原題:the cave of the yellow dog/Höhle des gelben Hundes, Die

2005年/ドイツ/35mm/カラー/ヴィスタサイズ/SRD/93分/字幕翻訳:税田春介 配給:東芝エンタテインメント

2006年06月23日よりDVDリリース 2005年12月23日、日比谷シャンテ シネほか全国順次公開

公開初日 2005/12/23

配給会社名 0008

解説


遊牧民の少女たちが子犬と出会ったことから始まる愛すべき物語。
『らくだの涙』の新鋭ドキュメンタリー監督ビャンバスレン・ダバーが再び故郷モンゴルを舞台に描く、
美しい自然と遊牧民の家族の素朴でたくましい生活—。

 本作『天空の草原のナンサ』は、ビャンバスレン・ダバー監督が祖母から聞いた昔話とモンゴルで語り継がれる「黄色い犬の伝説」を下敷きにした物語。6歳になるかわいい娘ナンサは、お手伝いの途中で寄り道し、ほら穴で一匹の子犬ツォールを見つけます。父親に反対されても、隠れてツォーホルを飼うナンサ。遊牧に出かけたある日、ナンサとツォールは一人のおばあさんと出会います。そこでおばあさんは「黄色い犬の伝説」をナンサに語り聞かせ、その話にナンサは引き込まれていきます。
 モンゴルには古くから伝えられる伝説がいくつも残っており、多くの人々は今もそれを信じています。モンゴルに広く伝わる仏教をベースにした古くからの信仰には「輪廻転生」の教えがあり、魂は永遠に回帰し、なかでも犬は来世で人間に生まれ変わりやすいと言われています。そのため、人間と犬はより身近な関係にあると考えられています。子ども達はそういった伝説を聞くなかで、自然との敬意に満ちた関わりを学んでいくのです。とはいえ、近年では近代文明が次第に浸透し、町へ移住する人が増え、遊牧生活を送る人々は年々減少しています。本作は、遊牧民達の暮らすゲル(移動式住居)の解体シーンを収めるなど、彼らの伝統的な生活様式を記録した貴重なフィルムでもあります。そしてその生活は、私達の知らないたくさんのふしぎなと驚きにあふれ、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれるのです。

 また、本作のさらなる魅力は、小さい3人の子ども達。モンゴル独特のカラフルな衣服をまとう彼女達の素朴でかわいらしい姿は、見ているだけでほほえみがこぼれてしまうほど。さらに、注目すべきは、名犬ツォーホルの活躍。黒いブチが印象的なツォーホルは、本年度カンヌ映画祭でパルムドッグ賞を受賞!世界が認めた演技派犬なのです。
 ドキュメンタリー作品を多く手がけてきたビャンバスレン・ダバーが、モンゴルの美しい風景と遊牧民一家の生活を女性ならではの優しい視線で描いた『天空の草原のナンサ』。ビャンバスレン・ダバーは、変化の過程にある社会を描きながら、モンゴルの大自然とスピリチュアルな伝統文化への刺激的な旅へ私達を連れて行ってくれるのです。

ストーリー



 果てしなく広がるモンゴルの草原に、遊牧民の家族が暮らしている。羊の遊牧をするたくましい父親と優しい母親、6歳になる愛らしい娘のナンサ、その妹と小さな弟の仲良しきょうだい。
 ある日、母親に頼まれ、一人で手伝いに出かけたナンサは、寄り道したほら穴で、賢くてかわいい子犬と出会う。ナンサはその犬を“ツォーホル”と名付け、家に連れて帰るが、父親はオオカミの仲間かもしれないと言って、飼うことを許してくれない。「思い通りにならないこともあるのよ」と、母親に優しく諭されるナンサ。だが、父親が町に羊の皮を売りに出かけて留守にするのをいいことに、ナンサはこっそりツォーホルを買い始める。
 ところが、遊牧に出かけた草原で、ナンサはツォーホルとはぐれてしまう。ツォーホルを探して馬を走らせるナンサ。ようやくツォーホルが見つからなかった頃には、あたりはもう薄暗くなっていた。不安でいっぱいのナンサは、降り出した雨の中、遠くから聞こえる歌声に導かれ、遊牧民のおばあさんに助けられる。おばあさんは家にナンサとツォーホルを招き入れ、「“黄色い犬”にならなくてよかったね」と言い、「黄色い犬の伝説」を話してくれた。
 父親が町から戻り、草原を移動する時がきた。ゲルを解体し、準備を始める家族達。父親はツォーホルを置いていくと言う。ツォーホルのことが気になり、お守りを頼まれてたのに、弟から目を離してしまうナンサ。次の遊牧地へ羊達と共に移動する途中、気づくと小さな弟はどこかへいなくなってしまっていた。あわてる母親、馬に飛び乗り探しに行く父親。心配そうに見つめるナンサと妹。
 その頃、小さな弟は、よちよち歩きでもとの草原にいた。羊の死骸をついばむ大群に近づいていく小さな弟。ロープでつながれたままのツォーホルは、それを見て力いっぱい何度も何度も大きく吠える。はたして、ツォーホルは小さい弟を救うことができるのだろうか———。

スタッフ

監督・脚本:ビャンバスレン・ダバー
プロデューサー:シュテファン・シュシュ
エグゼグティブ・プロデューサー:マーレン・リューチェ、フローリアン・シュナイダー
モンゴル製作主任:バットバヤル・ダバグドルジ
撮影:ダニエル・シェーンアウアー
録音:アンスガー・フレーリヒ、フランク・レゲンテ
編集:ザラ・クララ・ヴェーバー
音楽:ベーテ・グループ
作曲:グンプレブ・ダグバン、ムンフエルデネ・チュルーンバット

キャスト

長女ナンサ:ナンサル・バットチュルーン
父:ウルジンドルジ・バットチュルーン
母:バヤンドラム・ダラムダッディ・バットチュルーン
老女:ツェレンプンツァグ・イシ
次女:ナンサルマー・バットチュルーン
長男:バトバヤー・バットチュルーン

犬:ツォーホル

LINK

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