原題:SCHRAMM

あなたは神を信じますか? 連続殺人鬼の脳を駆けめぐる、死ぬ瞬間のグロテスクな夢...。 孤独な連続殺人鬼の妄想の中で浮さ彫りにされるエロスとタナトス。 「ネクロマンティック」「死の王」のユルグ・プットゲライトがまたやった! ”人間は、死ねばただの生ゴミにすぎない”......神への不信と人間牲の闇を強烈に表した、 これまでのプットゲライトの思想の集大成ともいえる過激な最新作だ。

☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品

1993年/ドイツ映画/67分 配給/ABC出版+カムテック 提供/JCA

2000年9月22日ビデオ発売・レンタル開始 公開未定

解説

ローザー・シュラムは、ベルリンのアパートに住む孤独な中年タクシードライバー。彼の唯一の楽しみは、ダッチワイフを抱くことだけである。壁を抜けて漏れ聞こえてくる、隣に住む娼婦たちのニセの喘ぎ声が、彼のエロティックな欲望をふくらませる。彼は真実の愛を求めていた。しかし、現実にはその代用品であるダッチワイフがあるばかりだ。

ところで、彼にはもう一つの顔があった。冷酷な”連続殺人者”としての顔である。ある日ローザーはキリストの教えを布教に釆た若い男女を容赦なく刃物で惨殺。彼の殺人に向ける欲望は、ダッナワイフに向けられるそれと変わらぬ強烈なものだった。ローザーは殺した死体にポーズを解らせ、死体を弄ぶ。だが、彼は自ら犯した罪から来るプレッシャーにより、性的でグロテスクな悪夢に悩まされる。しまいには自分に罰を与えるかのような自傷行動を取る一ペニスの包皮をテーブルに釘付けにするのだ。

ローザーの頑の中は妄想で混乱し、プレッシャーは耐えがたいものになっていく。彼は隣で客を取る若い娼婦と親しくなるが、彼女が次の殺人の犠牲者になるのは間違いない。しかし、事態は思わぬ展開を見せる・・・。

ストーリー

「ネクロマンティック」「死の王」のプットゲライトが、1993年に発表したのがこの作品だ。「ネクロ〜」のモニカ・Mがここでもヒロインを演じていて、ファンには嬉しい限り。まるでルイス・ブニュエルの「アンダルシアの犬」を思わせるシュールな眼球摘出シーンをはじめ、額の割れ目から覗く脳ミソ、歯の生えたヴァギナ、テーブルに釘付けにされたペニスなど、一度見たら忘れられない強烈なインパクトの映像が随所に盛り込まれ、見る者を主人公の地獄の妄想世界に突き落とす。CGなどは一切使わない手作りの効果に徹したプットゲライトのリアリズムは、人間牲の闇をシュールに浮かび上がらせる。
直視するのがつらい人間の心の暗部。それを表現する数々のグロテスクなオブジェ、そして主人公の吐き気を催すはど赤裸々なオナニズム・・・。加味されるパゾリーニ、クロネンバーグ、リンチに通ずる異常なセンス。この映画を見終わったあと、あなたは何も食べられない。神の存在などまったく信じられなくなるだろう。

スタッフ

監督:ユルグ・プットゲライト
脚本:ユルグ・プットゲライト,フランツ・ローデンキルヒェン
製作:ユルグ・プットゲライト、マンフレッド・O・イェリンスキー
音楽:グンドゥラ・シュミッツ、マックス・ミューラー

キャスト

フローリアン・コエルナー・フォン・ダストルフ、
モニカ・M、
カロリーナ・ハルニッヒ、
ミーシャ・プレンデル

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