原題:Hafez

2007/98min/イラン=日本/ヨーロピアンヴィスタ 配給:ビターズ・エンド

2008年09月26日よりDVDリリース 東京都写真美術館ホールにて公開中!

公開初日 2008/01/19

配給会社名 0071

解説



ゲーテにも影響を与えたといわれる実在の詩人、ハーフェズの詩句にインスパイアされた美しい愛の神話。イラン版「ロミオとジュリエット」

「コーランなくとも各家庭にハーフェズ詩集あり」といわれるほどイランにおいて絶大な人気を誇る古代ペルシャに実在した詩人ハーフェズ。彼の詩に感銘を受けたゲーテはハーフェズを「同じ魂の形」と評したという。そのハーフェズの詩句にインスパイアされた運命的な恋物語、イラン版「ロミオとジュリエット」が誕生した。
顔を合わせることなく、詩を通じて恋に落ち、立場の違いから引き離される運命の恋人——。雄大な砂漠の景色、身に纏う衣装の美しさ、ハーフェズをはじめとするペルシャの詩人たちによる詩の数々が、現代のおとぎ話を彩る。

引き離された運命の恋人。彼女が通った道の砂さえ私には愛おしい。

シャセセディン(メヒディ・モラディ)はコーランを諳んじている者だけに与えられる称号を受け、“ハーフェズ”と呼ばれるようになり、高名な宗教者の娘・ナバート(麻生久美子)にコーランを教えはじめる。ナバートは外国育ちのため、コーランの知識が少ない。見つめ合うこともないまま、コーランや詩を詠み合ううちに、恋に落ちていくふたり。恋心を隠せず、聖職者として禁じられている詩を詠んでしまったハーフェズは罪を問われ、称号を剥奪、住む家も失う。父親により別の男と結婚させられたナバートは原因不明の病に落ちてしまう。引き離されたふたりは、再び出会うことが出来るのだろうか……。
詩の世界を背景に繰り広げられるおとぎ話。叶わなくとも誰かを想わずにいられない恋心は、見る者すべての胸を締めつける。

人気・実力ともに、今もっとも輝いている女優、麻生久美子とイランの鬼才、アボルファズル・ジャリリによるコラボレーション!

『少年と砂漠のカフェ』『キシュ島の物語』などでカンヌ、ヴェネチア、ロカルノ、ナントといった世界中の映画祭で注目を集めるアボルファズル・ジャリリ待望の監督最新作『ハーフェズ ペルシャの詩』。ヒロインのナバート役を演じるのは、『アイデン&ティティ』『CASSHERN』「時効警察」の麻生久美子。いまや日本映画界に欠かせない女優、麻生久美子が、初の世界進出作品に選んだのが本作である。ジャリリ監督からの5年越しのラブコールに応えるべく、ペルシャ語・アラビア語のセリフを習得して臨む本作は、彼女にとっての代表作になることは間違いない。
主人公・ハーフェズを演じるのは、ジャリリ監督の前作「Abjad」で主役を務めたメヒディ・モラディ。映画出演2作目ながらも、これまでのイラン映画で見たことがないほどの端正な顔立ちと圧倒的な存在感で、神秘的な役どころ・ハーフェズに立体感を持たせた。

ストーリー





シャムセディンは子どものときからタリーカ(※)でコーラン暗唱の修行をしていた。そして、見事試験に合格し、コーラン暗唱者だけに与えられる称号ハーフェズを獲得する。
シャリーア(※)の高位にある宗教者モフティ師の娘ナバートが母方の国であるチベットから帰ってきた。コーランをよく知らないナバートにハーフェズがコーランを教えることになる。
直接顔を合わせることなく、壁にある窓越しにコーランの授業が始まった。ペルシャ語もままならないナバートが、アラビア語のコーランを読むのは難しい。一語一語、丁寧に教えていくハーフェズ。好奇心旺盛で、コーランの意味を事細かに聞いてくるナバート。
「光を作るのはなに?」

「光よりも尊いものはなに?」

その問いへ答えるためサアディ(※)の詩を詠むハーフェズ。
君をなににたとえたらよいのだろう
形あるものとは違う
君は命なのだ

「あなたは詩人を信じるの?」

ハーフェズの中でナバートの声がどんどんこだましていく。
「怖いのです。彼女の声は私の心を波立たせます。不安で」

昨夜、あなたの髪のことを集まった人々が話し始めた
称賛の声はやむことがなく、夜が更けていく

隠れ読んだハーフェズのノートにあった詩を朗読するナバート。
「その詩をどちらで?」

「夢で聞いたの」

いたずらっぽく笑うナバート。思わず、ふたりは目を合わせてしまう。

「結婚前の娘と詩を詠み交わし、視線を交わした」

ハーフェズは罪を問われ、ハーフェズの称号を剥奪される。
家も焼かれ、帰る場所を失ってしまうハーフェズ。
モフティ師のもとで学んでいる男とナバートは結婚することになる。婚儀の席で父モフティ師の顔を見つめるが、父は顔を背けるだけだった。従わざるを得ないナバート。
ハーフェズは「鏡の誓願」(※)を行うことにした。7つの村で鏡を拭いてもらい、そのお礼に相手の願いを叶えるもの。本来は恋を叶えるための儀式。だが、どうしても忘れられない恋を忘れるために旅に出るのだ。
砂漠で眠るハーフェズ。見る夢はナバートのこと。ナバートの表情、走る姿を思い描くハーフェズ。
愛の苦しみと別離の痛みを乗り越え
世界中を歩き回り最後に選んだ恋人
彼女が通った道の砂も私にはいとしい
昨夜の別れの言葉を思い出させるな

ハーフェズとナバート、ふたりは再び出会えるのだろうか……。

スタッフ

監督・脚本・編集・撮影・セット・デザイナー・衣装:アボルファズル・ジャリリ
録音:メールダド・ダドガリ
整音:マスード・ベーナム、ホセイン・アボルセデグ
プロデューサー:定井勇二、アボルファズル・ジャリリ
コーディネーター:ショーレ・ゴルパリアン
音楽:ヤンチェン・ラモ、アボルファズル・ジャリリ

企画・製作:First Film Milad Co. + Bitters End, Inc.
提供:ビターズ・エンド + ハピネット

キャスト

ハーフェズ:メヒディ・モラディ
ナバート:麻生久美子
シャムセディン:メヒディ・ネガーバン
モフティ:ハミード・ヘダヤティ
ジョルジャニ:アブドッラー・シャマシー
祈祷師:ミカイール・シャレスタニー

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