原題:Little Birds

戦争って、知ってますか?

2005年/日本/アラビア語(日本語字幕)/35mm/102分/ 配給:Project Little Birds/配給協力:バイオタイド

2005年4月23日よりK's Cinemaほか全国ロードショー

公開初日 2005/04/23

配給会社名 0603

解説




 2001年9月11日、ニューヨークのワールドトレードセンターに二機目の旅客機が激突する瞬間が、世界中に中継されました。 あたかも「ハリウッド映画」を見ているような錯覚にとらわれた人も少なくないと思います。高精度とされるミサイルに取り付けられたカメラからも、標的をとらえる瞬間が映し出され、その色のない映像は“テレビゲーム”の画面のようでもありました。

 映像メディアが高度化し、日常的なものになればなるほど、展開される映像は、フィクショナルなものになってゆきます。そして、その映像に文字解説や、ナレーションがつけられ、見やすく、判りやすく、コンパクトになればなるほど、その出来事のリアリティーが消されてゆきます。こういう状況の中で、「戦争を知る」とはどういうことなのでしょうか?
 
  国際情勢を知ることも当然重要だと思います。しかし、それだけでは足りないのではないでしょうか。それは、戦火の中で傷ついているのは生身の人間だからです。戦火の中で、人々がどのように暮らし、どう傷つき、どのように泣き、怒り、その中からどう自らを取り戻そうとしているのか・・・。その現実を知り、その痛みを想像する、人としての「イマジネーション」、他人のことを静かに想像する力が、戦争を本当に知るためには必要なのではないでしょうか?そして、そのためには、人々の声を聞き、痛みを共感し、想いを預かり、そして伝えることが大切ではないかと思っています。
 
  20世紀は戦争の世紀と言われ、多くの兵士が死傷し、多くの一般人、子供たちが命を失いました。そして、21世紀も戦争の世紀になってしまう危機が私たちを取り巻いています。戦争が終わるたびに、二度と戦争を起こしてはならないと決意するにもかかわらず、どうして、人はまた戦争を起こしてしまうのでしょうか?戦争の中で、突然失われてしまう命は、何の代償なのでしょうか?戦火の中で人々に何が起こっているか、「しっかりとじっくりと見つめ」そして「考える」ことを全ての出発点にしたいと思っています。
 
  ここにひとつのドキュメンタリー映画があります。「ニュース」を舞台に海外からリポートを送ってきたビデオジャーナリスト・綿井健陽が、イラクで撮りためた123時間の映像を102分の作品としてまとめたものです。この映画「Little Birds −イラク 戦火の家族たち−」を見ることから、うつろになった平和に身をひそめてしまわずに、戦争の現実をしっかりと受け止めてほしいと思っています。
 ひとりでも多くの人々がこの映画に出会うことが出来るようにあなたの力を貸してください。

ストーリー



 戦火のイラク市民に何が起こったのか。そして、今も続く戦火の中で、イラクの人々はどう生きているのか。取材は2003年3月に始まりました。空爆前の豊かなバグダッドの日常、子供たちは、朗らかな笑顔をたたえていました。
 
  激しい空爆が始まり、惨禍が人々を襲います。老人や女性、そして子供たち・・・次々と弱いものが大きな犠牲となっていきました。バグダッドへの米軍入城の瞬間をとらえた綿井健陽は、米軍の戦車の前に立ちはだかる一人の女性の叫びにキャメラを向けました。「How many children have you killed? Go to the hospital and see the people dying!」(お前たち何人の子供を殺したんだ? 病院に行って、死んでいく人たちを見てこい) その言葉に突き動かされた綿井は、翌日バグダッド市内のサウラ病院で凄惨な状況を目撃します。瀕死の娘を抱えたアリ・サクバン(当時31歳)は、イラン・イラク戦争で二人の兄を失い、自らはイラク軍兵士として徴兵され、クェート侵攻に参加し、そして今回のイラク侵攻で3人の子供を空爆で失ったのです。
 
  それから一年、「戦争で人を殺すために、人間は生まれてきたわけではない・・・」と、サクバンは戦乱のイラクの現状とこれまでを語ります。米軍の非人道兵器「クラスター爆弾」で右目を負傷した12歳の少女・ハディールや右手を失った15歳の少年・アフマド。戦火に傷ついた様々な家族を描きながら、戦争の「意味」を、日本と世界に問いかけます。

スタッフ

撮影・監督:綿井健陽
製作・編集:安岡卓治
翻訳:ユセフ・アブ・タリフ、重信メイ、勝元サラー
編集助手:辻井潔 
製作:安岡フィルムズ
配給:Project Little Birds
配給宣伝協力:バイオタイド

キャスト

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す