原題:le convoyeur

2004年/フランス/95分/カラー/シネマスコープ/ 配給:バップ、ロングライド

2005年10月21日よりDVDリリース 2005年10月21日よりビデオリリース 2005年5月14日、シブヤ・シネマ・ソサエティにてロードショー

公開初日 2005/05/14

配給会社名 0076/0389

解説



『ブルー・レクイエム』は、ある日突然、すべてを失った男の切なくも壮絶な復讐の物語。主人公は、現金輸送車の襲撃事件に巻き込まれたが故に、最愛の息子を殺されてしまった男、アレックス。頭に銃弾を撃ち込まれながらも奇跡的に一命を取りとめた彼は、犯人への手がかりをつかむため、頻繁に襲撃事件に見舞われている現金輸送会社ヴィジラントに警備員として入り込む……。

ファーストシーンから張り巡らされるサスペンスの伏線。観るもののスリルと緊張感を増幅させる怪しく不気味なデジタルサウンド。それらの要素は、否応無しにこれから起こるであろう壮絶なドラマを予感させる。息子の命を奪った犯人とアレックスとが対峙する終盤、驚愕のクライマックスが我々を待ち受けている。

2004年4月にフランスで公開された本作は、瞬く間に50万人の動員を記録。日本を含む20カ国以上での公開が決定している。さらにはハリウッド大手パラマウントがそのリメイク権を取得し、リメイク版の脚本家には、『セブン』(95)スリーピー・ホロウ』(99)などを手がけたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーの名が挙っている。

殺された息子の復讐に燃える主人公アレックスを演じるのは、2002年のカンヌ国際映画祭を震撼させたギャスパー・ノエ監督の超問題作『アレックス』(02)での、異様な存在感が記憶に新しいアルベール・デュポンテル。本作では、すべてを失った男の絶望と喪失感、そして、息子の命を奪った犯人への復讐心を隠し持った男という難役を絶対的な存在感で体現し、またもや観るものを圧倒している。アレックスの同僚役には『トランスポーター』(02)のフランソワ・ベルレアン、フランス期待の新人ジャン・デュジャルダン、そしてクロード・ペロンなどの曲者が脇を固めている。

監督は、マチュー・カソヴィッツ監督作『アサシンズ』(97)の脚本で注目された、ニコラ・ブークリーフ。本作が長編映画3作目となるこの新鋭は、ジャック・ベッケル、ジャン=ピエール・メルヴィルなどを彷彿とさせるフレンチ・フィルムノワールの香りを漂わせながら、全編ブルーにコントロールされた映像にデジタルサウンドを効果的に挿入するというスタイリッシュで大胆な感性と、復讐というありがちなプロットを、現金輸送会社という異質な空間を舞台に描くという斬新なアイデアで、本作を独特の緊張感に包まれたキレのあるエンターテインメントに仕上げている。プロデューサーは『ジェヴォーダンの獣』(01)『アレックス』(02)などで知られるヒットメーカー、リシャール・グランピエール。撮影には、セドリック・クラピッシュやギャスパー・ノエ等の作品でお馴染みのドミニク・コリンがあたっている。

ストーリー



枯れ葉の抜け落ちた木々が連なる荒涼とした一本道をのろのろと走る現金輸送車。その背後からは、けたたましくクラクションを鳴らしながら迫ってくる一台のBMW。
次の瞬間、爆発音とともに炎上する現金輸送車。

ひとりの男が現金輸送会社ヴィジラントに新たな警備員としてやってきた。男の名はアレックス・ドゥマール。失業中で、妻子はなく、これまで目立った犯罪歴もない。
ヴィジラントは、大企業が手を付けたがらない危険な地区の小口現金をメインに扱っている現金輸送会社。しかし、フランス国内に200以上もの現金輸送会社があるにも関わらず、ヴィジラントだけが、武装グループによる襲撃を頻繁に受けていた。これまでに、通行人2名が巻き添えとなり、警備員9名が殺害されている。いうまでもなく経営状況は悪化し、近々、アメリカの大手企業に買収されることが決定してる。そんな状況下、リストラの不安を抱きながら、僅かな報酬で身を危険に曝さしている警備員たち。社内には様々な感情が鬱積した陰湿な空気が漂っていた。

ヴィジラントの警備員は、15名にも満たない少人数。軍隊あがりや元キックボクシングのチャンピオンなどの屈強な男たちに混じって、ひとりだけ女性警備員の姿もあった。
射撃訓練などの特殊な訓練を受けずに現金輸送車に乗り込むアレックスたち。しかし、小口とはいえ現金を運んでいる彼らには、常に銃で狙われる危険と恐怖がつきまとっている。

アレックスが寝泊まりしているホテルの一室。部屋の壁は“現金輸送車襲撃事件”に関する記事のスクラップ、ヴィジラントの警備員たちの似顔絵や彼らに関するメモで埋め尽くされている。
ひとり机に向かい、黙々と薬莢に細工を施しているアレックス。そこにあるのはヴィジラントで見せる顔とはまったく別の表情。
アレックスは、ヴィジラントの襲撃でも計画しているのだろうか?

社内でのクリスマスパーティーの日。鳴り響く音楽。飲んだり、踊ったりと思い思いに楽しんでいる警備員たちの中、ぽつんとひとり椅子に座っているアレックス。
フラッシュバックする息子を見た最後の記憶。
幼い息子と車で自宅へ帰る途中、のろのろと前を走っている現金輸送車にけたたましくクラクションを鳴らし急き立てるアレックス。しかし、次の瞬間、前を走っていた現金輸送車が爆発とともに炎上。その直後、どこからともなく覆面をした武装グループが現れた。恐怖とパニックの中、必死に後部座席の息子を守ろうとするアレックスだったが、武装グループのひとりが冷たい銃口をアレックスたちに向けている。そして最後の記憶は、覆面男が自分たちに向けて放った2発の銃声。
奇跡的に一命を取り留めたアレックスには、前を走っていた現金輸送車のロゴマークと覆面越しの犯人の鋭い眼光の記憶が、鮮明に刻み込まれていた。
アレックスは、息子を殺した犯人の手がかりをつかむため、ヴィジラントへやってきた復讐に燃える男だったのだ。

復讐への焦燥感からか、自ら危険なルートを希望し武装グループとの接触を図るアレックスだったが、不意に少年グループの襲撃に遭い、激しい攻防の末、少年グループのひとりを撃ち殺してしまう。
正当防衛とはいえ、少年を殺してしまったアレックスは、罪の意識から逃げるようにヴィジラントを去る決意する。しかし、アレックスのホテルへかかってきた1本の電話が、彼を再びヴィジラントへと向かわせた。
一体何がアレックスを再びヴィジラントへと向かわせたのか?

スタッフ

監督:ニコラ・ブークリエフ
脚本:ニコラ・ブークリエフ&エリック・ベナール
プロデューサー:リシャール・グランピエール
第一助監督:ジェームス・カナル
撮影監督:ドミニク・コリン
音響:シリル・モワソン
編集:ジャクリーヌ・マリアニ  
製作:リシャール・グランピエール 
美術:ローラン・アレール 
衣装:ソフィー・グダール
メイク:ジュディズ・ガイヨ
ヘア:カロニーヌ・フィリポナ

 

キャスト

アルベール・デュポンテル 
ジャン・デュジャルダン 
フランソワ・ベルレアン 
クロード・ペロン
ジュリアン・ボワッスリエ 
フィリップ・ローデンバック
オーレ・アッティカ

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す