原題:PLUNKETT AND MACLEANE

逃げるが勝ちマッシヴ”紳士強盗”エンタテインメント

1999年/イギリス映画/100分/シネマスコープ/ドルビーSRD/カラー/ 配給:KUZUIエンタープライズ/配給協力:パイオニアLCD 日本語字幕:松浦美奈

2000年6月10日より有楽町スバル座ほかにてマッシヴ・ロードショー公開

公開初日 2000/06/10

配給会社名 0030

解説

 夢を叶えるため、友情を守るため、愛を貫くため、彼らか選んだ手段は”紳士強盗”。そう、この世はいつだって逃げるが勝ち!!3人の若者はわき目もふらずに、自分たちの道を、新たな世界めがけて疾走する−−−。
 プランケットとマクレーンは18世紀半ばのロンドンに実在した強盗。”紳士強盗”と呼ばれたマクレーンは実際にレディたちの人気を集め、ブレヒト作『三文オペラ』のべースになった舞台『乞食オペラ』の主人公マックヒースのモデルとも言われている。彼の裁判は社会的事件にもなった。
 そんな実話に基づいたエキサイティングな設定に、オリジナルな味付けを施した軽快なストーリー。「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」のロバート・カーライル、「トレインスポッティング」のジョニー・リー・ミラー、そして「アルマケドン」のリヴ・タイラーという豪華なキャスト。そして、あのケイリー・オールドマンの製作総指揮の下、リドリー・スコットの息子にしてMTV界の気鋭シェイク・スコットが初めてメガホンをとった。これぞ、ストーリー&キャスト&スタッフと、すべてが揃ったマッシヴ”紳士強盗”エンターテイメント。シャープでスタイリッシュな新世代映像と音楽がスピード感いっぱいにスクリーンに広がる、型破りでゴージャスな映画なのだ。

 営んでいた薬屋が破産して強盗稼業に手を染めたプランケットと、スコットランドの聖職者の息子として生まれ、高度な教育を受けたマクレーン。全く追う環境で育ち、たまたま牢獄で出会った二人は、それぞれの夢をかけて”紳士協定”を結ぶ。プランケットが提供するのは頭脳と盗みのノウハウ。マクレーンの強みは社交界のコネクション。両者が揃えば怖いものなし。マクレーンが上流階級の情報を集め、プランケットの指図で貴族の馬車を襲えばいい・金さえあればプランケットはアメリカに渡る夢が叶うし、マクレーンは紳士としての地位と裕福な生活を手に入れることができる。
 二人の初めての獲物は裁判長ギブソン卿と姪のレディ・レベッカか乗った鳥草。手荒な強盗など初めてのマクレーンは、美しく毅然としたレベッカに一目惚れし、”礼議正しく”宝石をいただいていく。この日から二人は”紳士強盗”と呼ばれるようになった。ヤマを重ね、修羅場をくぐり抜けるにつれ、強い友情と信頼の絆で結ばれていくプランケットとマクレーン。
 しかし、やがてチャンス卿の執勘な追跡が始まる。果たして、二人の夢は叶うのか?マクレーンとレディ・レベッカの恋の行方は?

 映画化のきっかけは7年前に遡る。あるとき、ワーキング・タイトル社のエリック・フェルナーのために、ケイリー・オールドマンが気に入った脚本の場面をいくつか演じることになった。その中の1本が”時代劇なのにアクション映画のような”この作品。彼らはこれをもとに企画をふくらませていった。
 そして、彼らが監督として白羽の矢を立てたのがシェイク・スコット。ミュージック・ビデオという最先端のメディアにいる彼なら、史実や映画のセオリーにとらわれず、自由でビジュアル的に優れた作品が作れると考えたからだ。彼らの狙いはまさしく的中。父親譲りの鋭いセンスは、ダークな画面の中に毒気とエネルギーがみなぎる新感賞の”映像作品”を生み出した。
 風刺に漬ちた愉快なエピソード。アップテンポなアクション・シーンの興奮。胸が熱くなる男たちの友情。そして、ハラハラするロマンティックな恋の成り行き…。
 ここには、映画のあらゆる娯楽要素がつまっている。まさに”2000年代版「明日に向って撃て!」”とも言える楽しさだ。盗みのプロ、プランケットには「フル・モンティ」以降、007シリーズの「ワールド・イズ・ノット・イナフ」や「ラビナス」などハリウッドからも引っ張りだこのロバート・カーライル。恋する紳士強盗マクレーンには、最近ではアラン・ルドルフ監督の「アフターグロウ」に主演しているジョニー・リー・ミラー。この二人が一緒にフレームに収まるだけで、不思議に”バディ(相棒)”の気分が流れ出す。紅一点のレディ・レベッカにはアメリカから「アルマケドン」「クッキー・フォーチュン」のリヴ・タイラーがキャスティングされ、反抗的で意志の強い女性を快活に演じている。また、ケン・ストット、マイケル・ガンボン、アラン・カミングらイギリス映画・演劇界の名優たちが脇をがっちり固めている。
 撮影監督は「ツイン・タウン」「ヴィゴ」のジョン・マディソン。撮影はチェコのプラハを中心に行われ、古都の歴史を感じさせる建物や街の雰囲気が映像に深みを与えている。プロダクション・デザインはノリス・スペンサー」。ジョージア王朝の絵画やホガースらの作品からインスピレーションを受け、当時の猥雑で退廃的な空気を作り出している。
 また、「日蔭のふたり」や「ウェルカム・トゥ・サラエボ」などを手がけているジャンティ・イェーツが18世紀のファッションにヒップな匂いを加味した衣裳も、重厚にして新鮮。時代がかった重みと今的なリズムを融合させた音楽は、「ロミオ&ジュリエット」などで有名なクレイグ・アームストロングが手がけている。

ストーリー

 ロンドン、1748年。兵士たちに追いつめられた名うての強盗ウィル・プランケット(ロバート・カーライル)は、撃たれた仲間を置いて危うく逃げのびる。たまたまこの逮捕劇を見ていたのが金欠病の聖職者の息子ジェームズ・マクレーン(ジョニー・リー・ミラー)。二人は死んだ強盗が盗み飲んだ略奪品のルビーを手に入れようとして、墓場でばったりと顔を合わせる。そこに再び現れたのがチャンス(ケン・ストット)率いる兵士たち。二人はあえなく逮捕され、刑務所に収監される。風貌も物腰も正反対のブランケットとマクレーンは、看守に言わせれば”薄汚いカス野郎と紳士”。看守に受けがいいマクレーンを見たプランケットは名案を思いつく、マクレーンに例のルビー渡し、看守を買収させてシャバに出るという”紳士協定”を持ちかけた。自分の頭脳と才覚、マクレーンにの社交界でのコネ。二人で組んで稼げばアメリカへ行く自分の夢も叶うし、マクレーンも本物の紳士になれる。かくして二人は、主人と従者にみせかけて上流階級の世界に足を踏み入れた。
 手始めはマクレーンの旧友ロチェスター卿(アラン・カミング)宅。その晩の賭事で大金を手にした裁判長ギブソン卿(マイケル・ガンボン)の馬車を襲うことにする。覆面してハイドパークで待ち伏せする二人。馬車を止めたプランケットはギブソン卿を殴り倒して有無を言わせず金品を奪い取る。そして、同乗していたギブソン卿の姪レディー・レベッカ(リヴ・タイラー)の首の宝石を取るようマクレーンに促す。彼女こそロチェスター卿宅でマクレーンが一目惚れした女性。彼は「乱暴な方法で申し訳ない」と強盗に似つかわしくない物言いで、気の強いレベッカを驚かせる、この事件がやがて二人を紳士強盗として有名にしていくことになる。その恋、ギブソン卿の屋敷で開かれた夜会で再会したマクレーンとレベッカーの間には、特別な感情が響き合っていた。しかし、ギブソン卿はマクレーンを一目見て「ろくな人聞じゃない」とレベッカを牽制する。卿の右腕として働くチャンスもレベッカに思いを寄せているが、彼女の態度はそっけない。
 プランケットはマクレーンに射撃を教え、強盗を重ねるにつれて二人の間には友情が芽生えていった。マクレーンが情報を得るために渋々イングランド随一の金持ち女とベッドを共にして性病をうつされたり、盗んだ宝石が偽物だったり、失敗も多々あるが、二人は強盗稼業を続けていった。プランケットは2年前まで薬屋を営んでおり、その知識を活かして作った火薬も仕事を成功させるための大きな武器になった。
 ある日、売春宿で女に乱暴しているチャンスを見たプランケットは、女を助けようとして彼を殴りつけ、決闘を申し入れられる。翌朝、マクレーン立ち会いのもとに決闘が行われた。命中したプランケットの銃弾はチャンスの胸に挟んだ聖書の中にとどまり、チャンスの放った銃弾はプランケッをかすめる。二人の間の敵対意識はさらに深まっていった。
 社交界では紳士強盗の話題で持ちきりだった。レベッカと同席した茶会で、思わず自分がその当人だと漏らしそうになるマクレイン、プランケットは彼の恋心が二人の危機を招きはしないかと心配でたまらなかった。ある日、フランス大使の馬車を襲った二人は、チャンスたちに取り囲まれる。大使は銃撃戦で死に、マクレーンも重傷を負った。プランケットは彼を家に連れ帰ると、薬屋の経験を活かして看病する。そして彼は、これが潮時と、二人分のアメリカ行きの切符を買うことにする。
 議会で大使死亡事件からギブソン卿への批判が噴出していた。やがて、チャンスの陰謀でギブソン卿は失脚し、国外への追放を言い渡される。それを伝えに来たチャンスは、帰り際に無理矢理レベッカを押し倒す。その夜、レベッカはマクレーンのもとを訪れた。彼女は叔父とともにフランスに旅立つことを告げ、馬車を襲うようにたのむ。彼女はマクレーンが紳士強盗であることに気づいていたのだ。「イエス」と答えるマクレーン。二人は初めてキスを交わす。
 レベッカの計画に懐疑的だったプランケットも、相棒のためにしかたなく参加することになった。約束の時間、二人は馬車を襲う。しかし、車内にレベッカの姿はなく、包囲していたのはチャンスの一隊だった。チャンスはギブソン卿を撃ち殺し、プランケットとマクレーンは危機一髪その場から逃げ出す。しかし翌日、マクレーンはギブソン卿殺しの犯人に仕立て上げられていた…。

スタッフ

監督:ジェイク・スコット
脚本:ロバート・ウェイト、ニール・パーヴィス、チャールズ・マッケオン
製作総指揮:ケイリー・オールドマン他
プロデューサー:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルテー
撮影:ジョン・マディソン
編集:オーラル・ノリ・オッティ
衣装:ジャンテイ・イエーツ
音楽:クレイグ・アームストロング

キャスト

ウィル・ブランケット:ロバート・カーライル
シェイムズ・マクレーン:ジョニー・リー・ミラー
レディ・レベッカ:リヴ・タイラー
ロチェスター郷:アラン・カミング
チャンス卿:ケン・ストッド
ギブソン卿:マイケル・ガンボン

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