日本犯罪史上最大のミステリー「府中三億円強奪事件」。

2006/日本映画/カラー/ビスタサイズ/DTS-SR/114分 配給:ギャガ・コミュニケーションズ

2008年02月08日よりDVDリリース 2006年11月24日よりDVDリリース 2006年6月10日、シネマGAGA!ほか全国ロードショー

(C)2006 ギャガ・コミュニケーションズ

公開初日 2006/06/10

配給会社名 0025

解説


日本犯罪史上最大のミステリー「府中三億円強奪事件」。
 
大胆かつ巧妙な手口による犯行、大量の遺留品と延べ16万人の捜査員の投入にも関わらず難航する捜査、
そして数多くの犯人推理説…。
その犯行の鮮やかさから、世の中に一大旋風を巻き起こし、犯人がヒーロー視されるにまで至った大事件。
1975年に未解決のまま時効を迎えるが、その後も数多くの映画やドラマ、小説で取り上げられ、
今なお語り継がれている完全犯罪である。
しかし、こんな物語は耳にしたことがあるだろうか。この実行犯が実は女性だったと。しかも、18歳の女子高生だと・・・。

本作の原作となる小説「初恋」。
2002年に中原みすずによって書かれたこの物語の中で、著者と同名のみすずという女子高生の主人公はこう語り始める。
「私は『府中三億円強奪事件』の実行犯だと思う」と。
 
18歳の少女は本当に犯行に及んだのか。何が彼女を突き動かしたのか。
主人公が明かす三億円強奪事件の知られざる真実と、そこに交差していく、どこまでも純粋で、どこまでも切ない初恋の思い出。
暗い瞳をした少女が一人の青年に出会い、その青年を想う気持ちが、結果として永遠の別れへと繋がっていく物語。
ここに描き出される事件の真相は、我々の知っている三億円事件と比べるには、あまりに等身大で、あまりに痛い。
 
本作で主演を務めるのは、『EUREKA〈ユリイカ〉』で15歳にしてその存在感を絶賛され、昨年の『NANA』以降勢いの衰えることのない宮?あおい。
原作「初恋」に惚れ込み、10代最後に出演を切望したというだけあり、みすずの常に闇と隣り合わせの危うさを独特の感性で演じ上げている。
 
1960年代新宿のジャズ喫茶。気持ちのやり場を見失い、やみくもに体制に反発した若者たち。
そして、好きだから時を共にし、好きだからもう二度と会うことのない、一人の少女の恋・・・。
三億円強奪事件の秘密の扉が、今、開かれる。

ストーリー




暗い瞳の少女

高校生のみすず(宮?あおい)は、小さい頃から孤独だ。
学校では友達も作らず、ひたすら本を読む日々。
級友たちは決して笑わない彼女を遠巻きに見ていた。
家に帰っても引き取られた叔母家族とは口も聞かず、ただただ暗い瞳を持つみすずを、叔母は「あの女の娘ですからね。」とはき捨てる。
みすずの母親は小さい頃、兄を連れていなくなったきりだった。
 
そんなある放課後、みすずはとある場所に足を運んでいた。
暗くなった新宿の繁華街。セーラー服姿の彼女はひどく目立ち、路上に立つチンピラ、呼び込み、ヌード嬢たちは、いぶかしそうにみすずに一瞥をくれる。
足早に通りを抜けるみすず。その歩みがある店の前で止まった。
目の前には赤く光るBと書かれたネオン看板。みすずの手に握られたマッチに書かれている店の名前と同じだ。
数日前、母が家を出てから会うことのなかった兄が突然現れ、みすずに手渡したマッチだった。

「大人になんかなりたくない。」

ジャズ喫茶B。店中に響き渡るジャズと、それに酔いしれる客。おそるおそる店内に進むと、煙草の煙が立ち込める退廃的なフロアの奥に、彼らはいた。
女にもてるうえ人望も厚い兄の亮(宮?将)、そんな亮を慕うアングラ劇団の看板女優ユカ(小嶺麗奈)、
作家志望で積極的にデモに参加している浪人生のタケシ(柄本佑)、ケンカっぱやい肉体派のテツ(青木崇高)、お調子者でムードメーカーのヤス(松浦祐也)、
そして他とは違う雰囲気で1人ランボーの
詩集に目を落としている東大生の岸(小出恵介)。
「子供が何の用だ。」そう聞いて冷たく突き放す岸に、みすずは言う。「大人になんかなりたくない。」

こうして仲間に加わったみすずの生活は少しずつ変化していく。
学校にいるよりも、家にいるよりもBで過ごす時間が増える。笑顔が増える。生まれて初めて味わう“仲間”という温かい感覚。
そして岸に対して生まれた、切ない感情…。いつの間にかみすずにとってBはかけがえのない場所になりつつあった。

「みすず、お前が必要なんだ。」

そんなある日、岸がみすずに驚くべき相談を持ちかける。
「他の連中同様、俺も権力ってやつを憎んでる。石投げるもよし、角材振り回すもよし、だけどそんなの権力にとっては痛くも痒くもない。
だから、俺は頭で勝負したい。・・・現金輸送車から三億円を強奪しないか?」。
突拍子もない計画に言葉を失うみすず、しかし真剣な表情の岸の一言でみすずの気持ちは固まった。
「おまえが必要なんだ」。
 
こうしてみすずはこの壮大な計画に徐々にのめり込んでいく。バイクの乗り方を練習し、犯行ルートの道順を頭に叩き込む。
好きな人の役に立ちたい一心で。しかし順調に準備が整う中、みすずの心の中に一つの不安が生まれ、その不安は犯行予定日が近づけば近づくほど、
大きく膨れ上がる。堪えきれなくなったみすずは、ある廃駅で犯行の最終確認をする中、岸に向かってつぶやく。

「これが終わったら、私たちもう会えなくなっちゃうんだよね?」

「そんなことないさ。また会える。」

「・・・嘘つき。」

そうして迎えた1968年
12月10日。
雷雨の朝。

白いバイク。

・・・雨天決行。

スタッフ

監督:塙幸成
原作:「初恋」中原みすず著 (リトルモア刊)
脚本:塙幸成/市川はるみ/鴨川哲郎
主題歌:
「青のレクイエム」元 ちとせ (エピックレコードジャパン)
制作:ミコット・エンド・バサラ
制作プロダクション:アン・エンタテインメント
製作:ギャガ・コミュニケーションズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
支援:文化庁

キャスト

宮崎あおい
小出恵介
宮崎将
小嶺麗奈
柄本佑
青木崇高
松浦祐也
藤村俊二

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