原題:Hooligans

2005/アメリカ、イギリス/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/35mm/109分/ 配給:ワイズポリシー

2006年12月08日よりDVDリリース 2006年10月1日より13日まで横浜・シネマ ジャック&ベティにてロードショー 2005年6月17日、シネマライズにて拡大公開

公開初日 2006/06/17

配給会社名 0043

解説


暴力が俺たちの美学!!

1979年「さらば青春の光」、
1996年「トレインスポッティング」……
そして今、ぼくたちのバイブル映画が誕生した!

主人公の青年マットを演じるのは、全世界で記録的ヒットとなった『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのフロド・バギンズ役で押しも押されぬスターとなったイライジャ・ウッドだ。前作とは一転、フーリガン・ファームのなかで暴力に目覚め、変貌していく挫折したエリートを等身大の魅力で演じている。送られてきた脚本に感動し、さらに前述した短編”Johnny Flynton”を観て即座に出演快諾のメールを送ったというイライジャは、大作出演の一方、『アイス・ストーム』、『エターナル・サンシャイン』などインディペンデント系作品出演の選択に特別なこだわりを持つことでも知られる。「これまでとは異なる境地に到達できるような役を探していたんだ」という彼は、このマット役を得て、さらなるステップアップを果たしたといえるだろう。

その傍若無人ぶりばかりが伝えられるフーリガン。暴徒化したフーリガン達が街に繰り出し、ライバルチームのサポーターたちと殴り合い、時に死者すら出す始末。でもどうして彼らは”暴力”に走るのだろう?彼らフーリガンのメンバーは富裕層のエリート達が多いことは意外と知られていない。彼らは、昼間は弁護士・教師・学生などエリート生活を送りながら、夜になるとストーンアイランド、ポール・スミス、バーバリー、アディダスなどのストリート・ファッションに身を包み、パブに集結。まるで兄弟のごとき契りを交わし、互いの士気を高め合う。そして何よりも誇り高い彼らは、数あるファームの頂点に立つためには手段を選ばない。あたかも暴力だけがアイデンティティの証明であるかのように……。それはもう後戻りのできない世界だ。そんな一触即発の青春を生きる男たちの果てしなき闘い、暴力の狭間に時おり顔をのぞかせる孤独の影……圧倒的な力強さで描かれる1時間49分には、誰もが忘れがたい衝撃とカタルシスを覚えることだろう。また、実際のプレミアリーグの映像インサートが臨場感を高めているだけでなく、彼らのライフスタイルも丹念にスケッチされ、リアルタイムなロンドンの空気が満載なのも見逃せないところだ。

驚くべきは、数々のストリート・ファイトをはじめ、暴力をかなり扇動的に描いているこの映画が女性新人監督によってもたらされた、という点である。決して否定的な意味ではない。バイオレンスをある種の美学として、スタイルとして描けるということは、映画監督としての力量を計る指針でもある。彼女の名はレクシー・アレキサンダー。すでに2002年に発表した短編”Johnny Flynton”で同年の米アカデミー賞短編実写映画賞ノミネートを遂げている期待の新星だ。母子家庭に育ち、兄の影響で5歳の時からサッカーに魅せられて、20年もマンハイムのサポーターだというレクシーは、自らが空手やキックボクシングをたしなむスポーツウーマンでもある。彼女はこの題材を選んだ動機をこう語る。
「なぜ彼らがフーリガニズムに走るのか、何が彼らを惹きつけるのか。それは私自身も抱いたことのある感覚だった。そういったものにロマンのようなものを感じたのね。この映画は同士愛と友情、それもいまや絶滅しかけている昔ながらの友情がテーマなの」

一方、そのマットを過激な世界へ導くピートを演じたのは『コールド・マウンテン』の名演が記憶に新しいチャーリー・ハナム。その容姿に相反して、これまでストーカー役(“Queer as Folk”、『ケイティ』)やアルビノ症の密告者役(『コールド・マウンテン』)など癖のある役を好んで演じて来た彼が、初めて挑む存在感あるヒーローである。マットが”陰”ならピートは”陽”といったように、強靱な肉体と精神でファームのメンバーを支配し、暴力すらも自らの美意識の内にとらえるカリスマ役だが、時折見せる憂いに満ちた苦悩の表情にはデイヴィッド・ベッカムやユアン・マクレガーのような甘いオーラも漂わせる。本作公開後の大ブレイクを予感させるに十分なニューカマーの登場である。
その他、マットの姉シャノンを演じるのは『ジョー・ブラックをよろしく』でブラット・ピットの相手役としてヒロインを演じたクレア・フォーラニ、マットに敵対心を抱くボヴァー役にはリドリー・スコット監督の大作『トリスタンとイゾルデ』の公開が待たれるレオ・グレゴリー、シャノンの夫スティーヴにはTVムービー『バンド・オブ・ブラザース』での好演が光ったマーク・ウォーレンと実力派が揃った。

最後に……監督のこの言葉を引用しておくことにしよう。
「私は暴力に興味があるんじゃなくて、男たちの世界に興味があるの。強さだけに自信を持っている男が、脆さも合わせ鏡のように内包させている。それを克服するために、もがき苦しみながらも前向きに生きている姿を描きたい。私が惚れるような男が主人公じゃなきゃ、私が映画を作る意味がないわ」
レクシー・アレキサンダーが、この揺るぎない視点で描き切った硬派な男たちの美学。『フーリガン』は現代の若者たちの新たなバイブル映画となる、大きな可能性を秘めている。

ストーリー



友人の罪をきせられ、ハーヴァード大学を退学処分になったジャーナリスト志望のアメリカ人青年マットは、誰ひとり頼る者もなく、傷心のまま姉の住むロンドンへ渡った。そこでイギリス人ピートと出逢い、サッカー・プレミアリーグの試合に誘われる。ピートはウェストハム・ユナイテッドのフーリガン・ファーム、GSE(グリーン・ストリート・エリート)のカリスマ・リーダーとして君臨していた。彼らには固い団結力と、国中でもっとも畏怖される集団になる、という目的があった。ピートに認められ、GSEに迎え入れられたマットは、次第に失っていた自信を取り戻し、力のみなぎるような快感に身を任せるようになる。サッカーなど全く興味がなかったマットだが、次第に危険かつ陶酔的な暴力の魅力に取り憑かれ、”フーリガン”の世界へと埋没して行くのだった。

スタッフ

監督:レクシー・アレクサンダー
撮影監督:アレキサンダー・ブオーノ
プロダクション・デザイナー:トム・ブラウン
メイクアップ・ヘアー・デザイナー:レスリー・ラモン=フィッシャー
スタント・コーディネーター&ファイト・アレンジャー:パット・E・ジョンソン

キャスト

イライジャ・ウッド
チャーリー・ハナム
クレア・フォーラニ
レオ・グレゴリー
マーク・ウォーレン

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