伝説のレンズ職人とガラスの精のおとぎ話

2005/日本/110分/ヨーロピアンビスタ/DTSステレオ/ 配給:プログレッシブ・ピクチャーズ

2006年09月22日よりDVDリリース 2005年12月17日、東京都写真美術館にてロードショー公開

(C)2005 ARTONE INC.

公開初日 2005/12/17

配給会社名 0508

解説



1963年に『劇団状況劇場』を旗揚げし、新宿花園神社における紅テントの公演で小劇場運動の先陣を切った、アングラ演劇のカリスマ、唐十郎。1982年には『佐川君からの手紙』で芥川賞を受賞。映画俳優としても、大島渚監督の「新宿泥棒日記」(68)、今村昌平監督の「カンゾー先生」(76)等々幅広い作品に出演し、近年はTVドラマ『北の国から 2002遺言』、『ヤンキー母校に帰る』にも出演。演劇という枠を大きく越えた活躍を続ける唐十郎。そんな彼が原作・脚本・出演の一人三役をこなした話題作が映画「ガラスの使徒」である。
現在もNHKで放送中の人気番組『プロジェクトX』の主題歌として大ヒットした中島みゆきの“地上の星”。この歌の世界観に深く共感し、世間から取り残されようとしている不器用な人間達の人生模様を大人のメルヘンとして描いた唐十郎。その脚本を幻想的なタッチで映像化したのは、デビュー作「夜を賭けて」で迫力ある群像劇を演出し、見事、日本映画監督協会新人賞を受賞した金守珍。自身、唐十郎の『状況劇場』で役者としてのキャリアを積み、現在は劇団『新宿梁山泊』の代表でもある金監督が劇場映画2作目にして恩師とのコラボレイト作品に挑んだ。唐十郎、金守珍、2人の手によって“アングラ小劇場の世界”が今、スクリーンにあざやかによみがえる。
はるか彼方の星をとらえる天体望遠鏡の為に、巨大なレンズを磨き続ける伝説のレンズ研摩職人とガラスの化身ともいえる美しい少女のはかなくも切ない交流を繊細な映像でつむいだ本作は、演劇界のベテランから新鋭までズラリそろえたキャスティングも大きな魅力。レンズ職人唐十郎の守護天使ともいえるヒロイン、葉子に舞台版『世界の中心で愛をさけぶ』の亜紀役で絶賛された佐藤めぐみ、ヒロインの幼馴染み洋次郎には劇団
唐組の稲荷卓央。さらに山田純大、余貴美子、六平直政、石橋蓮司、原田芳雄といったひと筋なわではいかない個性派が脇をガッチリ固めている。又、物語の発火点ともいえる“地上の星”を作した中島みゆきが出演しているのも見逃せない。カメラのレンズがとらえた1枚のレンズの物語。反射した光は、あなたの心にやさしい温もりを届けてくれます。

ストーリー


大都会の片隅、時代の流れに取り残された様な小さな町工場があった。従業員もごくわずかの零細企業。そこで直径60cmの巨大なレンズを一心不乱に磨いている男がいた。男の名は池谷佐七。ガンコな職人肌だが、レンズ研磨にかけては右にでる者のいない伝説の男である。
彼は今、日本有数の天文学教授千晶からの依頼で天体観測用の望遠鏡レンズの最終仕上げにかかっていた。折からの不況で会社は倒産の危機。連日の様に、コワモテの整理屋、平手が子分の解体屋虎毛屋を引き連れ「早く立ち退け!」とおどしをかけていた。
レンズが完成すれば、工場は人手に渡らずにすむのだが、完壁主義者の池谷が納得できるレンズはまだ出来ていない。工場の専務、芹川は徐々に追い詰められていた。そんなある夜、不思議な事が起った。まるで天から降りてきたかの様に一人の美しい少女が池谷の前に現れた。少女の名前は葉子。汚れを知らない純粋無くな瞳を持った彼女は百合沢ガラス店の娘だった。かつて専務の芹川は、百合沢ガラス店で修業を積み、葉子とは幼馴染み。芹川の苦境を知った葉子は、整理屋達の手から工場を守る事を決意。
レンズが完成するには、ある特別な研磨剤が必要だった。“化粧砂”と呼ばれるそれは、今はダムの湖底に水没してしまった古い小学校にあるという。葉子は一念発起して、無謀にも“化粧砂”を取りに行く。しかしその頃、工場は整理屋の手に落ち、壊されようとしていた。何もかも失うかにみえた洋次郎と池谷だったが、その時葉子の守っていたレンズにある変化が起こった…。

スタッフ

監督:金守珍
作:唐十郎
撮影:猪本雅三 (J.S.C)
照明:松隈信一
録音:弦巻裕
美術:大塚聡
音楽:大貫誉/和田啓
ビジュアルエフェクト:泉谷修
編集:小島俊彦(J.S.E.)
スクリプター:石川 海
助監督:阿部満良
制作担当:大谷弘
ヘアメイク:小田多佳子
衣装:宮本まさ江
タイトルデザイン:黒田征太郎/K2
プロデューサー:村松明彦/齋藤寛朗
プロデューサー補:秋元けい子
製作:株式会社 アートン/郭充良

キャスト

佐藤めぐみ
稲荷卓央
余貴美子
山田純大
六平直政
中島みゆき
石橋蓮司

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