原題:桃色/Colour Blossoms

2004年/香港/カラー/1時間43分/ドルビーデジタル/シネマスコープサイズ 提供:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 配給:シナジー

2005年09月23日よりDVDリリース 2005年5月14日より新宿ピカデリー、銀座シネパトスにてロードショー

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公開初日 2005/05/14

配給会社名 0341

解説


 極彩色の退廃をたたえる街、香港。近代都市としての端正な横顔が、夜の闇に包まれて一瞬にして変貌する時、静かに官能の扉を開けてしまう人々がいる。ある者はその魅力に取り憑かれ、またある者はその妖しさに恐れおののくのだ。
 不動産店に勤める美しい女性美麗(メイライ)はある日、店に訪ねてきた謎めいた婦人梅木夫人から、売りたい部屋があるから仲介して欲しいと依頼される。行ってみるとその部屋は古くほこりだらけだったが、掃除を施すと見る間に、趣味のよい調度品と贅を尽くした細工が施された、かつての壮麗な面持ちをすぐに取り戻した。
 その部屋に魅了されたメイライは、梅木夫人に秘密で1人でその部屋に入り、みだらな妄想に身を任せるのだった。が、ある時どこからか現れた野性的なカメラマンKimに見つかってしまい、うろたえるメイライだったが、一方では一目で彼の虜になってしまう。
 さらには、そんな彼女を密かに追い続ける若い警官No.4708と、なぜか梅木夫人の面影をたたえた若く美しい女性が、次々とメイライの前に現れる。
 1つの部屋。3人の女と、2人の男。時を越え、性を越え、ひたすらに愛し合い、それゆえに憎み合う5つの魂。まばゆいばかりの夜の光は、彼らの魂に罪深い炎を灯しつづける。彼らの愛の行方は? そして孤独な魂は? ボンデージ、マスターベーション、レスビアニズム、窃視・・・ 激しい愛欲の果てに、思いもかけない真実がさらなる愛の世界へと我々を誘う。
 メイライは台湾出身のテレサ・チャン。元「阿B」の妻として広くはスキャンダル・クイーンとして知られているが、ファッション・リーダーにしてクリエーターとマルチなメディア活動しており、今回で本格的な映画出演を果たした。
 梅木夫人に扮するのは日本を代表する女優、松坂慶子。彼女にとって初めてのアジア映画出演となった本作だが、台本を読んで自ら志願したというだけにその傾倒ぶりは凄まじかったという。それだけに、エロティックでありながら物悲しさを感じさせ、ストーリーの根幹をなす難役を見事に演じきった。
 そして注目すべきは謎の女を演じるHarisu。昨今の韓流ブームとは一線を画す韓国出身の彼女、実は韓国で初めてトランスジェンダーを宣言した、いわゆるニューハーフなのである。これまでは知る人ぞ知る存在だったが、その容貌から繰り出される辛口コメントも小気味よい姉御的なキャラクターで、今後メジャーな活躍が期待される1人である。
 また、Kimを演じるのは東京出身の人気モデルShoと、俳優リチャード・ンの息子で、警官No.4708を演じたカール・ンという正反対のタイプでありながらも魅力的な2人の男性が醸し出す淫靡さにも注目だ。
 監督は「美少年の恋」、宮沢りえがモスクワ映画祭主演女優賞に輝いた「華の愛遊園驚夢」を手がけたヨン・ファン。またプロデュースにフルーツ・チャンがクレジットされている。さらに耽美な映像と優美でエスニックな音楽にも注目だ。
 まさに香港、韓国、台湾のコラボレーションによる、官能と興奮のアジアン・エンターテインメント、と呼べる作品である。

ストーリー


あなたが探している愛は、永遠に見つからない……

 香港で不動産仲介の仕事をしているメイライ(テレサ・チョン)は、若い恋人と部屋を捜している日本人女性、梅木夫人(松坂慶子)と出会う。彼女は、まるで50年代の映画スター、そうジョーン・クロフォードやソフィア・ローレンのように、ゴージャスでその場を圧倒する魅力に満ちていた。
 梅木夫人は自分が長年所有したまま、埃に埋もれた状態になっている、プリンステラスの高級アパートを誰かに貸して欲しいとメイライに依頼する。梅木夫人のたった1つの条件は、ロマンティックで謎めいていた。“あの部屋にピッタリあった人に。だって、一生のうちで一番楽しい時をあそこで過ごしたから……。”
 さっそくプリンステラスに出かけたメイライは、アパートの近くで見かけた、端正な顔立ちの警官(カール・ン)に胸がざわめき、制服につけられたナンバー、4708を心に刻む。4708もまた、メイライの艶やかな美しさに思わず足を止めていた。
 梅木夫人のアパートは、今までメイライが目にしたことのない、贅沢な調度品であふれていた。メイライが連れて来た客も、そのインテリアの素晴らしさに、「フェリーニの映画のようだ」と褒め称えたが、メイライは急にこの部屋を自分のものにしたいという強い欲望に支配される。
 翌日、引き寄せられるように、一人でアパートを訪れると、見知らぬ若いカメラマン、キム(ショー)が勝手に部屋でくつろいでいた。驚くメイライだが、無遠慮な態度と、その中にある荒削りな魅力に心を惑わされる。
 その日から、アパートの外には4708が、部屋の中ではキムが、ただメイライの肌に触れることだけに魂を焦がしていた。体の奥で目覚めるのを待っていた未知の官能に突き動かされ、二人の男の間で揺れ動くメイライ。やがて彼女は、不可思議な“真実”を知る。キムは30年前の梅木夫人=梅木里子(ハリス)が、この部屋で一緒に暮らした恋人だったのだ……。しかし、キムとの関係に理性を縛られたメイライは、冷静に事態を把握することが出来なくなっていた。
 梅木夫人が艶然と見守る中、プリンステラスのアパートに、もう一人の客人が現れる。それは、白い肌に黒い髪、眩しいくらいに美しい梅木里子だった……。この部屋の中だけで、時間と空間が奇妙にねじれ始めているのを、メイライはまだ気付いていなかった。
 そして、もっと不可思議で、ずっと切ない“真実”が、魅惑的な夜の最高の“演しもの”の如く、今まさに明かされようとしていた……。

スタッフ

監督・脚本・プロデューサー:ヨン・ファン
プロデューサー:フルーツ・チャン
撮影:ウォン・ユー
音楽:サレンダー・ソディ
美術監督:マン・リムチャン

キャスト

テレサ・チャン
松坂慶子
ハリス
カール・ン
Sho

LINK

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□IMDb
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http://www.colourblossoms.com/
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