原題:L'equipier

2003年/カラー/105分 配給:エレファント・ピクチャーズ

2007年07月27日よりDVDリリース 2005年11月5日、シャンテシネにて感動のロードショー

公開初日 2005/11/05

配給会社名 0244

解説


1冊の本に秘められた母の恋
最果ての地 ブルターニュに散った、つかのまの恋の花火

灯台守の恋  L’EQUIPIER
大海原を守りつづける灯台守、そして夫婦の絆

舞台は1960年代、戦後の復興を果たしたフランス。当時の灯台は、現在のようにオートマ化されておらず、住み込みの灯台守が毎日決まった時間に明かりを灯し、夜の航海の安全を守らねばならなかった。大海原にそびえたつ灯台には日々波や風が打ちつけ、すさまじい天候の中、灯台守はふたりきりで二ヶ月間働き続ける。本作は過酷な生活を強いられる彼らの仕事を陰ながら支える妻と灯台守のつつましくもささやかな幸せと、ある秘めた出来事を描きながら、長きに渡り海の安全を見守り続けてきたすべての灯台守とその家族に捧げられている。

1冊の本に秘められた母の恋

カミ-ユは生まれ故郷ウエサン島へ、自分の家族の家を売却するために戻ってきた。そこで、1冊の本に出会うことで父と母の秘密を発見する。本のタイトルは「私の世界の果て」著者はアントワーヌ・カッサンディ——

1963年、“世界の果て”と呼ばれるブルターニュ海岸の辺境。ある男が島にやってきて、カミーユの父イヴォンが率いる灯台守たちの一団に加わる。男の名はアントワーヌ、アルジェリア戦争帰還兵で、左手を負傷していた。村人は遠い昔イギリスから渡ってきたケルト人の子孫として結束が固く、彼は敵意を持たれる。そんなとき、イヴォンはアントワーヌと一緒に働き始める。大きな波が灯台に当たっては砕け、天候はあまりにもすさまじく、いっときも心休まるときがない過酷な状況のなか、塔の中でずっと明かりを灯し続ける二人の灯台守。イヴォンは、彼の人柄を知り、友人として彼を村に迎えようとするが、その後、アントワーヌは一人の女性と恋におちてしまう。それは、イヴォンの妻マベだった・・・。
寡黙で灯台のようにマベを見守るイヴォン、島の外からやってきたアントワーヌ、そして二人の男性のあいだで心揺らすマベ、三人のたどりつく先は・・・。

ケルト文化漂うブルターニュの神秘的な風景

ロケ地は、ブルターニュ海岸の突端の小さな島ウエサン。灯台のシーンはすべてジュマン灯台で撮影。嵐の中でかなり危険な状況での撮影を敢行し、灯台守の過酷さをリアルに描くこととなった。広大な荒野、巨大な花崗岩の遺跡、重厚な教会など、ケルト文化を色濃く残すブルターニュの神秘的で物静かな風景は、大人のひっそりとしたロマンスの最高の舞台となっている。
監督は、『パリ空港の人々』で監督・脚本家デビューしたフィリップ・リオレ。人々の哀歓を情感をたたえて描き、一躍その名を知られるようになった。製作は、アカデミー賞最優秀外国語映画賞にノミネートされたトラン・アン・ユンの『青いパパイヤの香り』でプロデューサーデビューを果たし、その後『憎しみ』『アサシンズ』など マチュー・カソヴィッツ作品を手がけた、いま注目のクリストフ・ロシニョン。音楽は、アカデミー賞作曲賞を受賞した『ライフ・イズ・ビューティフル』の名匠ニコラ・ピオヴァーニ。撮影は、『さよならモンペール』『ジャック・ドゥミの少年期』のベテラン、パトリック・ブロシェ。

フランス映画界を代表する3大セザール賞俳優が魅せる大人の純愛

リオレ監督の卓抜した脚本と演出、充実したスタッフのもと、出演者は素晴らしい輝きを放つ。灯台守の妻マベを演じるのはアニエス・ヴァルダの『冬の旅』でセザール賞主演女優賞獲得し、パトリス・ルコントの『仕立て屋の恋』やジャック・リヴェットの『ジャンヌ』 などで、フランス映画界を代表する実力派女優サンドリーヌ・ボネール。堅実な主婦が、恋する女性に変貌していくおとなの女性の心情を、抑えられた感情、奥行きのある演技で、みごとに表現している。

無骨だが妻への深い愛を心に秘めた灯台守イヴォンに扮するのは、コメディ・フランセーズの名優フィリップ・トレトン。ベルトラン・タヴェルニエの『コナン大尉』でセザール賞主演男優賞を受賞。「彼の体型、全体の物腰、そして鋭い知性は彼をデ・ニーロやアル・パチーノのようなスターと比肩しうるまでにした」とリオレ監督は絶賛する。

カリスマ的な魅力で村人を戸惑わせるアントワーヌ役には、ジャン・ポール・ラプノーの『ボン・ボヤージュ』でセザール賞最有望新人男優賞を受賞したグレゴリ・デランジェールが大抜擢された。フランスの“微笑みの貴公子”と称され、その二枚目ぶりが忘れえぬ印象を残す。

アントワーヌに恋する奔放な村娘ブリジット役に、カンヌ映画祭パルムドール作『ロゼッタ』で鮮烈なデビューを飾り、その息を飲むような演技で、カンヌ映画祭主演女優賞を受賞し、世界中からオファーが殺到している若手演技派女優エミリー・デュケンヌ。

フランスを代表する演技派俳優が魅せる、<ため息が出るほど、甘くほろ苦い、つかの間の恋の物語>に、存分に酔いしれてください。

ストーリー


カミーユは生まれ故郷のブルターニュ地方ウエサン島に戻ってくる。もう今は亡くなってしまっている両親の家を売却するためだ。カミーユと伯母のジャンヌの二人はその家で最後の夜を過ごすことになる。カミーユは、一冊の本を受け取る。その本はアントワーヌ・カッサンディ著“私の世界の果て”。表紙のイラストが、父親が灯台守をしていたジュマン灯台に似ているのと、伯母の態度が気になった彼女は、その本を読みはじめる。そして、父と母の秘密を知ることになる−。

ウエサンは絵のように美しい小さな島だ。しかしいつも風が吹きつけ、時の流れに取り残されている。その島の住民たちは時には自然と闘いながら共存している。ケルト文化という自分たちのルーツに誇りを持ち、毅然とした強い意志を持った男と女たちが結束の固いコミュニティーを作り上げている。外の世界からは隔絶され、本土と断絶し、海から過酷な影響を受けるウエサンの景観は魔法のように美しい。海岸から少しいった先に、ぽつねんと侘しくジュマン灯台が建っている。

1963年、“世界の果て”と呼ばれるブルターニュ海岸の辺境ウエサン。ある男が島にやってきて、カミーユの父イヴォン(フィリップ・トレトン)が率いる灯台守たちの一団に加わる。男の名はアントワーヌ(グレゴリ・デランジェール)、アルジェリア戦争帰還兵で、左手を負傷していた。村人は昔イギリスから渡ってきたケルト人の子孫として結束が固い。彼は村人の強烈な敵意に対峙するが、その敵対心を理解し、彼らの拒絶を受け入れ、尊重すらしてゆっくりと耐えていた。静かな微笑をたたえて。
そんなとき、イヴォンはアントワーヌと一緒に働き始める。大きな波が灯台に当たっては砕け、天候はあまりにもすさまじく、いっときも心休まるときがない過酷な状況のなか、塔の中でずっと明かりを灯し続ける二人の灯台守。イヴォンは、アントワーヌの人柄を知り、友人として彼を村に迎え入れるが、その後一人の女性がアントワーヌと恋におちてしまう。だが、それはイヴォンの妻マベ(サンドリーヌ・ボネール)だった・・・・・

マベは、本好きな母の影響もあり、ブルターニュの外の街へ出てみたかった。しかし、代々ジュマン灯台を守る厳格な父のために、灯台守のイヴォンと結婚し、二人でジュマン灯台を守っていく決意をした。イヴォンはマベのために過酷な灯台守の任務についた男だった。無骨で寡黙だが、誰よりも深くマベを愛していた。しかしふたりには、灯台守を継ぐべき子供ができないという悩みがあった。
マベの貧しくも幸福な日々に、心を惑わす男が現れた。アントワーヌだった。元時計職人の彼は、繊細な手つきでマベのアコーディオンや自転車を修理し、やさしい微笑の裏側で時折翳りを見せた。抑えられた情熱とイヴォンの存在が、ふたりを思いとどまらせていた。

そんなとき、村の祭りが開かれた。20歳のブリジット(エミリー・デュケンヌ)は、小さな島での暮しに死ぬほど退屈し、婚約者がいるにもかかわらず、アントワーヌに誘いをかける。婚約者は激怒し、アントワーヌを激しく殴打する。心配するマベ。ふたりは、祭りの喧騒と喧嘩の後の熱に浮かされてか、堰を切ったように木陰で激しく抱き合う。そのとき花火が夜空に舞った。ジュマン灯台からイヴォンが打ち上げたのだ。村人の歓声をよそに、二人は別々の道を闇に消えた。

アントワーヌは島を去らなければならないことに気づいていた。イヴォンとの友情はけっして壊したくない。イヴォンの誕生パーティに招かれ、アントワーヌはアルジェリアで従軍していたとき以来、胸のなかに仕舞い込んでいた重大な秘密を明らかにする。アントワーヌは村人から尊敬と好意を獲得していたが、イヴォンとマベ夫婦のために、自分のことを疎んじてもらうことを選んだのだった。

カミーユは、本を読み終えた。もしかしたら、私は・・・・。ジャンヌは静かに答えた「お父さんはあなたを愛した。溺愛したわ・・・」。それを聞き、カミーユは涙がとまらなかった。家の売却を辞め、ジュマン灯台行きの船に乗った。観光地となっていて当時の面影はなかったが、一枚の写真が飾られていた。そこにはイヴォンとアントワーヌ二人の勇姿がモノクロームの写真に映し出され、「ジュマン1963」と記されていた。

スタッフ

監督:フィリップ・リオレ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ

キャスト

マベ:サンドリーヌ・ボネール
イヴォン:フィリップ・トレトン
アントワーヌ:グレゴリ・デランジェール

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