原題:Confidences trop intimes

本国フランスにて、2004年2月25日公開

2004/フランス/104min 配給:ワイズポリシー

2006年11月24日よりDVDリリース 2006年6月10日、シャンテシネにてロードショー公開

(C)Les Films Alain Sarde/WISEPOLICY

公開初日 2006/06/10

配給会社名 0043

解説


精神分析医はいかなる場合といえども患者との会話を他言してはならない。
たとえそれが見当違いの相談であったとしても——

その出逢いは、ふとした過ちから始まった。
夕暮れ時の午後6時。精神科医の長椅子。赤裸々な秘めごとを語る唇。煙草をくゆらす細い指。ブリキのおもちゃ。形見のライター。
『歓楽通り』『列車に乗った男』に続く、”愛の名匠”パトリス・ルコント監督の新作は、愛に傷ついた孤独な男女の感情の駆け引きを、いつもながらの官能に彩られた細やかなモチーフと、大胆で刺激的な台詞、思惑を秘めた視線の揺らぎを散りばめながら、まるで往年のハリウッド映画を彷彿させる小粋さに満ちたルコントの新境地といっても過言ではない一級のロマンティック・コメディである。

出演は、アンヌに『イースト/ウエスト遙かなる祖国』『マドモワゼル』の実力派女優サンドリーヌ・ボネール。女優開眼と絶賛された『仕立て屋の恋』以来、15年ぶりとなる待望のパトリス・ルコント監督作への出演となるボネールは、最初は夫婦間の苦悩に満ちた倦怠を漂わせながら、ウィリアムと出逢い、愛のトラブルを赤裸々に告白していくうちに、いつしか本来の魅力を取り戻し、美しく、快活な女性に生まれ変わってゆく。そんなアンヌの変貌を、少女のような小悪魔さを覗かせながら円熟味たっぷりに好演、さすがボネール!と唸りたくなるような本領発揮作である。
一方のウィリアムには、『恋愛小説ができるまで』『バルニーのちょっとした心配事』の個性派スター、ファブリス・ルキーニ。これまでエリック・ロメール監督作などで見せてきた饒舌な神経質っぽさはすっかり影を潜め、孤独な税理士の退屈な日々が、思いがけない女性の登場によって刺激に満ちたスリリングなものへと一変、”聞き役”に徹することで秘かな愛を育んでいく姿を繊細に演じ、大きな共感を誘う。中でも、ウィルソン・ピケットの名曲”イン・ザ・ミッドナイト・アワー”をバックにひとりで踊る姿は絶妙、ルコントとの初コンビ作にして、ルキーニの新たな魅力を余すところなく披露するのに成功している。フランス映画界きっての演技派のふたりが、ついに本作で初競演。ちょっと意外な、それでいて息もぴったりな丁々発止は、『上流社会』のグレース・ケリーとビング・クロスビーを想起させる、オシャレでどこか愛くるしい理想的な大人のカップル誕生といえるだろう。

共演は、ウィリアムと同じビルのフロアに診察室を構えるモニエ医師に、『五月のミル』『サン・ピエールの生命』のミシェル・デュショソーワ、ウィリアムの元パートナーで、離別後も交友を続けるジャンヌに、『シラ
ノ・ド・ベルジュラック』『Mの物語』のアンヌ・ブロシェ、そしてアンナの夫で、妻の行動に嫉妬を抱くマルクに、『パリ原色図鑑』『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』のジルベール・メルキと、筋金入りのクセ者俳優たちが、突然の出逢いによって生まれた愛の波紋を、重層的なアンサンブルで構築している。

ルコントとともに、ロマンティックかつ軽妙な恋の駆け引きを脚本に綴ったのは、『天使の肌』『ボン・ヴォヤージュ』のジェローム・トネール。トネールは、ルコントの最新作「私の最高の友だち」Mon meilleur ami”でもコラボレートしている。撮影のエドゥアルド・セラ、編集のジョエル・アッシュ、美術デザインのイヴァン・モシオンら、主要スタッフは”ルコント組”というべき常連が結集。『列車に乗った男』に続いて、音楽を手がけたパスカル・エステーヴの奏でる不協和音の旋律が、男女の愛のミステリーをよりドラマティックに彩っているのも聞き逃せない。

本作『親密すぎるうちあけ話』は、2004年2月のベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品された後、2月25日にフランス公開。「ルコントの最も素晴らしい作品」(プルミエール誌)など大絶賛され、04年8月からは全米公開。「ヒッチコックの最高作の精神を継承している」(ニューヨーク・タイムズ紙)と最高の賛辞で迎えられるなど、『列車に乗った男』に続くロングランヒットを記録した。

愛の舞台は、薄暗いパリのアパルトマンの一室から、やがて陽光が穏やかに輝く南仏のバレエ教室ヘ——そこであなたは感動的な愛の奇跡に胸を打ち奮わせることでしょう。

ストーリー

あなたも心の扉がノックされるのを待っている?それを叩くのが見知らぬ誰かだとしても・・・。

夕暮れのパリの街を、ひとりの女(サンドリーヌ・ボネール)が急ぎ足で歩いている。どこか日々の倦怠を身にまとったような彼女は、薄暗いビルのエレベータに乗り込み、6階のモニエ医師の診察室へと向かう。
先客と入れ替わるように女を出迎えた男(ファブリス・ルキー二)は、「6時に予約を」という彼女に不審な表情を浮かべながらも、オフィスに招き入れる。おもむろに長椅子に座った彼女は、煙草をくゆらせながら、いきなり結婚生活の悩みを打ちあけるのだった。
すっかり冷え切った夫婦関係を一気に告白した女は、当惑顔の男の言葉を待つこともなく、次のカウンセンリングの予約をして、早々にオフィスから立ち去っていった。
実は、彼はモニエ医師ではなかった。モニエと同じフロアにオフィスを構える税理士のウィリアムだった。彼女はノックするドアを間違えてしまったのだ。元パートナーのジャンヌ(アンヌ・プロシェ)と今も密接な交友を続けるウィリアムは、孤独な独り暮らしであり、夜毎、オフィスの裏窓から見えるホテルの部屋の風景を眺めるのが、秘かな暇つぶしとなっていた。
カウンセリングの日、女は再び姿を見せた。ウィリアムが真実を打ちあける暇を与えず、彼女はまたしても衝撃的な告白をする。突拍子もない彼女の発言に、ウィリアムは思わず言いたかった言葉を呑み込み、興味津々とばかりに彼女の話に耳を傾けてしまうのだった。
30年以上、変化のない日々を送るウィリアムは、普通なら決して聞くことのできないアンナの話に、次第に引き込まれ、心魅かれてゆく・・・。

スタッフ

監督:パトリス・ルコント
音楽:パスカル・エステーヴ
撮影:エドゥアルド・セラ
美術デザイン:イヴァン・モシオン

キャスト

サンドリーヌ・ボネール
ファブリス・ルキーニ

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