原題:PEEP "TV" SHOW

第33回ロッテルダム国際映画祭<タイガーアワード・コンペティション>国際批評家連盟賞受賞 第24回ハワイ国際映画祭NETPAC特別賞受賞 第28回香港国際映画祭 第5回全州国際映画祭 第11回シカゴアンダーグラウンド映画祭 第22回ミュンヘン映画祭 など正式出品作品

2003年/日本/カラー/98分/DVCAM 配給:スローラーナー

2005年12月22日よりDVDリリース 2005年3月26日、渋谷シネ・ラ・セットにてロードショー

公開初日 2005/03/26

配給会社名 0048

解説


WTCに火の玉が突っ込んで、2843の人間が地獄行き。
その光景はあまりに美しく、ボクはビール片手にテレビに釘付け。
すべてが気狂いじみている。
だからボクは、瓦礫の下の死体を覗く。

2001年9月11日のニューヨークの映像を「美しい」 と感じてしまった盗撮魔・長谷川と、空虚な自分を諦めかけていたゴスロリ少女・萌が生きて行くわたしたちの平坦な戦場とは?

真夏。長谷川は、渋谷の駅前交差点でシャツを頭から被って座り込んでいる。足元に超小型ピンホールカメラ。通行人の脚をモニターしているのだ。彼は、9.11の同時多発テロ以降、自らのリアリティの感覚が倒錯した盗撮魔だ。長谷川は、ゴスロリと呼ばれるファッションを身にまとい空虚な日常を送る萌と「PEEP “TV” SHOW」というインターネットTVを開設し、共犯者となって盗撮し、中継を始める。デパートの女子トイレを、痴話喧嘩をする同棲カップルの部屋を、実感のない世界への復讐のように…。『PEEP “TV” SHOW』はブラウン管から映し出される2001年9月11日のニューヨークの映像を「美しい」 と感じてしまった盗撮魔・長谷川と、解離してしまった自分をあきらめかけていたゴスロリ(ゴシック&ロリータ)少女・萌との間に起こった2002年8月15日から9月 11日までの出来事を描いている。二人が発信する「PEEP “TV” SHOW」というインターネットTVを通して彼らは、自分たちのように壊れてしまった人たちと出会う。ひきこもり、過労サラリーマン、風俗嬢、過食症の女。断片的なエピソードは絡み合い、わたしがちが生きている“平坦な戦場としての日常”を浮かび上がらせていく…。

世界は、いかがわしい覗き部屋だ。
失われたリアルを奪還するための困難な闘いを『PEEP “TV” SHOW』は描き出す。

2001年9月11日、束の間、張りぼて世界に裂け目が入った。「まるで映画のようだ」と告白した人々は、究極のドキュメンタリーをリアルな体験として思う存分楽しんだ。その後のアフガニスタン、イラクの戦争では、殺戮現場からの生中継にみんなが目を輝かせた。エンタテインメントと化した戦争は、「今夜、夫婦喧嘩を監視カメラで生中継!」というドキュメント・バラエティ番組と何ら変わりはない。リアルが失われ、すべてが張りぼてになった世界。さらにインターネットの網の目が、それを促進させていく。世界はまるで、いかがわしい覗き部屋である。私たちは観客であると同時に出演者でもあるだろう。その覗き部屋に新たな裂け目を入れること、その覗き部屋を飛び出して他者と出会うこと、自分自身のリアルを奪還すること。その困難な闘いを『PEEP “TV” SHOW』で土屋豊監督は描きだそうとするのだ。

ニューヨーク、ロッテルダム、ミュンヘン、香港、バルセロナなど
世界30ヶ国の国際映画祭に正式招待され、
シアトル、モントリオール、ベルギーなどでは先行劇場公開。
世界中の若者達が熱狂した『新しい神様』の土屋豊監督、最新作がいよいよ日本解禁!!

監督は、ドキュメンタリー作品『新しい神様』で世界に衝撃を与えたメディア・アクティビストである土屋豊。主人公・長谷川が盗撮に使うピンホールカメラをはじめ、超小型CCDカメラなどビデオでしか表現し得ない斬新な映像を駆使。主人公・長谷川が盗撮する映像と、それをリアルタイムで放送しているインターネット上の映像、そして、その映像を実際にパソコンで覗いている映像、あるいは、街に設置された監視カメラの映像等により重層的な映像世界が構築され、メディア社会のリアルの転倒が『PEEP “TV” SHOW』では、表現されている。『PEEP “TV” SHOW』は世界約30ヶ国の国際映画祭に招待され、世界中の若者達が熱狂しただけでなく、9.11の現場であるニューヨークで開催されたニューヨーク・ビデオフェスティバル2004でも上映され反響を呼んだ。また、すでにシアトル、モントリオール、ベルギーなどでは一般劇場公開されている。

盗撮魔、ゴスロリ、引きこもり、過労サラリーマン、風俗嬢、過食症の女…。
フィクションとドキュメンタリーの狭間に登場人物の心の痛みが浮かび上がる。

主人公、長谷川と萌を演じるのは、今回が映画初出演となる長谷川貴之とゲッチョフ・詩。二人とも『新しい神様』の観客であり、共同脚本の雨宮処凛の著作の熱心な読者であった。『PEEP “TV” SHOW』では、物語の核となるセリフ以外は、出演者自身の生の言葉が即興で撮影された。萌役のゲッチョフ・詩は、かつて境界性人格障害と診断された少女であり、ひきこもりの青年役は、実際に5年間、自室から一歩も外に出られなかった…。劇中人物と出演者は互いに重なり合い、リアルな作品世界を作り上げる。フィクションとドキュメンタリーの狭間に登場人物の心の痛みが浮かび上がる。

ストーリー

真夏。長谷川(長谷川貴之)は、東京・渋谷の駅前交差点でシャツを頭から被って座り込んでいる。足元に超小型ピンホールカメラを仕掛け、通行人の脚をモニターしているのだ。彼は、9.11の同時多発テロ以降、自らのリアリティの感覚が倒錯してしまった盗撮魔だ。

 長谷川は、2002年8月15日(敗戦記念日)に「PEEP “TV” SHOW」というインターネット・サイトを開設する。そのサイトでは、彼の盗撮した映像が公開されると同時に、9.11テロの実行犯とされるモハメド・アタのWTC突入までの行動が、長谷川によってカウントダウンされている。

 渋谷駅前交差点で盗撮を続ける長谷川を、萌(ゲッチョフ・詩)が偶然、発見する。彼女も自分自身の生きてる実感、リアリティがつかめないまま、ゴスロリ(ゴシック&ロリータ)と呼ばれるファッションを身にまとって空虚な日常を送っていた。

 萌をはじめ、インターネット・サイト「PEEP “TV” SHOW」には、メディアに覆われた情報資本主義社会の中で壊れかけている様々な観客が集まった。コンビニにしか出かけることのできないひきこもりの青年(幸山 守)、将来に希望をもてず睡眠薬で寝る為に生きている過労サラリーマン(冨)、革命家になることを夢みる貧乏なコンビニ店員(さくら)…しかし、彼や彼女らは、決して現実世界で交わることはない。

 観客が日毎に増え続ける「PEEP “TV” SHOW」は、更に過激になり生中継の動画配信が始められる。猫をビニール袋に入れて虐待したり、長谷川自身が出張風俗嬢に虐待される中継映像を見た萌は、激しく心を揺さぶられ、渋谷駅前交差点に直接、長谷川に会いに出かける。

 萌と長谷川は、互いにどこかで共感し合い、共犯者となって二人で盗撮を始める。デパートの女子トイレを、痴話喧嘩が繰り広げられる同棲カップルの部屋を、二人は実感のない世界への復讐のように、そして自らのリアリティを奪還するかのように盗撮を繰り返していき、やがて、2002年9月11日をむかえるのだが…

スタッフ

監督+脚本+編集:土屋豊

共同脚本:雨宮処凛
助監督+美術:江田剛士
撮影:二宮正樹
手伝い:はち

オープニング曲:「We Insist?」大友良英
挿入曲:「BOOZ」LOSALIOS
エンディング曲:「Restart!」THE MAD CAPSULE MARKET'S


製作:W-TV OFFICE

配給:スローラーナー

キャスト

長谷川:長谷川貴之
萌:ゲッチョフ・詩

ナゴミ:上田昭子
梨紗子:梨紗子

萌の彼氏:籾山涼
石岡(イッシー):石岡秀俊
過労サラリーマン:冨
パンチラ・マニア:白田寛一
コンビニ店員:さくら
コンビニ店員の彼女:阿部美宝子
出張ヘルス嬢(つっちい):中村弘美
出張ヘルス嬢の彼氏(たつや):中村龍也
ひきこもりの青年:幸山守
長谷川を殴る女:栗戸理花
生チャットモデル:栗鳥巣
ミニスカートのOL:永井正子
ミニスカートのOLの先輩:桂毅
落ち込んでいる受付嬢:ひなげし
ケンカする男と女:森下史之、ワダヨシコ
爪を研ぐデパート店員:斉藤瞳
過食症の女:内田三保子
携帯メールの主婦:和(笑)
携帯メールの主婦の子供:小泉来音
携帯メールオヤジ:松下昌弘
寝顔の女A:池上累々
寝顔の女B:高階祐子
寝顔の女C:福井薫
寝顔の女D:松本真希子
萌を勧誘する男:8ock
ゴスロリ・マニア:鏡谷真一
虐待される猫:ミミ

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