2005年/日本/カラー/107分 配給:ファントム・フィルム

2006年07月26日よりDVDリリース 2006年1月28日、シネセゾン渋谷・テアトル新宿ほか

(C)2005 TOKYO FM バップ ランブルフィッシュ

公開初日 2006/01/28

配給会社名 0442

解説


カンヌ激震の青山真治監督最新作。
新たなる希望の物語が誕生する。

本年度カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、“音響的自由か、この作品に驚くべき力を与えている”(リベラシオン紙)“群を抜いて豊かな作品”(ユマニテ紙)と辛口の批評家からも賞賛を浴び、改めて映画作家としてその名を知らしめた青山真治。
本作は観るものを圧倒する爆音と映像、そして“音”と“物語”の融合という全く新しい映画のスタイルを提示し、生きる力そして未来への希望を見出そうとする人々を力強く描きだしている。
西暦2015年。世界中で正体不明のウィルスが蔓延していた。“レミング病”と呼ばれるそのウィルスは視覚映像によって感染し確実に死に至るというものであった。人々は不安に怯え、絶望感に満ちていた。そんな中、病気の進行を抑制するといわれる唯一の方法が発見される。それは、2人の男、ミズイ(浅野忠信)とアスハラ(中原昌也)が演奏する“音”を聴くこと。やがてその噂を耳にした老富豪(筒井
康隆)が彼らのもとを訪ねてくる。息子夫婦をレミング病で失い、たったひとりの跡取りとなった孫娘ハナ(宮崎あおい)までもが病に侵されているという。
愛する孫娘の“死”を止めるため、彼らに演奏を懇願する老富豪。意を決したミズイはハナをある場所へと導くが…。

世代、ジャンルを超えた異色のキャスティング

レミング病の進行を抑えるといわれる実験的な“音”を創り出しているのは、俳優としてだけでなく、ミュー
シシャンとしても活動し、青山作品では監督デビュー作『Helpless』以来の出演となる浅野忠信。その相棒にはミュージシャン、三島賞作家、映画評論家とマルチな顔をもつ中原昌也(浅野も彼のファンを公言している)。そして孤独な佇まいと厭世的なまなざしでレミング病と対峙する孫娘に、その確かな演技力で女優として映画・TVに大活躍の宮崎あおい。彼女も『EUREKA』以来5年ぶりとなる青山作品への出演である。
彼らの創る“音”を求めて訪ねてくる富豪を演じるのは、作家・筒井康隆。役者としての経験も豊富な彼の存在感に誰もが驚かされる。そしてこの映画の「母」とも言える、ペンション兼レストランを経営するナビ役に岡田茉莉子。新旧の実力派が揃い、監督が熱望したキャスティングが実現した。

青山監督の冒険を支える強力なスタッフ

セリフが極端に少なく、わずか50ページほどの脚本で2時間弱の映画を表現するにあたって、撮影・たむらまさきをはじめ、録音・菊池信之、音楽・長嶌寛幸、美術・清水剛という青山監督と気心の知れた常連メンバーが参加。音楽担当の長嶌氏もシナリオハンティングに同行するなど音楽と映像に対するこだわりの制作体制がとられた。カンヌ映画祭時にリベラシオン紙(仏)に掲載された「この作品は、全部やるか、それとも何もやらないかという、やりたいことだけを妥協なくやる人が作った作品である」(フィリップ・アズーリ)という評価はまさにこのスタッフのチームワークの良さを表現している。また、芥川賞作家の阿部和重が初めて映画のメイキングを担当し、青山作品の貴重な足跡を残すスタッフとして参加している。こういった各スタッフとの絶妙なコラボレーションが「『ワン・プラス・ワン』(ジャン=リュック・ゴダール)と同一の錬金術」(ユマニテ紙)との評価を受けたのもうなずける。

「神よ、何ゆえに 我を見捨てたもうや」
EIi,EIi,Lema Sabachthani?
タイトルの『エリ・エリ・サバクタニ』ちはヘブライ語で「神よ、何ゆえに 我を見捨てたもうや?」という意味。主イエスが十字架に貼り付けられながら唱えた最期の言葉。(マタイ27章 46節)

ストーリー

西暦2015年。
日本をはじめ、世界中でウィルスが蔓延していた。
そのウィルスは視覚映像によって感染し、確実に死に至るというものであった。
本人の意思とは関係ない「自殺」という方法で。
世の中は恐怖と絶望に満ちていた。
そして、メディアはこれを“レミング病”と呼んだ。
富豪の家長、ミヤギ(筒井康隆)は、“レミング病”に感染してしまった
唯一の家族である、孫娘のハナ(宮崎あおい)の命を救おうと必死だった。
発病を抑制するといわれる唯一の方法、それは、ある2人の男が演奏する“音”を聴くこと。
ミヤギは探偵のナツイシ(戸田昌宏)に、2人を探すよう依頼する。
人々の不安や絶望から離れ、静かに暮らすミズイ(浅野忠信)とアスハラ(中原昌也)。
2人は、風の音、打ち寄せる波の音、貝殻の触れ合う音、トマトやピーマンの音など自然の中の様々な音を採集し、音を作りながら平和な生活を送っている。
そして、空腹になると、ナビ(岡田茉莉子)のところに通っていた。
ある日、穏やかな暮らしを送っていたミズイとアスハラのもとに、ミヤギとナツイシ、そして生きる希望を見失ったハナがやってきた。
ミャギは、「どうかあなた方の手で孫を治していただきたい」と2人に懇願する。
発病の抑制に効果があるという“音”を演奏して欲しいというミヤギの依頼になかなか応じないミズイとアスハラ。
ナツイシはミズイに過去を思い出させるものを差し出す。
それは、ミズイの恋人エリコ(エリカ)の病状を記したカルテだった。
エリコもまた、病に侵され、自ら命を絶った人間だった。
ある夜、ミズイの目の前で。
演奏の依頼を拒んでいたミズイとアスハラに、ある事件が起きる。
事件をきっかけに、様々な感情が蘇ったミズイは、ついに演奏する意志を伝えた。
ミズイが指定した場所に向かうハナたち。
そこには、大きく広がる青い空の下、永遠に続くかと思われるほどの緑の大地に巨大なスピーカーが4つおかれていた。
黒い布で目を覆われたハナは「見えなくても場所は分かるはずだ」
というミズイの言葉によって、視覚以外の感覚でその場所に導かれていく。
広がる空、そして大地に“音”が響き渡り、ハナを包み込んだ…。

スタッフ

監督/脚本:青山真治
プロデューサー:仙頭武則
ラインプロデューサー:佐藤公美
撮影:たむらまさき
照明:中村裕樹
録音:菊池信之
音楽:長嶌寛幸
美術:清水剛
スクリプター:山本亜子
装飾:遠藤雄一郎
ヘアメイク:田中マリ子
スタイリスト:小倉久乃
       篠塚奈美
助監督:野本史生
制作担当:中村哲也
サウンドミキサー:大川正義
サウンドデザイナー:小川高松
VFXプロデューサー:浅野秀二
VFXディレクター:立石勝
スチール:相川博昭
メイキングディレクション:阿部和重

ライヴ演奏/浅野忠信
      中原昌也

キャスト

浅野忠信
宮崎あおい
中原昌也
筒井康隆
戸田昌宏
鶴見辰吾
エリカ
内田春菊
眞野裕子
杉山彦々
古賀俊輔
斉藤陽一郎
川津祐介
岡田茉莉子

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