彼女のまなざし、彼女の微笑み、彼女の肌、それが僕のすべてだった。

2005年/アメリカ/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル、DTS/112分 配給:アートポート 宣伝:アニープラネット

2006年06月23日よりDVDリリース 2006年1月17日、シネマライズ他全国順次ロードショー!

(C)2004 DOWN IN THE VALLEY,LLC ALL RIGHT RESERVED

公開初日 2005/12/17

配給会社名 0014

解説


郊外という名の荒野に現れた、現代のカウボーイ。少女は彼を、白馬の王子と思った。少年は彼を、ヒーローと信じた……。

今年のカンヌ映画祭「ある視点」部門で上映され絶賛された『ダウン・イン・ザ・バレー』。知性とカリスマを兼ね備えた現代アメリカを代表する演技派エドワード・ノートンが、その脚本にほれ込み、主演のみならず製作も手がけた話題作だ。

舞台はロサンゼルス郊外の住宅地、サンフェルナンド・バレー。ノートン演じるハーレンは、カウボーイハットとブーツに身を固め、カウボーイを自称するどこか謎めいた男。馬の扱いに長け、銃の腕も確かだが、21世紀のカリフォルニアに彼の居場所などどこにもない。しかし、母がおらず、厳格な父親と衝突を繰り返す17歳の少女トーブの目には、この年上の男が、“ここではないどこか”に自分を連れていってくれる、理想の恋人として映る。そしてトーブの13歳の弟ロニーは、彼に逞しい理想の男を見いだす。いつしかハーレンはふたりを父の手から救い出すことこそ、自分の使命だと信じるようになるが……。

監督、脚本は、これが長編第二作目となる新鋭デヴィッド・ジェイコブソン。切ないラブストーリーであり、少隼の成長物語でありつつ、現代の郊外を舞台にした西部劇でもあるという非常に独創的な脚本にほれこんだノートンは、ジェイコブソンと意気投合し、出演を快諾。自らプロデューサーとしても作品に関わり、さらに編集にも携わるなど、この作品に対し並々ならぬ情熱を注いでいる。ノートンが鏡の前で銃を構えるシーンは、『タクシードライバー』のデ・ニーロを髣髴とさせ、牧場でのロマンティックなシーンでは得意な乗馬を披露し、忘れがたい印象を残す。ノートンはこの役のためにカウボーイの技術も訓練し、テキサスなまりも見事に習得した。

ハーレンと恋に落ちる少女トーブを演じるのは、『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』でゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされた、期待の若手女優エヴァン・レイチェル・ウッド。清冽な美しさと大胆な演技で少女のあやうさ、激しさを見事に表現し、撮影当時17歳ながらノートンと互角の存在感を見せつけた。miumiuの2005AWワールドキャンペーンモデルにも起用され、今最も注目を集めている。ハーレンをヒーローと慕うロニー役は、カルキン・ファミリーの末弟ローリー・カルキン。子供から少年への過渡期にある、繊細な演技を要求される難役を見事にこなしている。ニ人を男手ひとつで育てる、刑務官の厳格な父親を演じるのは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のデヴィッド・モース。さらに牧場主を『モンスター』のベテラン、ブルース・ダーンが演じ、ドラマに奥行きを与えている。

そして映画のもうひとりの主人公ともいえるのが、ザ・バレーと呼ばれる、サンフェルナンド・バレーの町だ。『マグノリア』をはじめ多くの映画にも登場する、郊外の典型というべき、色を感じさせない町並みと、渇いた空気。きれいに造成されてはいるが、どこか荒んだ印象を与えるこの町のシンボルは、12車線もあるフリーウェイ。そこをハーレンは馬に乗って闊歩する。心に空洞を抱えた登場入物たちにとってこのサバービアの風景は、西部劇における砂漢のように荒涼とした舞台を提供している。哀愁をおびた名曲「ダウン・イン・ザ・バレー」の調べと共に、切ない愛の物語はきっと心に深く刻まれることだろう。

ストーリー


カリフォルニア州サンフェルナンド・バレー。遊びたいさかりの17歳の少女トーブ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、厳しい刑務官の父ウェイド(デヴィッド・モース)と、まだ手のかかる13歳の弟ロニー(ローリー・カルキン)の3人暮らし。窮屈な毎日にうんざりしていた彼女は、ある日、友達とビーチに出かける途中、風変わりなガソリンスタンドの店員ハーレン(エドワード・ノートン)と出会う。このカウボーイハットを被った、テキサスなまりの男に興味をそそられたトーブは、彼を海へと誘った。大胆なことに彼は、その場でスタンドを辞め、トーブらと共に海へと繰り出す。大胆かつミステリアス。そして自分を大人の女として扱ってくれる年上の男に、卜一ブは一瞬にして夢中になるのだった。そしてハーレンもまた、卜一ブに急速にひかれていく。激しく求め合う二人。
ハーレンは彼女だけでなく、弟のロニーにもやさしく接した。家庭にも学校にも居場所を見出せずにいたロニーは、本当はカウボーイだというハーレンに憧れのまなざしを向ける。だが父ウェイドは、どこか得体の知れないハーレンを警戒するのだった。
あるときハーレンはトーブを、知り合いのものだという牧場に連れていった。
白馬に乗り、まるで映画のようにロマンティックなときを過ごす二人。しかしそれに気づいた牧場主(ブルース・ダーン)は「馬泥棒」だと怒り、警察を呼ぶ騒ぎに発展してしまう。ハーレンは何かの誤解だと言うが、牧場主はハーレンのことなど知らないと主張する。そこヘウェイドがかけつけ、なんとかその場はおさまるものの、トーブはハーレンとの交際を禁じられてしまう。泣きじゃくりながらも、父の言うことに逆らえないトーブ。
ハーレンはトーブに会おうと父のウェイドがいない時間に家を訪れるが、彼女はおらず、ロニーだけだった。ハーレンは彼を連れ出し、銃の撃ち方を教える。早撃ちの練習を通して二人は絆を深めるが、まだ幼い弟に銃を持たせたと知ったトーブは、ハーレンに対し不信感を抱く。トーブと会うことができず、傷ついたハーレンは、なぜかシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)を訪れるのだった。町に戻ったハーレンは意を決し、卜一ブに駆け落ちを迫るが、拒まれてしまい、思いあまって彼女を撃ってしまう。幸い命に別状はなかったが、ハーレンは彼を慕うロニーを馬に乗せて、姿を消す。必死で彼らの行方を追うウェイドは、ハーレンのある秘密を知る……。

スタッフ

監督・脚本:デヴィッド・ジェイコブソン
プロデューサー:ホリー・ウィーアズマ
        エドワード・ノートン
        アダム・ローゼンフェルト
        スタブロス・マージョス
製作総指揮:サム・ナザリアン
コ・プロデューサー:ビル・ミリオレ
          マーク・スキャバーグ
          マイク・アプトン
キャスティング:バーバラ・フィオレンティーノC.S.A
        レベッカ・マンジェリ
衣装:ジャクリーン・ウェスト
音楽:ピーター・サレット

キャスト

ハーレン:エドワード・ノートン
トーブ:エヴァン・レイチェル・ウッド
ロニー:ローリー・カルキン
ウェイド:デヴィッド・モース
チャーリー:ブルース・ダーン
スティーヴ:ジョン・ディール
エイプリル:カット・デニングス
クリス:ハンター・パリッシュ
シェリ:アヴィヴァ
ジェレミー:アーロン・フォース
ビル・シニア:ミューズ・ワトソン
シェル:ヘザー・アシュリー
シェリダン:ジェフリー・ルイス
ゲイル:エリザベス・ペーニャ
リタ:ジェニファー・エコルス

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す