2005年/日本/ 配給:アートポート

2005年08月26日よりビデオリリース 2005年08月26日よりDVDリリース 2005年4月16日、テアトル池袋にて独占レイトショー

公開初日 2005/04/16

公開終了日 2005/04/22

配給会社名 0014

解説



 殺されても、例えとの屍をバラバラにされても、細胞の自己再生能力により永遠に生き続ける美しきモンスター“富江”がコミックとして伊藤潤二の手により命を吹き込まれてから今年で18年となる。
 99年には富江役に菅野美穂を迎えた映画化第一弾が公開され、レイトショーながら劇場記録を更新する大ヒットを飛ばす。そこから始まる“伊藤潤二ブーム”、そして“富江ブーム”。その後、宝生舞、酒井美紀といったその時代、時代を代表する女優たちが競って富江役を演じたばかりか、宮崎あおい、窪塚洋介、妻夫木聡らがシリーズの出演をステップにブレイクしており、『富江』シリーズの出演は若手男女優たちにとってスターの道を登る階段の一歩といってもよいだろう。また、ニュー・キング・オブ・ホラーとして今や全世界で“崇”められている清水崇も三作目でメガホンをとっている。
 本作で富江役を演じるのは伴杏里。『約三十の嘘』での名演が記憶に新しい久々の若手本格派女優として注目が集まっている。またストーリー展開の軸となる須磨和江役には、活躍の場を日本のみならず香港にまで伸ばし、国際女優として成長著しいしらたひさこが、冬木雪子役には日本人離れした美しさが印象的な美波が、それぞれ演じている。また、現在の日本映画界において屈指の性格俳優、嶋田久作のいぶし銀の演技が作品を引き締めている。監督は1作目、前作『〜BEGINNING』に続き、シリーズ3回目の登板となる及川中。
 今回、“富江関連事件”の舞台となるのは深い山々に囲まれた瀟洒な洋館。麓の診療所に勤める若き女医が偶然に車ではねられてしまった少女が、診療所の所長・富樫の失踪した娘にそっくりだったことから事件は始まる。先に公開される前作『〜BEGINNING』では富江の特徴のひとつ、“分割再生能力”がストーリーのポイントになっていたが、本作ではもうひとつの特徴、“細胞侵略”がストーリーの重要なポイントとなっている。“細胞侵略”、それは富江の細胞が他人の細胞に入り込み、その他人の身体を借りて“再生”するというもの。前作では“富江”自身の哀しみを描いていたが、本作では侵略された“他人”の哀しみを切なく描いている。

ストーリー




深夜の山道を走る車をひとり運転していた須磨和江は、車の前を突然横切った何かをはねてしまう。あわてて車を止めて辺りを見回す和江の目の前には、長い髪の毛で顔を覆った裸の少女が現れる。その少女の左目下にはホクロがあるが、そのホクロを除けばどこかで見覚えが・・・。その少女は突然走り去る。少女の怪我の具合を案ずる和江は後を追い、森を抜けた先の洋館にたどり着く。その洋館にいたのは裸の少女とは別の、シュラフに包まれた瀕死の少女であった。その少女、冬木雪子は一命をとりとめ、和江の勤める診療所に収容される。
 一年後、すっかり元気を取り戻した雪子ではあったが、一年前以前の記憶は完全に喪失しており、なおかつ彼女に該当するような少女の行方不明届けも出ておらず、いまだに診療所で生活をしている。和江は25歳にして、そんな雪子を養子として引き取ろうかと思っているほど彼女に対して特別な感情を抱いていた。そんな和江は雪子を助け出した夜に遭遇した裸の少女のことも思い続けていた。ある夜の数日前に失踪した、診療所の所長・富樫の娘・麗に瓜二つの少女のことを・・・、左目下にあるホクロを除けば・・・。当然、富樫も愛娘・麗のことをこの一年間思い続けていた。
 捜査官の山崎と戸山が雪子の接見を求めて診療所にやってきた。対応した和江は、近くの山中で発見された遭難者の遺品から回収したフィルムを現像した写真を見せられた。その中に麗、いや、富江の写真が混ざっていた。山崎は和江に“富江関連事件”について語りだす。富江が現れるところ、決まって殺人事件が起こる。しかも被害者はいつも富江。驚くことに、富江の検死の記録が存在しない。というより、富江の遺体自体が存在しないのである。さらに、富江は殺されても細胞の再生により生き返ることができ、自分の細胞を他人の細胞に乗り移らせ、その他人の肉体を使って生き返る事も・・・。雪子が遭難した際に、富江を目撃した可能性が有ると山崎は言うのだ。にわかに信じられない話でもあり、雪子はいまだに重度のPTSDでもあるため、和江は捜査官たちの申し出を断る。山崎は気にかかる言葉を最後に残す。「所長のお嬢さんが富江だったとしたら」
 

スタッフ

原作:伊藤潤二(朝日ソノラマ刊)
監督・脚本:及川中
製作:アートポート 日活
制作:円谷エンターテインメント
制作協力:アルチンボルト
エグゼクティブ・プロデューサー:松下順一
製作:武内健 上村正一
企画:小林一夫 平田樹彦
プロデューサー:成田尚哉 東康彦
撮影:瀬川龍
照明:花岡正光
美術:池田大威
録音:植田中
編集:木村悦子
音楽:三善雅己

キャスト

しらたひさこ
美波
嶋田久作
伴杏里
中泉英雄
本田大輔
今田尚志
加藤仁志
鈴木一功
渋谷正次

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