原題:yes

一人の私、一人のあなた 燃え上がる あなたを知る前の私は生きる屍 今まで知ることのなかった熱い想い 愛する人 あなたの手で私は溶ける

2005年6月24日全米公開

2004年/イギリス・アメリカ合作/100分/カラー/35mm/ドルビーデジタル 配給:ギャガ・コミュニケーションズ 宣伝:アルシネテラン

2006年04月07日よりDVDリリース 2005年10月15日、シャンテ シネにて ロードショー

公開初日 2005/10/15

配給会社名 0025

解説


静謐で情熱的。
ロンドン、ベルファスト、ベイルート、ハバナへと巡る“大人の愛”の軌跡—–
サリー・ポッター監督渾身の最高傑作!

「オルランド」「タンゴ・レッスン」「耳に残るは君の歌声」と数々の美しい名作を送り出している、イギリス人女性監督サリー・ポッター。彼女の集大成ともいえるべく傑作が誕生した。
愛の冷めた夫婦生活に絶望を感じている“彼女”、祖国に幻滅しイギリスへと逃亡してきた“彼”—–文化の違いという障害を乗り越え、ぶつかり合いながらもかけがえのない存在になっていく二人の愛の軌跡を、美しい映像と韻をふんだ詩的な台詞で繊細に綴った大人の愛の抒情詩。
「愛をつづる詩」は、様々な挫折や苦悩を経験した成熟した女性だからこそわかる、ほろ苦くも美しい、真実の愛への気づきの物語である。

〈ポエティックな台詞と映像美〉
抒情詩人でもある監督によって描かれた本作の台詞は、すべて韻をふんでいる。この手法により登場人物たちの言葉は美しいリズムを持ち、恋人たちの愛の語らいはさらに甘美に、衝突や別れの言葉は、より深く観る者の胸につきささる。また、桜が満開のロンドンの公園での初デートから、それぞれの故郷であるベルファスト、ベイルート、そして恋人たちの終着点となったハバナの海辺へと、二人の関係が移ろっていくとともに舞台も変わっていき、それぞれの舞台に描き出されたサリー・ポッター特有のその映像美は本作の最大の見所である。

〈文化の全く違った男女の愛の先に見える、これからの世界の形—–〉
本作は、激動する世界情勢に対して「一人の映画製作者として何ができるだろう?」と考えたサリー・ポッター監督からのメッセージが込められた、深い意味を持った作品でもある。文化的背景の全く違った男女が、ぶつかり合いながらも、お互いを理解し受け入れていく様は、混沌とした世界に生きる我々に考える機会を与えてくれる。

〈実力派の豪華キャスト陣〉

成熟した女性の持つ強さと美しさを持った“彼女”を演じるのは「きみに読む物語」での母親役が記憶に新しいジョアン・アレン。画面の中の彼女は「まぼろし」のシャーロット・ランプリングのように、内面から強く光り輝いている。“彼”役には、サイモン・アブカリアン(「アララトの聖母」)が挑み、祖国に幻滅しまた異邦人として傷つきながらも“彼
女”を深い愛で包み込んでいく“彼”を熱演している。また、愛の冷めた結婚生活を送る“彼女”の夫アンソニー役に、演技派俳優サム・ニール(「ウィンブルドン」〉、物語のスト
ーリーテラー的役割を果たす、夫婦の掃除婦役を、シャーリー・ヘンダーソン(「家族のかたち」)が演じ、脇を固めている。

ストーリー



北アイルランド出身のアメリカ人の“彼女”は、分子生物学者として学会や委員会で世界中を飛び回っている。修復不可能なほど壊れてしまった、イギリス人政治家である夫アンソニーとの結婚生活に満たされない日々を送る“彼女”。その日も夫の情事が発覚、いつもの口論が始まる…

夫の体裁を取り繕う為に出席したパーティで、彼女はある男性と出逢う。「私なら絶対に美しい女性を一人にしない」—–“彼”はレバノン人。以前は医者だったが、祖国に幻滅しレバノン・ベイルートから逃亡、今はロンドンでコックとして働いている。

まもなく、彼らの情熱的な情事が始まる。二人はお互いの違いを受け止め、愛し合っていく。
「あなたに会う前の私は生きる屍」—–それはお互いにとって聖域のように甘美な日々だった—–

しかし、厨房で同僚たちに自分の文化と信仰をあざけられたことをきっかけに、一度は捨てたはずの、祖国への信念が再び頭をもたげ始めた“彼”。その強い信念が、二人の愛にも暗い影を投げかけ始める…

“彼女”の結婚生活が取り返しのつかないほど崩壊し孤独感をつのらせていた、まさにその瞬間、“彼”は“彼女”を遠ざける。“彼女”はこの時、“彼”がかけがえのない存在であり、人生の中で一番重要なものだということに気づくのだった。

二人は激しいロ論をする。彼女を拒絶する時,彼の怒りと苦悩の奥深い理由が、徐々に現れてくる。それは西洋諸国で生きる異邦人としての彼が毎日経験してきた痛みと屈辱感だった。

駐車場での夜を徹した口論の途中で、入院中の愛する叔母がこん睡状態だと連絡を受け、入院先のアイルランド・ベルファストへと急ぐ“彼女”。一度も憧れの地キューバを訪問しなかったことを悔みながら叔母がついに亡くなる。“彼女”は“彼”に電話をかけ、ハバナに一緒に旅行し、二人の関係に最後のチャンスを与えてほしいと説得する。だが“彼”は、10年以上戻ったことのなかったレバノン・ベイルートに戻っていた…

全ては終わったかのように見えた。二人の世界は二つに裂かれた。失うものは何もなく、“彼女”はハバナへと向かう—-真実の愛を知り愛に見放された“彼女”。二人はまたひとつになれるのだろうか…

スタッフ

監督:サリー・ポッター
撮影監督:アレクセイ・ロディオノフ
美術:カルロス・コンティ
衣装:ジャクリーン・デュラン
録音:ジャン=ポール・ミュゲル
プロデューサー:クリストファー・シェパード
        アンドリュー・ファイアバーグ
製作総指揮:ジョン・ペノッティ
      フィッシャー・スティーヴンス
      セドリック・ジャンソン
      ポール・トリビッツ

キャスト

ジョアン・アレン「きみに読む物語」
サイモン・アブカリアン「アララトの聖母」
サム・ニール「モンタナの風に抱かれて」

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