転がれ!たま子
第30回湯布院映画祭正式上映作品::http://www.d-b.ne.jp/yufuin-c/
2005年/日本/カラー/103分/ 配給:シネカノン
2006年10月27日よりDVDリリース 2006年2月4日、渋谷シネ・アミューズほかにて公開!
(C)2005『転がれ!たま子』製作委員会
公開初日 2006/02/04
配給会社名 0034
解説
人呼んで“鉄かぶとのたま子”。甘食さえあればシアワセ。
そんなたま子が、外の世界へ出て行く時がやってきた。
24歳のたま子にとって、世界は複雑で油断ならないところです。どこへ行くにも父の手製の鉄かぶとが欠かせません。日進月歩堂の甘食をかじっている時が、いちばんシアワセ。そんなたま子の平和で甘い毎日は、ある日突然ガラガラと崩れ始めます。日進月歩堂は休業、働き者の母親は自分の幼なじみと電撃結婚し、高校生の弟や、家を出ていったものの近所に住んでいる父もそれぞれ自分の夢に向かってまっしぐら。ひとり取り残されたたま子は、甘食を求めておそるおそる外の世界へ足を踏み出して……?!。
『転がれ!たま子』は、昔ながらの風情が残る下町を舞台に、堅い殻に閉じこもって生きてきた女の子のユーモラスな冒険を描く人情劇。ほんのちょっと勇気を出せば、人生はもっと自由で味わい深いものになる。そんな当たり前のようでいて意外と忘れられがちなことを、愛すべき風変わりな登場人物たちを通して描く珠玉のハートウォーミングコメディが誕生しました。
見たことがないのに、なぜか懐かしい。
新藤風×山田麻衣子、20代女性のキュートなコラボレーションが生み出した、奇想天外なたま子ワールド。
ヒロインのたま子を演じるのは、本作が映画初主演となる山田麻衣子。アンニュイな美少女モデルとして一世を風靡した後、その繊細な演技で実力派女優への道を着実に歩んでいる彼女が、キュートな鉄かぶとをかぶった不思議ちゃん役に挑戦! その大きな瞳に様々な感情を宿らせて、一見つかみどころがない主人公をチャーミングに魅せます。そして、そんなたま子をあたたかく見守る家族には、バイタリティあふれる母親=岸本加世子、夢見心地な父親=竹中直人、世渡り上手の弟=期待の新人・松澤傑という最強かつ絶妙なキャスティングが実現しました。そのほか、ミッキーカーチス、草村礼子、松重豊、広田レオナ、永澤俊矢といった百戦錬磨の面々や、平岩紙や与座嘉秋(ホーム・チーム)ら多方面で活躍する若手が、一癖も二癖もあるたま子ワールドの住民を演じ、情緒あふれる映画の世界観を支えています。
監督は、2000年に『LOVE/JUICE』で鮮烈なデビューを飾った28歳の新藤風。刹那的に生きる女の子2人の同居生活を等身大の目線から描いて、ベルリン国際映画祭の新人賞に輝いた前作から一転、待望の長編二作目となる本作では、観る人をほんのり甘い気持ちにさせるノスタルジックで寓話的なお話を作り上げました。ちょっぴり奇抜な重ね着ファッションや、水玉模様やハートが飛び交うインテリア、「勝手にしやがれ」から情熱のサンバまで色とりどりの音楽といった目にも耳にも楽しいスパイスをきかせながら、時に繊細に、時にあっけらかんと物語を転がしていきます。たま子ワールドを形作るすべての要素に注ぎ込まれたおしみない愛情は、あの懐かしい甘食の味のように、観る人すべての心の中にじわじわと広がっていくことでしょう。
ストーリー
運河に囲まれたとある町。桜井たま子(山田麻衣子)は、美容室〈たつまき〉を経営する母・タツコ(岸本加世子)と、高校三年生の弟・大輔(松澤傑)と暮らしている。幼い頃、かくれんぼの最中に父が家を出て行って以
来、すっかり用心深くなったたま子は、24歳になった今も、どこへ行くにも鉄かぶとが欠かせない。人呼んで「鉄かぶとのたま子」。
そんなたま子をシアワセにするもの、それは〈日進月歩堂〉のジイチャン(ミッキーカーチス)が作る甘食。赤ん坊の時から食べ続けている甘食を自分の部屋のベッドに裏転んでかじっていると、すべての不安が消えていき、至福の時が訪れる。つい最近までは〈タツマキ〉のレジから甘食代を抜き取っていたたま子だが、「自分の甘食は自分で買え!」とタツコに言われ、たま子に恋心を寄せるトラキチ(与座嘉秋)が紹介した配送所でアルバイトを始めた。
今日も甘食を買ったたま子は、父の平吉(竹中直人)がやっている〈鳥越メカニック〉へ。昼は自動車修理、夜はオブジェ作りという夢見心地な人生をおくっている平吉は、タツコには煙たがれているが、たま子とは遊び仲間だ。
〈たつまき〉、〈鳥越メカニック〉、〈日進月歩堂〉が結ぶたま子トライアングル—-半径500メートル足らずのこの小きな世界から、たま子はもう長いあいだ出たことがない。
ある日、配送所から家に帰る途中で細いお道に入ったたま子は、不思議な雰囲気を持つ少年に出会う。少年はなぜか「気をつけて」と言い、次の瞬間、向こうからやって来る自車車をよけようとしたたま子は、穴に落ちる。
その頃、桜井家のリビングでは、大輔が出かけてしまって朝食を食べ損ねたタツコと、これまた朝ご飯目当てでやってきたトラキチが、無言で食卓に座っていた。
ふと見っめ合うふたり。と、その時、電流が走った!お互いへの愛を一瞬にして確信したふたりは抱き合い、キスをする—-たま子がドアを開けたのはまさにその時だった。
驚愕の展開に身動きがとれなくなったたま子を、さらなるショックが襲う。〈日進月歩堂〉が店主の急病により休業してしまったのだ。うちひしがれたたま子は〈鳥越メカニック〉へ行くが、雑誌に取材されてアーティスト魂に火がついた平吉は、たま子の話など上の空。大輔も大輔で、タツコの幼なじみのマーブル(広田レオナ)に感化されてバスガイドになる夢に没頭している。自分の部屋に戻ると、ひきこもり猫だったはずのタマまで姿を消していた。
タツコとトラキチの結婚式が行われた日の夜。〈たつまき〉で盛り上がる家族や友人をよそに、たま子は自室にこもって孤独を噛みしめていた。甘食が食べたい……。
すると、突然あの不思議な少年が現れて言った。
「食べればいいじゃないか」
スタッフ
監督:新藤 風
脚本:しんどうぎんこ
音楽:磯田健一郎
撮影:佐々木原保志
キャスト
山田麻衣子
岸本加世子
松澤 傑
竹中直人
ミッキーカーチス
広田レオナ
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