幻の60sフレンチ・ヴィンテージ・シネマ

1988年/フランス/105分 配給:ステップ・バイ・ステップ

2006年05月10日よりDVDリリース 2005年10月29日、アミューズcqnにてロードショー公開

公開初日 2005/10/29

配給会社名 0652

解説


60年代パリ。サンシェルマン・テ・プレで3人組のアイドルユニットのお披露目イヴェントが開催される。しかしQ&Aコーナーか仇となり、彼らの虚像がアラワになる—-
常に斬新かつ新鮮な60sフレンチ・カルチャー。“ヌーヴェル・ヴァーグ”に音楽、演劇、文学などにもそれぞれ新しい波があった。音楽界では、トレネ、アズナヴールといったシャンソンに変わってビートルズ、ストーンズやモッズなどの影響を受けたフレンチ・ポップスこと“イェイェ”が生まれ、シルヴィ・ヴァルタン、フランソワーズ・アルディ、シャンタル・ゴヤといったアイドルが誕生した。演劇界では、国立劇場での古典劇から、様々な場所を舞台に見立てて即興的な劇とも寸劇とも言えない舞台を上演する“カフェ・テアトル”運動が始まった。
61年にその試みを始めた人物こそ、この映画の監督マルク’Oである。団員は、ビュル・オジエ、ジャン=ピエール・カルフォン、ピエール・クレマンティ、ヴァレリー・ラグランジュ、ミシェル・モレッティ、ジャック・イジュラン、マルペッサ・ド一ン。彼らの強烈な個性は、映画人の注目するところとなり、シャック・リヴエットがこの「狂気の愛」(68)で本作に先駆けこのキャストを総出演させ、ゴダール.パゾリー二、ベルトルッチ、ガレルらが起用する。
本作の元となった舞台は、64年サン・サンジェルマンの仮設劇場で初演。斬新なパフォーマンスとファッションで見るものを圧倒させる一方で、アイドルという存在の虚構性と偶像崇拝への批判を盛り込んで評判となり、満員札止となる程大盛況となった。
終演後、早速今回の映画化となり、68年5月に公開が決まるも、「五月革命」と重なったこともあり、人々が映画を見るような状況下ではなかった。その後、73年にリヴァイヴァル公開。2003年“五月革命 35周年”に合わせて、その時代を代表する人物ビュル・オジエのレトロスペクティヴで、本作が上映されるや、現代にも通じるダイレクトな表現が再確認される。早速リストアされて、翌年6月にパリでリヴァイヴァル公開。その夏には東京・銀座メゾンエルメスル・ステユディオでビデオ上映され、人気を博す。その時の素材はシネマテーク所蔵の15分短いビデオヴァージョンだったが、今回は完全版での初公開である。
主演は、狂乱ジジに仏演劇界トップに君臨し、映画界からも慕われ続ける永遠のミューズ、ビュル・オジエ。短剣のチャーリーに危険なキャラで独自の世界を築いた故ピエール・クレマンティ。魔術師シモンにミステリアスな雰囲気のジャン=ピエール・カルフォン。他に、MCには歌手でもあり『男と女』(66)、『ウイークエンド』(67)にも出演したヴァレリー・ラグランジュ。社長とその妻にはマルク’Oの舞台の常連で映画、舞台で活動するジョエル・バルブートとミシェル・モレッティ『野性の葦』(94)。キャメル氏はティエリー・レルミットとの長年コンビを組み、『僕は、パリに恋をする』(96)の共同脚本も担当のフィリップ・ブリュノ。ズーズー、アンナ・カリーナにも楽曲を提供するステファヌ・ヴィラールはバンドメンバーとして出演。
ゲストとして『私のように美しい娘』(71)ののベルナデット・ラフォン、『コレクションする女』(67)のダニエル・ポムルール、『地獄の貴婦人』(74)の監督フランシス・ジロ一、演劇人ジャン=マリー・セロー、マルチ・アーティストのアンリ・シャピエらが登場。
主演3人のモッズ系の衣装をデザインしたのは当時大人気のジャン・ブキャン、結婚式の客が着るシャツはキャシャレルが担当。編集にはジャン・ユスターシュ、助監督にアンドレ・テシネが名を連ねている。

ストーリー


1960年代パリ、サンジェルマン・デ・プレ界隅のタバコの煙が立ち込める薄暗いライヴ会場。ここで記者会見とパフォーマンスを兼ねた「アイドル・クラブ」商会の発表会が、シャンパンの開栓とともに幕を開けた。
その目的は、ヤリ手マネージャーが仕組んだ3人のアイドル・ユニット結成のお披露目!!パリの誰もが愛する人気ナンバーワンの「ジジ・ラ・フォル(狂乱ジジ)」ことエロイーズは、優美で魅惑的な真のアイドル。ストリート系の危険な男、短剣のチャーリーは、持ち前の奇抜なパフォーマンスが大人気。占い師だったキテレツな自己表現がウリの「魔術師シモン」は一発屋で、これに再起を賭ける。
今回のために集められたバンドが入場し、テーマ曲「アイドルたち」が演奏される中、3人が観客の間を通り抜けながら熱狂的に迎えられて入場。まず、チャーリーが自分の事を語るサイケデリック・ロック「短剣のチャーリー」を派手なアクションで歌い上げる。続いてジジがイェイェ全開の「ジジのロック」で萌える!シモンは観客はともかく思い入れたっぷりに「夜が訪れたのに」を熱唱。
質疑応答タイムとなり、チャーリーは父のような労働者になることを拒否しつつも車を盗難して逮捕されそうなところを、偶然居合わせた社長にスカウトされ更正させる条件で預けられ、今日があると語る。アイドル路線のジジは使用済みグッズなどの披露で客を煽り自身も大胆なダンスと斬新な歌詞の歌を次々ち披露。彼女に続く新しいアイドルを狙ったチャーリーは後、広報の思惑とは裏腹な過激な言動でまずい方向に。一方、観客からはシモンが落ち目になった理由を尋ねられ、過去の栄光に自己表現の研究話で暴走。占い師をしていた時の客ジジの紹介で歌手デビュー。一方、ジジはチャーリーと華々しく婚約し、披露宴では230万枚を売り上げたシスターが歌を披露した事などを語る。しかし、観客が「兵役に就くか?」との質問でチャーリーがぶち切れ険悪なムードに。しかも、婚約もイメージ戦略の一環だったことなどが明かされ、場内はものものしい空気になり、会見は思わぬ失敗に終わる。華やかな世界の嘘・裏側をみせられたプレスは牙を剥き、ファン達からも非難の声が!呼応するかのように3人のアイドルの告白はヒートアップし、たじろぐマネージャーの思惑を超え、記者会見はとんでもない方向へ…。そして、3人に予想もしなかった結末が待っていた…。

スタッフ

監督・脚本:マルク’O
音楽:ステファヌ・ヴィラール、パトリック・グルセイ
編集:ジャン・ユスターシュ
衣装:ジャン・ブキャン、ジャン・キャシャレル
後援:フランス大使館文化院、ユニフランス東京、東京日仏学院
協力:流行通信

キャスト

ピュル・オジェ
ピエール・クレマンティ
ジャン=ピエール・カルフォン
ヴァレリー・ラグランジュ
ミシェール・モレッティ
フィリップ・ブリュノ
ベルナデット・ラフォン

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