原題:SHURI

【シュリ】とは? 朝鮮半島固有の澄んだ川の水にのみ生息する体長7〜8cmの淡水魚。 映画の中では北朝鮮スパイの作戦名、及びコードネームとして使用されている。 南北を自由に行き来できる自由と統一の象徴。

■第36回大鐘賞 ・主演男優賞(チェ・ミンシク) ・新人女優賞(キム・ユンジン) ・照明賞(ウォン・ミュンジョン) ・編集賞(パク・コクチ) ・音響技術賞(イ・ビョンハ、キム・ソグォン) ・企画賞(カン・ジェギュ、ピョン・ムリム) ■第35回百想芸術大賞 ・作品賞 ・監督賞 ・主演男優賞(チェ・ミンシク) ■第22回黄金賞 ・撮影賞銀賞(キム・ソンボク) ・新人演技賞(キム・ユンジン) ・人気男優賞(チュ・ミンシク) ■第19回映画評論家協会賞 ・新人女優賞(キム・ユンジン) ・脚本賞(カン・ジュギュ) ・技術賞(編集:パク・コクチ) ・特別賞(企画:カン・ジェギュ、ピョン・ムリム) ■第12回東京国際映画祭特別招待作品

1999年/韓国映画/124min/カラー/ドルビー・デジタル/1:1.85 提供:シネカノン、アミューズ、カルチュア・パブリッシャーズ 配給:シネカノン、アミューズ ノベライゼーション:文春文庫/サントラ盤:カルチュア・パブリッシャーズ

2000年7月21日よりビデオレンタル開始 2000年7月21日よりDVD発売 2000年1月22日より渋谷東急3、銀座シネ・ラ・セットほか全国ロードショー!

公開初日 2000/01/22

配給会社名 0034

解説

世界が熱狂!驚愕!!

1999年2月13日、『シュリ』の公開初日。その日、ソウルをはじめ韓国主要都市の劇場は、興奮を隠せない多くの観衆とレポーターの異様な雰囲気に包まれていた。その後、様々なメディアがこの映画の特集を組み、分析を試み、関連商品も爆発的な売上げを記録。『シュリ』は社会現象となり、“シュリ・シンドローム”という言葉まで登場する。そして公開から57週目にして、『タイタニック』によるソウル市内の動員記録197万人を半分の日数で軽々と突破し、最終的には全国で600万人を越え、全国民の約7人に1人が見たという空前絶後の大ヒットを記録する。
その興奮は、海外のマスコミをも巻き込んでゆく。AFP、ロイター、AP、CNN…。世界が『シュリ』に関する情報、スタッフ・キャストのインタビュー獲得に奔走した。日本においても、朝日新聞が第一面のトップニュースとして紹介し(4/14夕刊)、各テレビ局もニュース番組の中で韓国の熱狂ぶりを伝えるという、一本の韓国映画としては前代未聞扱い。そしてこの冬、遂に日本でも、世界を震撼させた『シュリ』の全貌が明らかになる。

胸を打つロマンス、壮大なアクション!

韓国の情報機関“OP”の情報部員ユ・ジュンウォンは、恋人イ・ミョンヒョンとの結婚を1ヵ月後に控えていた。彼は最近多発する暗殺事件の裏に、以前から必死に追跡している北朝鮮の女スパイ、イ・バンヒの影を感じていたが、遂に自分自身の命も狙われ、ミョンヒョンの身を案じホテルにかくまう。しかしなぜか彼女はいつもと様子が違く、何が彼女を苦しめているのか彼にはわからあかった。
そして驚異的な破壊力を誇る液体爆弾CTXが強奪された同じ頃、ソウルでは韓国と北朝鮮両国首脳が列席するサッカー南北交流試合の準備が進んでいた…。
『シュリ』は“南北分断”という深いテーマを根底に置きながらも、民族的悲劇を普遍的ラブストーリーに見事に昇華させ、それを手に汗握るサスペンスと壮絶なアクションによって紡ぎあわせた完璧な娯楽作品になっている。その息つく暇を与えない迫力のある描写とリリカルな叙情性が見事にブレンドされた映像に、劇場内には悲鳴にも似た驚きの声がもれ、ラストシーンでは女性たちのすすり泣く声が響き渡った。そして早々と『シュリ』を鑑賞した日本のクリエイターからも多くの絶賛の声が寄せられている。

韓国新世代の英知の結晶

監督は『銀杏の木のベッド』でデビューし、96年の興行成績トップを記録したカン・ジュンギュ。まだ第2作目にしてとてつもない作品を作り上げた。主演は、出演作品が全て大ヒットを記録するという神話を持ち、今や韓国が誇る大スターとなったハン・ソッキュ。カン・ジェギュ作品はデビュー作に続く出演。日本でも公開されヒットした『八月のクリスマス』とは全くイメージの違うヒーロー像を、見事に演じきっている。ヒロイン役にはスクリーン・デビューでいきなりスターの仲間入りを果たしたキム・ユンジン。そして民族の痛みを象徴する敵役を演じたのは、本作で大ブレイクを果たしたベテラン、チェ・ミンシク。
3年間かけて練り上げられた脚本、生身の迫力とSFXを見事に融合した撮影、照明、美術、そして壮大なドラマを彩る音楽など、韓国が誇る才能と最高の技術を駆使して、製作費は韓国映画史上最高の約3億円。
フランスのカイエ・デュ・シネマ誌が特集を組み、国際映画祭で受賞するなど、ここ数年で世界的な評価を集めはじめている韓国新世代映画とも、すでに一線を画した超ド級の映画、それが『シュリ』である。

ストーリー

1992年9月。北朝鮮では、第8特殊部隊の工作員候補が実戦さながらの命をかけた訓練を行っていた。部隊長のパク・ムヨン(チェ・ミンシク)は、その中の女性イ・バンヒの傑出した技量をすぐに見抜いた。

1998年9月。韓国のソウルは、2002年サッカーW杯のために南北挑戦統一チームが結成され、その選手権を兼ねた南北交流試合が行われるというニュースに沸き立っていた。そしてこの試合には、両国の首脳陣が招かれ観戦することになっていた。
韓国情報機関“OP”の情報室長ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)には、アクア・ショップを経営する1ヵ月後に結婚を控えた恋人イ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)がいる。ある時ジュンウォンは、相棒のイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)と共に、武機密売人イム・ボンジュからある情報提供を受けるために落ち合う約束をするが、ボンジュは彼らの目前で何かに怯えるように急に逃げ出し、何者かに狙撃され即死する。現場の状況からユ・ジュンウォンは、イ・バンヒが事件に関係していると直感する。バンヒは腕利ききのスナイパーとなって韓国に潜入し、これまでにも多くの要人暗殺を成功させており、彼らの必死の追跡にもかかわらず行方をくらましたままだった。
ジュンウォンとジャンギルは狙撃事件の捜査を進めるうちに、バンヒがボンジュと組んで国防化学研究所が開発した驚異的な破壊力を誇る液体爆弾CTXを手に入れようとしていたことを突きとめる。しかし二人が研究所に駆けつけた時には、すでに鍵を握る研究員が殺害されていた。
さらに性能テストのために軍司令部へ移送中のCTXを強奪されてしまい、後を追った二人は敵の仕掛けた罠にはまるが、命からがらなんとか逃げ出す。そしてジュンウォンは移送車の監視カメラが捕らえた映像から、依然自分が携わっていた飛行機テロ事件の犯人パク・ムヨンの存在を確認し、北朝鮮第8特殊部隊の事件か移入を知る。しかしその頃ムヨンは、すでにジュンウォン暗殺命令をバンヒに下していた。

イム・ボンジュ、研究所員、CTXの移送…。なぜかいつも行動を先読みされている事実から、コ局長とジュンウォンそしてジャンギャルは、お互いに相手がスパイなのではないかと疑いを持ち、三人の間に緊迫した空気が流れ始める。

そんな中ジュンウォンは、情報が漏れるのを恐れて単独行動で友人の警官イ・グァノに応援を依頼する。バンヒは相談中のジュンウォンを狙うが、誤ってグァノを撃ってしまう。グァノは幸い一命を取り留めたものの、ジュンウォンは再び情報が漏れていたことにショックを受ける。
そして自分が狙われていると感じたジュンウォンは、ミョンヒョンの身を案じホテルにかくまうが、なぜか彼女はいつもと様子が違っていた。アルコール依存気味の彼女が、しばらく断っていた酒に再び手を出していたのだ。何が彼女を苦しめるのか、彼にはわからなかった。

OP内では奪われたCTXの使用目的について様々な論議がなされていたが、そこにムヨンから連絡が入り、CTXによるソウル市内10ヵ所での爆破を予告される。そして必死の捜査にも関わらず高層ビルで爆破事件が発生する。ジュンウォンは偽の情報を流して敵をおびきだし、遂にムヨンを追いつめるが、あと一歩の所でバンヒが現れて再び市街での銃撃戦が始まった。ジョンウォンはムヨンに逃げられてしまうが、負傷したバンヒを尾行して遂にその正体を知ってしまう。ジュンウォンはその事実が信じられずコンピュータで“イ・ミョンヒョン”を調べると、そこには少し印象が違うものの彼のよく知る顔が浮かび上がった。しかし彼女は不治の病で、済州島の療養センターにいるというデータが出る。

交流試合当日。OPに1000万ドルと特別機を要求する連絡が入り、彼らは空港に向かう。同じ頃ジャンギルは、盗聴の秘密を突き止めバンヒ逮捕に向かうが、逆にムヨンに撃たれ、駆けつけたジュンウォンの前で息を引き取り、彼らを取り逃してしまう。
やがて数万人の観客が集結し、異様な興奮に包まれ始めたスタジアムの舞台裏では、ムヨンとバンヒたちが着々と“ある準備”を進めていた。ジャンギルから最後の情報を得たジュンウォンは、スタジアムへと急いで車を走らせる。いよいよムヨンたちの真の目的が明らかにされる時が、そして決着の時が近づいてきた。
ジュンウォンとミョンヒョンの運命もわからないままに…。

スタッフ

製作:サムソン・ピクチャーズ
企画・製作:カン・ジェギュ・フィルム
監督・脚本:カン・ジェギュ
プロデューサー:イ・グァナク、ピョン・ムリム
撮影:キム・ソンボク
照明:ウォン・ミョンジョン
録音:イ・ビョンハ
プロダクション・デザイナー:
音楽:イ・ドンジュン
主題歌:『When I Dream』キャロル・キッド
アクション監督:チョン・ドゥホン
特殊効果:チョン・ドアン
特殊メイク:ユン・エリョン
CG:メカド
CG監修:チョ・ソンベ
特殊撮影:ファン・ソシク

キャスト

ユ・ジョンウォン(OP情報部室長):ハン・ソッキュ
イ・ミョンヒョン(ジュンウォンの婚約者/現在のイ・バンヒ):キム・ユンジン
パク・ムヨン(第8特殊部隊隊長):チェ・ミンシク
イ・ジャンギル(ジュンウォンの相棒):ソン・ガンホ
コ・ジョンソク(コネ入社と言われる男):ユン・ジュンサン
以前のイ・バンヒ(パク・ウンスク)

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