原題:Once Upon a Time in High School

2004年第25回 青龍賞/美術賞(キム・ギチョル) 2004年第41回 大鐘賞映画祭/男人気賞(クォン・サンウ) 2004年第40回 百想芸術大賞/脚本賞(ユ・ハ)

2004年1月16日韓国公開

2004年/韓国/カラー/116分/ 配給:東京テアトル、ギャガ・コミニュケーションズ

2005年12月07日よりスペシャルBOX<限定版>も同時DVDリリース 2005年7月16日、テアトルタイムズスクエア他全国順次ロードショー

公開初日 2005/07/16

配給会社名 0025/0049

解説


ぺ・ヨンジュンらを始めとするいわゆる「韓流四天王」の次の世代を担うスターとして、いま最も注目されている俳優、それがクォン・サンウである。ナイーブさをたたえた瞳、彫像のように整った横顔、そして、183cm、70kgの鍛え抜かれた肉体。少年の戸惑いと男の憂いを持ち合わせた彼の存在は、観る者すべてを魅了して止まない。
 「火山高」で注目され、04年にチェ・ジウと共演した大ヒットTVドラマ「天国の階段」では演技派としての地位を確立、同04年に公開された本作は、韓国で350万人を超える動員を果たし「ブラザーフッド」に次ぐ年間興行成績第2位(同年公開作品中)に輝くメガ・ヒットを記録した。
 クォン・サンウの魅力が最大限に引き出されたこの出世作で彼が演じるのは、ソウル郊外のマルチュク通りにある男子校の転校生ヒョンス。問題児ばかりが集まるクラスに入った彼は、そこで二つの大きな出会いを果たす。ひとつはクラスのカリスマ的リーダー、ウシク。そしてもう一つは近くの女子校に通うひとつ年上の少女ウンジュ。恋と友情に支えられた微妙な三人の関係は、やがて訪れる悲しい別れを予感させていた。
 そんな出会いとは別に、ケンカとナンパに明け暮れ、酒やタバコ、そして女の子と、勉強そっちのけの高校生活を楽しむ仲間たちのなかで、ヒョンスはついていけずに孤独を感じることもしばしば。だが、それは大人への通過儀礼だった。甘くて切なくて、思い出すと恥ずかしいことばかりだった毎日を、78年のノスタルジックな音楽やファッションと共に描いた青春ラブ・ストーリー、それがこの「マルチュク青春通り」である。
 監督のユ・ハは、詩人としても圧倒的な支持を得ている異色の映画人。63年生まれの彼が、自らの体験を大いに反映させた本作は、ほろ苦くコミカルな学園ドラマの中に、軍事政権下の鉄拳教育の実状が浮き彫りにされていて興味深い。
 また、最新作「マパド」が公開1週目で興行収入の第1位を獲得、今や韓国映画界が最注目するのは、ヒョンスの親友ウシクを演じるイ・ジョンジン。そのフレッシュで荒削りな個性が作品に得難い魅力を与えている。そしてアシアナ航空のキャンペーン・ガール出身、映画の中でマドンナ役を演じたハン・ガイン。その清楚な美貌には誰もが引きつけられるだろう。さらには、巨体を振るわせるコミックリリーフ、ハンバーガー役のパク・ヒョジュンの憎めない役柄も捨てがたい。このように、魅力的なキャラクターたちの生き生きとした存在感も作品の大きなポイントとなっている。
 そして、当時のヒーローであるブルース・リーへの憧れ、ディスコ世代にはたまらないヒットナンバーの数々など、ノスタルジックな魅力に溢れた仕上がりになっている。なお、作中しばしば登場する截拳道(ジークンドー)とは、ブルース・リーが創造した格闘技のことで、リー自身の哲学をもとに編み出された、実戦的な動きが特徴になっている。

ストーリー

 78年、軍事政権下の韓国。ブルース・リーに憧れて育った高校2年生のヒョンス(クォン・サンウ)は、ポソンから新興住宅地力ンナムに引っ越してくる。母親がこの地の地価高騰を予想したからだ。父親はテコンドーの師範。人格者と評判だったが、息子を拳でしつけていた。
 暴力と支配はマルチュク通リにある男子校にも蔓延していた。ヒョンスが転入したクラスは、生徒たちにエロ本を売ってセコく授業料を稼ぐハンバーガーことジェボク(バク・ヒョジュン)、キレると相手の頭をボールペンで刺す留年生のチクセ、父親が軍の指揮官であるため教師からえこひいきされるソンチュン、そしてクラスのボス的存在のウシク(イ・ジョンジン)ら、ガラの悪い連中の吹き溜まりだった。ブルース・リーのまねが得意で人気者のウシクは、卑劣な風紀委員ジョンフンとの権力争いにしのぎを削る。そして、問題を起こす生徒は、教師たちによって軍隊仕込みの体罰を容赦なく加えられていた。
 ある日、バスケットボールの試合で活躍したことをきっかけに、ヒョンスはウシクの仲間に迎えられる。クラスのボスとはいえ、人間的な魅力に溢れたウシクとヒョンスは妙にウマがあった。仲間たちとの初めてのディスコ、初めてのタバコ、初めてのナンパ。が、そこでも乱闘が勃発、「ケンカはイヤだ」と言うヒョンスにウシクは「ぶん殴れ!ケンカは先に殴ったほうの勝ちだ!」と言い放つ。
 そんなヒョンスの唯一の心の支えは、通学バスのなかで一目惚れしたオリビア・ハッセー似の美少女だった。ある日、ヒョンスとウシクは、不良にからまれていた彼女を助ける。彼女の名はウンジュ(ハン・ガイン)、近くの女子高に通う、ひとつ年上の3年生だった。ある土砂降りの日、勇気を出して予備校で彼女を待ち伏せしたヒョンスは、ふたりで喫茶店に入り、はにかみながらも好きな音楽の話で盛り上がる。「ギター弾ける?」と聞かれて「少し」と答えたヒョンスは、もちろんその日から特訓を始めていた。
 だが数日後、自慢気なウシクの言葉がヒョンスを打ちのめした。「ウンジュをついにおとしたぜ!壁を思い切り叩いて流血した手を差し出して言ったんだ、『君のためなら死ねる!』って。それで彼女もイチコロだったぜ」。「僕が苦労したことをウシクは簡単になしとげた。僕にできたことは彼女に傘を貸すことだけだった」と悔やみ切れないヒョンス。ディスコのチークタイムでそんな彼に見せつけるように、情熱的なキスを交わすウシクとウンジュ。いたたまれないヒョンスは店をさまよい出てなじみの食堂に行き、年増の女将に誘惑されるが逃げ出してしまう。
 一方、学校では悪名高い「レベル別クラス」の授業が始まり、気持ちがすさんだ生徒たちの争いがさらに激化。そんななか、ウンジュがウシクとうまくいっていないことに気づいたヒョンスは、告白のかわりに好きなラジオ番組にハガキを書く。「僕の心は今でもあの雨の夜にいます。傘を忘れるように彼女を忘れられたらいいのに」。すると彼女からもラジオを通して返事があった。「私もあの夜を思い出しています」。リクエスト曲はもちろん、あの夜の思い出の曲「フィーリング」。
 次の日曜日、ヒョンスはギターを片手に列車の旅にウンジュを誘う。美しい湖のほとりで優しくくちびるを重ねるふたり。
 ところが数日後、ウシクとライバルのジョンフンがついに屋上で決闘、罠にはまったウシクが叩きのめされ、屈辱のうちに学校を早退する騒ぎが起こった。その後ヒョンスは、ウシクがウンジュらしき女子高生と一緒に家出したと知らされる。その上、成績が下がったことを知った父親からも、大学に行けない剰余人間だとののしられ、自暴自棄になるヒョンス。だがそのとき、壁のブルース・リーのポスターが何かを囁いた。リーの著書「截拳道への道」を手に、ヒョンスは人が変わったように体を鍛え始める。
 そして、ついにその時はやってきた。ウシクがいなくなり、天下を取ったジョンフンがまた教室で仲間に暴力をふるっていたのだ。「クソったれ!俺が相手だ、屋上に来い!」ヌンチャクを背中に隠し、階段を昇るヒョンス。激しい怒りとともに今、彼の中で何かが爆発しようとしていた…。

スタッフ

監督・脚本:ユ・ハ
共同プロデューサー:ソ・ドンジュン
助監督:イム・ボラム
撮影:チェ・ヒョンギ
照明:ヤン・ウサン
美術:キム・ギチョル、キム・ヒョジュン
録音:キム・キョンテ
編集:パク・コッチ
武術:シン・ジェミョン
音楽:キム・ジュンソク
ミキシング:チョイ・テヨン
CG:ジョン・ソンホ
メイクアップ/ヘアー:キム・ソヨン
衣装:ヨ・ヒュンジュン

キャスト

(ヒョンス):クォン・サンウ
(ウシク):イ・ジョンジン
(ウンジュ):ハン・ガイン
(ハンバーガー・ジェボク):パク・ヒョジュン
(チクセ):キム・イングォン
(ジョンフン・風紀部長):イ・ジョンヒョク
(ソンチュン):ソ・ドンウォン
(チーター):ペク・ポンギ
(にきび):チェ・ジェファン
(ヒョンスの父):チョン・ホジン
(トッポッキ屋主人):キム・ブソン
(ウシクの母):イ・スク
(検定高試学院講師):キム・サミョン
(DJソ・グモク(声)):ソ・グモク
(数学教師/担任):アン・ネサン
(教練教師):キム・ビョンチュン
(英語教師):クォン・テウォン
(校長):チョン・ジェジン
(政治経済教師):パク・スヨン
(体育教師):ヤン・ハンソク

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