いた巨大なグラフィティ・アート。そこは、いつの間にか渋谷で一番熱い待合わせ場所になっていた。
しかし、描き上げてからの5人は、徐々にツルむのを止め、別々の人生を歩み始める。
そして2年後。渋谷の街には、いまだ大人になりきれずに悶々とした日々を過ごすトミーの姿があった。そんなある日、あの「スルメ屋敷」が明日取り壊されることを知る。何かに取り憑かれたかのようにスプレー缶を抱え、たった一人で「スルメ屋敷」に新たなグラフィティを描き始めるトミー。
そこに、一人、また一人と、かつての仲間たちが集まってくる。
制限時間は、取り壊しが始まる夜明けまで。5人が手にしたスプレー缶には、それぞれのどうしようもない悩みや2年間の怒りがこめられていた…。
実在の“グラフィティ”アーティスト、TOMI-Eからインスパイアされて誕生したこの物語は、今や音楽シーンだけでなく、ファッションやライフ・スタイルにまで多大な影響を及ぼすHIP HOPカルチャーの象徴とも言える“グラフィティ”をモチーフに、まさに今の若者の等身大な悩みや成長を描いた新たな青春映画だ。主役のグラフィティ・ライター、トミーを演じているのは、若手の中でもその演技力の高さが評判の塚本高史。本作を始め、映画『バトル・ロワイアル』や陣内孝則監督の『ロッカーズ』などでも、今の若者特有の閉鎖的な感覚を見事に表現している。また、彼を取り巻く仲間たちとして、三池崇史監督との新作『46億年の恋』も控える窪塚俊介や、『ローレライ』など05年だけで10本以上の映画に出演した忍成修吾、『昭和歌謡大全集』、「海猿 ウミザル』、「隣人13号』、『仮面ライダー響鬼』と立て続けに話題作に出演している村田充、そして、『東京タワー』で映画デビュー以来、数え切れないほどの映画出演オファーが殺到中の加藤ローサ。間違いなく今後の映画シーンを中心となって先導していくはずの期待の5人が大集結している。さらに、その脇を固めるベテラン勢も見逃せない。ラストで強烈なインパクトを与えてくれる西村雅彦や陣内孝則。舞台で鍛え上げられた実力派の手塚とおる、秋山菜津子。『忘れられぬ人々』でナント三大陸映画祭主演女優賞に輝いた名優の風見章子など、若手とベテランが、とてもユニークなバランスで出演していることも注目ポイントのひとつだ。
本作が劇場映画デビューとなる小林正樹監督は、「世界ウルルン滞在記」や「窪塚洋介in地球維新」といったドキュメンタリー番組から、ドラマ「時空警察捜査一課」、ミュージック・ビデオの演出で活躍。劇場映画2作目となる『スキージャンプ・ペア Road to Torino2006』も公開間近な注目株だ。また、脚本は、映画『私をスキーに連れてって』や『病院へ行こう』、『七人のおたく』、連続ドラマ「彼女が死んじゃった」、「おとなの夏休み」などを手がけた一色伸幸が担当。リアリティを見抜くドキュメント制作のプロである小林正樹と、一色伸幸のエンターテイメント性が融合し、現代のストリート・シーンや若者文化をリアルにえぐり取りつつも痛快なグラフィティ・ムービーとしてこの『TAKI183』は成立している。さらに、映画の冒頭に出てくるアニメーション・キャラのデザインや、スプレーで絵を描くシーンなどは実際にモデルであるTOMI-Eが担当。また、音楽とナレーションをTOMI-Eの盟友であるラッパーのRINOLATINAⅡが務め、いっそうこの映画の奥行きを深めている。

ストーリー

ニートが溢れかえる街、渋谷。現代縮図のここでは、働く意味どころか、生きる意味すら見えなくなるブラックホールが存在する。無気力にさまよう若者が灰色だとしたら、やたらと眩しい原色を放っている男がいた。それがグラフィティ・ライターのトミーだ。
一点の壁を見つめる彼が急につぶやく。「…来た」と。自分の脳裏に雷のごとく落ちたメッセージやイメージを、壁にスプレーで書き殴る。その鮮やかさは、灰色の街にカラフルな活力を与える。まるでそんな色彩に惹かれてでもいるかのように、カン、バッタ、吉野山義夫、そしてヲンナの4人はトミーの周りに集まっていた。しかし、グラフィティ・アートの多くは、公共物にスプレーで絵を描く行為。当然、違法行為だ。彼らは警察に追われる日々を過ごしていた。
ある日、5人は、人気の無い一軒の朽ち果てそうなあばら家、通称“スルメ屋敷”の壁に、グラフィティをボム(※描く)する。しかし、完成した直後には、警察によって家の持ち主であるスルメ婆の目の前に引き連れ出されている彼らたちの姿があった。被害届を出させるためだ。しかし、スルメ婆は「ありがとう、私が依頼したの」と、トミーになけなしの千円を握らせる。当然、彼らは解放された。が、解放されたのは身体だけだった。スルメ婆から、自分に対する哀れみの感情を感じたトミーは、突然描くことの意味を考え始める。心には雨が降っていた。彼は仲間からの誘いに乗ることもなく、ただ幾日も部屋で天井を眺めていた。そうするうちに、一人、また一人と仲間たちは去っていく。
2年後、トミーはスプレーを置き、薬局などのチラシをデザインしていた。だが、そこにはアーティスティックな仕事が求められる事は無く、彼のすべては行き詰っていた。そんな時、ふとスルメ屋敷の前を通りかかると、自分たちが描いたグラフィティに黒いスプレーでバツ印がしてある。しかも、スルメ屋敷の取り壊しが、明日であることを知る。その夜、彼は何かに突き動かされるように、スプレーと脚立を抱え、スルメ屋敷へと向かう。向かう途中、路上でタバコの火を探す、うだつの上がらなそうな中年男に、進んでライターをくれてやる程に心は高揚していた。
スルメ屋敷には、まるでトミーがやって来る事を知っていたかのように、ヲンナは座り込んで彼を待っていた。すると、次第に他の仲間たちも次々と集まってくる。5人のスルメ屋敷への“死に化粧”が始まる。彼らは、スプレーを手にしながら、それぞれの2年間を振り返っていた。
かねてから女たちからモテモテだったカンは、そのモテぶりを活かして化粧品のキャッチセールスをやっていた。しかし、ひょんな事から知り合った自殺志願のオカマ、“ざんす”との付き合いから、自分が女性に対してあまり興味が無かった事に気付き始めていた。
アイドルの芝居稽古の代役を務めていた吉野山義夫は、好意を抱いていた稽古相手の女優の挑発的な行動に翻弄されつつも、代役でしかないという卑屈さから何の行動も出せずに終わっていた。
ハッタは、“556”と書いて“ココロ”と読む、いま世間で大ブレイク中のデザイナーが実は自分なのだと偽っていた事で、友達や親族をも巻き込んで後に下がれぬ状態になっていた。
一度も自分の事を話したことが無いヲンナは、しょうもない男に片思いして荒れた挙句にクラック中毒、葉っぱ中毒、アル中となったユーコという友達の付き添いで2年間を費やしていたと語る。けれど、そのユーコとは誰のことなのか?
それぞれが、それぞれの人生を生きていたのだ。
時を同じくして、うだつの上がらない謎の中年男の蒲原も、さおりという名の女との最後の夜を、エキセントリックに過ごしていた。泣いたり、笑ったり、叫んだりと…。何故最後の夜なのか?
これから蒲原は、何をしようとしているのか?
その二人以外には知る由も無かった。
次第に渋谷の夜が、ほのかに白み始める。朝はもうすぐそこまで来ていた。スルメ屋敷に向けられた5人の眼差しには、何か晴れ晴れとしたかのような力が込められていた…。

スタッフ

監督:小林正樹
原案・脚本:一色伸幸
エグゼクティブプロデューサー:野口照夫、白井博
               古屋文明、林朋夫
               北出継哉
プロデューサー:杉田浩光、小林智浩
アソシエイトプロデューサー:浦谷年良、澤原信之
企画開発:黒木稔貴、石井きよみ
ラインプロデューサー:姉川佳弘   
グラフィティ:TOMI−E
音楽:リノ・ラティーノⅡ DJ YAS
撮影監督:津田豊滋
撮影:滝彰志
照明:川井稔
録音:二瓶尚穂
映像:鈴木康公
美術:塩田仁
キャスティング:藤村恵子
監督補:権野元
プロデューサー補:富田朋子
音響効果:柴崎憲治、井田英司
アニメ演出:宇井孝司
アニメ制作:G&G DIRECTION
GRAFFITI COORDINATE:西田圭吾
GRAFFITI DIRECTOR:鈴木祐哉
スチル写真:笠井爾示
スタイリスト:安才由紀
ヘアメイク:岩本みちる
メイキング:田中ナオト
制作担当:坂井正徳、古賀宗岳

製作:テレビマンユニオン/名古屋テレビ/日本出版販売/電通/IMAGICA

キャスト

塚本高史(トミー)
忍成修吾(カン)
窪塚俊介(ハッタ)
村田充(吉野山義夫)
加藤ローサ(ヲンナ)
西村雅彦(蒲原)
手塚とおる(ざんす)
陣内孝則(香港黒社会の幹部)(特別出演)
秋山菜津子(さおり)
マギー(演出家)
夏生ゆうな(舞台女優)
松田悟志(アイドル)
風見章子(スルメ婆)
デビット伊東(警察官)

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