原題:NEXT STOP,WONDERLAND

サンダンス映画祭の全客席の喝采を浴びた話題作!! なかなか二人は出逢えない 失恋したばかりのエレン、海洋学者をめざすアラン 絶えず流れる恋の予感とはうらはらに、ふたりはすれ違いばかり ボサノヴァと斬新なストーリーが織りなす、サウダージなラヴ・ストーリー

第14回サンダンス映画祭正式出品 第24回ドーヴィル映画祭グランプリ、観客賞受賞

1998年/アメリカ映画/ミラマックス・フィルムズ提供/ロビンズ・エンタテインメント作品 カラー/96min/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/日本語字幕:松浦美奈 提供:アスミック・エース エンタテインメント、角川書店/配給:アスミック ノベライズ:角川書店/サントラ盤:ポリドール

2000年10月27日よりビデオ発売・レンタル開始 1999年12月18日より銀座テアトル西友にてロードショー!

公開初日 1999/12/18

配給会社名 0007

解説

サンダンス映画祭の全観客の喝采を浴びた斬新なストーリー

スクリーンの中の男と女。もし、この2人が出逢えないまま映画が終わってしまったら…。
そう、もちろんそういう映画はありえない。だが、そうした一抹の不安を抱かせるのが、この『ワンダーランド駅で』である。同じルートの電車で通勤しているという唯一の共通点を起点に、二人が出逢いそうで出逢えないシチュエーションが次々と重ねられていく。“いったい、いつになったらこの二人は出逢うの?それとも…。”卓抜なアイデアとサウダージな感覚に包まれた本作は、98年のサンダンス映画祭で最も注目を浴び、同年フランス、ドーヴィル映画祭でグランプリと観客賞に輝いた。

本当の愛を探す女 人生の意味を探す男
知らない同士のふたりは、出逢えそうで出逢えない

夜勤明け、看護婦のエリンはいきなり政治活動家のボーイフレンドのショーンから別れを告げられる。エリンの母は夫を亡くし、今はすっかり奔放な恋愛に溺れ恋人が絶えることがない。彼女は娘にまた新しい恋を見つけて幸せになってほしいと願い、エリンの名でこっそり恋人募集のパーソナル広告を新聞に出す。広告が出た事を聞かされたエリンは母親に猛反発するが、広告を見た男たちからはボイスメールが次々と寄せられ、彼女もつい会ってみようかなという衝動に駆られる。カフェで出会う見知らぬ男達の矢継ぎ早の口説き文句、そしてキレのいいエリンの逆襲。
いっぽう配管工のアランはボストン水族館でボランティア・ダイバーとして働き、将来は海洋学者を目ざしている。これまでの人生を見つめ直し、自分に正直に生きていきたいと心から願っている。しかし学費や父親の借金を片に、水族館にまつわる汚職に関わることを余儀なくされたかと思えば、フェロモン漂わすクラスメイトに言い寄られたりと、思わぬ方向に惑わされていく。
ついにエリンの前に優しくてロマンチストのブラジル人が現れる。足元を救われるようにたちまち恋に落ちるエリン。とにかくすべてを断ち切ろうと思い立つアラン。絶えず流れる“恋”の予感とは裏腹に、出逢えそうで出逢えないふたりは、それぞれ別々の道を歩き始めたかのように見えたのだが……。

ボーダレスな才能が結集して生まれた瑞々しい世界
全編に流れるボサノヴァが醸し出すサウダージな感覚

女と男、二人の間に起こるチャーミングで思いがけない出来事の数々。ただ、巷に溢れるラヴ・ストーリーとは違って、様々な出来事は二人が出逢う前に起こってしまうという斬新なアイデアをもとに物語は進行していく。現代のボストンを舞台に、恋や人生の本当の意味を探す女と男。ともすれば簡単に恋が訪れそうなシチュエーションなのに、それでも二人は出逢えない…。
インディペンデント映画でありながら、独りよがりな感情を押し付けることなく、役者のちょっとしたしぐさ、気の利いたセリフ、たゆたうような映像が観る者全てを爽やかな気分にさせてくれるそんなラヴ・ストーリー。ある者は女性の切なさに共感したり、男性の生き方に相槌をうつだろう。流れるように過ぎていく映像に、日曜の午後の静かな時間を思う者もいるだろう。それは効果的に織り込まれるボサノヴァのリズムやスクリーンからあふれ出すアクアな感覚がそうさせているのかもしれない。
本作が2作目となる監督のブラッド・アンダースンは、インディペンデントでしか作りえない頭脳と表現手法を用いて、現代の大人の恋のあり方と人生の考え方、出逢えそうで出逢えない現代の男女の悲哀と可笑しさを見事に表現。これまでありそうでなかった斬新なアイデアで挑みつつも、本作をとてもチャーミングに仕上げている。本作では共同脚本、編集も手掛けた。処女作は96年サンダンス映画祭コンペティション部門出品、サンタ・バーバラ映画祭で最優秀監督賞、フロリダ映画祭で最優秀ナレーティヴ賞を受賞した“The Darien Gap”。97年には“ヴァラエティ誌が選ぶ、注目のインディペンデント界新人映画監督10人”にも選ばれた逸材である。製作にはミッチェル・ロビンズ、共同製作にはローラ・ベルニエリとレイチェル・ホロヴィッツ。ブラッド・アンダースン監督の才能に惚れ込んだ3人は処女作“The Darien Gap”からの続投となる。ブラッド・アンダースンと共同で脚本を手掛けたのはブレット・レナード監督の『ヴァーチャル・ウォーズ』の脚本、音楽に協力したリン・ヴァウス。本作ではエリンに電話をかけてくる男のひとりダリル役でも出演している。手持ちカメラの手法を用いて、ボサノヴァのサウダージな世界を見事に表現したのはドイツ出身の撮影監督のウタ・ブリーゼウィツ。そして、情感たっぷりのオリジナルスコアを担当したのは、作曲家でギタリストでもあるクラウディオ・ラガッツィ。ボサノヴァのクールでロマンティックなリズムが、うまく現代のボストンとのコントラストをきかせ、男女の心のゆらめきをよりいっそう鮮やかにしている。

爽やかな感動を届ける実力のキャスト

メランコリックな雰囲気をもちながらも、同時に輝いている女性エリンには『隣人は静かに笑う』『フラットライナーズ』『死の接吻』のホープ・デイヴィス。
運命など信じないと言いつつも、また愛を信じさせてくれる誰かを切実に求めている複雑な演技を披露している。自らの人生を大きく変え、海洋学者になりたいとひたすら努力する男アランには『ザ・クロウ』のアラン・ゲルファント。エレンの元恋人で政治活動家のショーンには『ブギーナイツ』、『ビッグ・リボウスキ』の演技が印象深いフィリップ・シーモア・ホフマン。金貸しのフランクには『タクシー・ドライバー』『スモーク』のベテラン、ヴィクター・アーゴ。フェロモンふりまくアランと同じクラスの娘ジュリーに『ルル・オン・ザ・ブリッジ』のカーラ・ブオノ。エリンをたちまち恋の気分にさせてしまうアンドレには『身代金』『スモーク』のホセ・ズーニガがあたり、ブラジル人の典型的な口説きのスタイルをチャーミングに見せてくれる。その他、エリンの母親役に『トゥルーマン・ショー』のホランド・テイラー、『マーキュリー・ライジング』のロバート・スタントン、『乱気流 タービュランス』のキャリー・ソーン、サタデー・ナイト・ライブにも出演した『パーフェクト・カップル』のロバート・クラインらが脇をかためる。テンポの良いコミカルな演技が、作品に見事なアクセントをつけている。

ストーリー

ボストンの街を走る地下鉄ブルーライン。ワンダーランド駅を終着駅とするこの路線はいつも多くの人で混雑している。夜勤看護婦のエリン・キャスルトンと配管工のアラン・モンティロも同じく、このルートを使って通勤している。それだけがふたりの唯一の接点。 エリンが家に戻ってくると、一緒に暮らしている恋人ショーンが家を出ようとしていた。何度も繰り返してきたおなじみの口論のあと、ビデオカセットを1本残して彼は去っていった。そのカセットには別れを決心した6つの理由が残されていた。「君とのケンカに疲れた」…そう告げる画面をエリンは茫然とみつめるしかなかった。 アランは父親の後を継いで配管工になったものの、海洋生物学者になる夢を捨てきれず大学に通っていた。ドッグレースに入れ込んでいる父親の借金と、自分の学費を返すために必死に働いている。35歳になる彼だが、懸命にもう一度自分の人生を建て直そうとしている。 週末、エリンは同僚のクリケットから水族館主催の記念パーティに誘われた。早々に引揚げる予定のはずが、クリケットが警備員のボブといい雰囲気になり二人で盛り上がってしまった。エリンは話す相手もおらず水族館を見てまわるしかない。そこでアランの友人であるボブは、恋人のいないもの同志のアランとエリンを引きあわせようとする。しかし、アランは「忙しい」と断ってしまう。もう少しで出逢うところだったエリンとアラン。ふたりはまだ出逢わない。
エリンの母は夫を亡くしてからすっかり奔放な恋愛に目覚め、ボーイフレンドの絶えることがない毎日。「ひとりでも平気」と強がる娘の恋人をつくるため、内緒でエリンの名で新聞の恋人募集広告を出してしまう。 “あなたを待っています。運命を信じる?私は信じるわ。私は29歳、165センチ、知的で美人、セクシー…。楽しい人、身も心も燃え上がりましょう” 応募してきたメッセージは64件。「運命の出会いなんて信じない」と言っていたエリンだったが、男たちの矢継ぎ早やの口説き台詞を聞くうちに、会ってみようと思う。近所のバーを指定し、男たちと逢う約束をする。

アランが弟や友人たちとバーで飲んでいるとき、ヘラルド紙の個人広告を見て仲間の一人がひとつの賭けを思いついた。美辞麗句で飾り立てられた“エリン”をデートに誘い、ディープ・キスまで持っていけたら勝ちというルール。盛り上がる仲間をよそに、「ウソだらけの広告を載せる女はゴメンだ」とアランは席を立ってしまう。しかしアランの弟たちは、早速同じように嘘だらけのメッセージをエリンに送る。 一方アランは、クラスメイトのジェリーに何かと理由をつけては言い寄られている。アランが「君の獲物にはならない」「ただの友達だ」と言い切ったとき、しょんぼりしたジュリーの姿にアランは心ほだされ大好きなホエール・ウォッチングに彼女を誘う。船で沖までクルージングしてクジラの潮吹きを見るツアーだったのだが、ジュリーは肝心なときに船酔いしてしまう。クジラも見ずにやさしく介抱するアラン。そんな彼に、懲りずに熱のこもった告白をするジュリー。思わずアランはジュリーにキスしてしまう。

アランの友人たちの賭けを見破り、“自分と合う男に出会えるかも”という淡い希望を打ち砕かれたエリン。そんな彼女の前にロマンチストのブラジル人アンドレが現れる。恋人募集広告で会った男たちとは違う彼に、安らぎを感じるエリン。 アンドレは一緒にブラジルへ行こうとエリンを誘うのだった。 一方、ジュリーの奔放ぶりを改めて思い知らされ、借金がらみの悪いつながりなど、とにかく全てを断ち切ろうと思い立つアラン。 これまでにも、電車で、水族館で、パーティで、レストランで、何度もすれ違っているエリンとアラン。ふたりはいつになったら出逢うのか?

スタッフ

監督:ブラッド・アンダースン
脚本:ブラッド・アンダースン、リン・ヴァイウス
撮影:ウタ・ブリーゼウィッツ
音楽:クラウディオ・ラガッツィ
編集:ブラッド・アンダースン
プロダクション・デザイン:チャド・デトワイラー
キャスティング:シーラ・ジャフィ、ジョージアン・ウォーケン
アソシエイト・プロデューサー:アリ・ニューマン
共同製作:ローラ・ベルニエリ、レイチェル・ホロヴィッツ
製作:ミッチェル・ロビンズ

キャスト

エリン・キャスルトン:ホープ・デイヴィズ
アラン・モンティロ:アラン・ゲルフォント
フランク:ヴィクター・アーゴ
エリック:ジョン・ベンジャミン
ジュリー:カーラ・ブオーノ
ブレット:ラリー・ジラード・ジュニア
ショーン:フィリップ・シーモア・ホフマン
ロリー:ジェースン・リュイス
レイ・ソーンバック:ロジャー・リーズ
ケヴィン・モンテロ:サム・スィダー
ロバート:ロバート・スタントン
パイパー・キャルストン:ホランド・テイラー
クリケット:キャリー・ゾーン
バーテンダー、ラウリー:ジミー・ティングル
ダリル:リン・ヴォイス
アンドレ・デ・シルヴァ:ホセ・ズーニガ
アーティ・レッサー:ロバート・クライン
ボブ:ポール・ワグナー
ネイサン:アーネスト・トンプスン
デズモンド:チャーリィ・ブロデリック
トレイシー:ブローニン・シムズ
デニーズ・シェボラ:ポーラ・プラム
リック:ケン・チーズマン
オリヴァー:ウェイン・プリトロウ
ブリット:パメラ・ハート
シェナ:ダイアン・ベケット

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