原題:Nine Lives

痛みは光と化す

2005年度ロカルノ映画祭最優秀作品賞、主演女優賞W受賞

本国アメリカにて、2005年9月公開

2005年/アメリカ/カラー/35mm/114分/ 配給:エレファント・ピクチャー

2007年02月23日よりDVDリリース 2006年11月25日より横浜ジャック&ベティにてロードショー 2006年7月1日、Bunkamuraル・シネマにて公開予定

公開初日 2006/07/01

配給会社名 0244

解説


『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシア監督最新作!

誰もが心のうちに引いてしまう”幸福であることの境界線”。その線は彼女の痛み、悲しみを自らの手であぶりだす。しかし傷ついてしまった彼女達の輝きが失われることは決してない。それはより芳醇な人生となって彼女達の手元に返ってくるから——。

『彼女をみればわかること』で、日常の中のふとしたきっかけで直面してしまう痛みと孤独、そして他者との関わりの深さを描き、圧倒的な観客の支持を得たロドリゴ・ガルシア監督による最新作。その痛みはさらに成熟した痕跡となり、人生への深みを与えていく。

9人のアメリカを代表する女優陣による、9つの美しき物語。傷ついた宝石が、そこにより光をためて輝きを増すように、どんな人生の傷をも受容する彼女たちはさらに光り輝く。痛みによって彼女は倒れることはない。むしろそれにより人生の美の広がりを手にするのだ。

女性心理に深く分け入り、その複雑に揺れ動く感情を繊細にすくいとった1本の傑出した映画に、2005年のロカルノ映画祭は、最優秀作品賞、そしてそれぞれのエピソードの主役を飾った9人の女優たち全員に最優秀主演女優賞という形で惜しみない称賛を贈った。その作品こそ、ロドリゴ・ガルシア監督の最新作『美しい人』である。

ストーリー



第一話 娘に愛をそそぐ人<サンドラ>
刑務所に服役しているサンドラ(エリピディア・カリーロ)は、模範囚となるべくいくつもの仕事を自らに課している。しかしそのやり方はあからさまで、ほかの囚人たちの反感を買っていることも明らかだった。彼女は面会に来る娘と言葉を交わすことだけが唯一の生きがいで、そのささやかな望みを実現するために、そうせざるをえないと思い込んでいた。

第二話 いま手にしている愛を見出す人<ダイアナ>
ダイアナ(ロビン・ライト・ペン)は夜のスーパーマーケットで、偶然昔の恋人ダミアン(ジェイソン・アイザックス)に再会する。久しぶりの再会はその時間の経過を感じさせるような、差しさわりのない会話に終始する。かつての思い出、天気の話、そしてそれぞれの結婚生活。しかし突然何かが決裂したかのように、ふたりの思いは交差するが・・・。

第三話 愛をぶつける人<ホリー>
父親との幼い頃のトラウマから、ホリー(リサ・ゲイ・ハミルトン)は長い間家を出ていた。しかしその感情は、大人になるにつれさらに引き裂かれていく。ある日、妹ヴァネッサ(シドニー・ターミア・ポアチエ)と父(ミゲル・サンドヴァル)が暮らす、苦い思い出だけが残る家へ、彼女は突然現れる。父を10分以内に呼び出せと、妹に迫るホリー。しかしその思い出の場所で彼女はささやかで幸せだった思い出があったことも少しずつ思い出す。

第四話 お互いの弱さを知る人<ソニア>
友人夫妻の家に招かれたソニア(ホリー・ハンター)と夫のマーティン(スティーヴン・ディレイン)。夫は友人のダミアン(ジェイソン・アイザックス)とリサ(モリー・パーカー)の新居に到着したときから、不機嫌さをあらわにしている。しかしソニアはそれをやり過ごしている。マーティンの毒舌に友人夫妻は居心地の悪さを感じている。そして夫の口から二人だけの秘密が明かされる。

第五話 かけがえのない人<サマンサ>
サマンサ(アマンダ・セイフライド)は輝くような美しさをもつ娘だ。いま父親(イアン・マクシェーン)は車椅子に座ったまま、キッチンでクロスワードパズルしている。そして娘とだけ会話を交わす。母親のルース(シシー・スペイセク)は寝室でアイロンをかけている。娘に父親の様子を聞きながら。父と母が直接言葉を交わすことはない。

第六話 愛を求められる人<ローナ>
妻に自殺された元夫アンドリュー(ウィリアム・フィクトナー)のために、家族とともに葬儀に参列したローナ(エイミー・ブレナマン)。しかし周囲の目は冷たく、彼女は居心地の悪さを覚える。元夫はいまだローナを思っているというのだ。このエピソードは、監督の父親であるガルシア・マルケス譲りの誇張に満ちた魔術的リアリズム、あるいはルイズ・ブニュエルを思わせるスキャンダラスで淫聖的なイメージが噴出している。

第七話 家族があることの歓びを知る人<ルース>
第五話にサマンサの母親として登場したルース(シシー・スペイセク)。自身の渇きを癒すように不倫に走り、娘の先生ヘンリー(エイダン・クイン)とモーテルに足を踏み入れる。月の美しい夜。満月が彼女を惑わすかのように、ことは進んでいく。夫とは久しく持ちえなかった、恍惚のひととき。が、彼女は向かいの部屋で起こったある光景を偶然目撃する。

第八話 夫の愛の深さを知る人<カミール>
女性の身体の象徴である乳房を失うことになり、あるいは致命的ともなりうる重大な手術を目前に控えるカミール(キャシー・ベイカー)。彼女は激情に駆られ、夫リチャード(ジョー・マンテーニャ)を理由なくなじる。娘への親心、夫へのやりきれない思い、医者への不満・・・。

最終章 神の祝福を受ける人<マギー>
カメラは、墓参りにやってきたマギー(グレン・クローズ)と娘マリー(ダコタ・ファニング)とのささやかなやりとりを映し出す。新緑の季節、年に一度訪れる美しい場所だ。逝った者とおくった者が交差する場所。しかしその暖かく、美しい、人生にそれほど訪れないような午後のひとときを映し出した映像は、観る者にある事実を突きつけていく。

スタッフ

監督:ロドリゴ・ガルシア
製作:ジュリー・リン
製作総指揮:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ロドリゴ・ガルシア
撮影:ハヴィエル・ペレス・グロベット
音楽:エド・シェアマー
 

キャスト

グレン・クローズ
ホリー・ハンター
キャシー・ベイカー
エイミー・ブレネマン
ダコタ・ファニング
ロビン・ライト・ペン
シシー・スペイセク
リサ・ゲイ・ハミルトン
エルピディア・カリーロ
アマンダ・セイフライド
ウィリアム・フィクトナー
ジェイソン・アイザックス
ローレンス・プレスマン
エイダン・クイン

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