原題:TWENTYFOUR SEVEN

今こそ最高の自分の手に入れる。

☆1997年ヴェネチア映画祭批評家賞受賞 ☆1997年トロント映画祭正式出品 ☆1998年サンダンス映画祭正式出品 ☆1988年ブリュッセル映画祭ベスト・ヨーロピアン・フィルム賞受賞

1997年/イギリス/モノクロ/ドルビーSR/97分/字幕翻訳:石田泰子/配給・宣伝:シネカノン

1999年4月17日より、銀座シネ・ラ・セット、シネマアルゴ梅田にてロードショー

公開初日 1999/04/17

配給会社名 0034

解説

24時間、7日間。目の前にあるのは何も起こらない毎回の、さえない繰り返し。明日の日はたぶんやってくるけど、明日やりたいことなんてひとつもない。それでも今回、ダーシーとダチどもは運命の糸を断ち切り、夢に命を吹き込んだ。自分たちの失われた尊厳を取り戻すに_。「人はいつか死ぬ。だから問題は生き方だ」
ノッティンガムの田舎町でひとりの男が立ち上がった。アラン・ダーシー、彼は無為に生きてきた自分の人生を挽回すべく、街にぶらつくダチどもを集めてボクシングクラブを開く。ところが奴等はそろいも揃っててロクでなし。ヤク浸り、路上では小競り合いのくりかえし。仕事をするあてもなく、家に帰れば父親が暴カを振るう。ほんの退屈しのぎでダーシーにつき合い始めた倣等だったが、いつしか夢中になる自分たちに気づき始める。ダーシーは子供たち、そして自分自身にとって今一番必要なものが何かを知っていたのだ。生きるってことはもしかしたら、そんな退屈なことじゃない。クラブが街でも注目されるようになった頃、初めての対抗試合が行われることになった_。
弱冠25才の新人監督シェーン・メドウスは、本作で自らの体験をもとに鮮烈なデビューを飾りました。自伝的ストーリーが紡ぐのは、みずみずしいばかりの繊細さと天性の映像感覚がひきおこすリリシズム。若者たちが輝きを手に入れる瞬間を切り取ったまなざしは『レイジング・ブル』(マーティン・スコセッシ)『若者たちのすべて』(ヴィスコンティ監督)に連なる傑作と賞され、ヴェネチア国際映画祭批評家賞を受賞しました。ダーシー役には『モナリザ』(カンヌ映画祭主演男優賞/二一ル・ジョーダン監督作品)を超える素晴らしい演技と賞賛を浴びたボブ・ホスキンス。冴えない中年男が失われた威厳を取り戻そうとする情熱を巧みに浮き彫りにした演技には心を締めつけられ、やがてそれは深い感動に変わってゆきます。子供たちには実生活でもメドウス監督のダチどもが出演。少しずつ大人へと成長する彼らの演技を越えた表情がひかります。
サウンド・トラックにはヴァン・モリソン、シャーラタンズ、プライマル・スクリーム、ポール・ウェラー、サンハウス、ティム・バックリーなど、超豪華アーティストらが参加。その音楽と見事なコラボレーションを見せるのが、スチール・フォトの連なりのような美しさで観る側のイマジネーションをかきたてるモノクロームの映像。本作がもつデリケートな感情の1コマ1コマをスクリーンに漲らせています。

ストーリー

あの男、アラン・ダーシーがこの街に再び戻ってきた。変わり果てた姿のダーシーが廃虚で息絶えんばかりのところをティムが発見する。ティムはダーシーを家に連れ帰りベッドに横たえてやる。ダーシーの上着の懐からかつての日記帳がでてくる。ティムは静かにペ一ジをめくり始めた。_数年前。イングランド中央部の街ノッティンガム。この街は何をするでもない無気力な大人やこどもで溢れている。勇気を持って現状をブチ破ろうとする者などいないが、アラン・ダーシーだけは違った。彼は無為に過ごしてきた長い年月を挽回すべく、若者たちに希望を持たせようと立ち上がる。今や一失業者でしかないダーシーもかつてはこの街の小さなボクシングジム《101ボクシングクラブ》で闘いに興じたことがある。廃虚と化したジムに手を入れ新生101を開設した。ていたらくな若者たち、とりわけ理由もなく対立しているべ二一、ステュアート、ヤンギーの3兄弟と、さらに荒っぼいナイテイの一派。ダーシーはクラブ設立に乗じ彼らに手を組ませたいと考えていた。彼らの中には貧しい家に生まれたものもいる。しかしどれだけ金があったとしても心に信じるものがなければ人生は貧しいのだ。ベニーの3兄弟はクラブ設立に賛成。あとはナイティたちだ。ダーシーはナイティ、ティムらをグラウンドに集め強引に勝負をしかける。ダーシーがキーパーになって5本受ける。3本以上ゴールを決められなけれぱ彼らは翌週からダーシーのクラブに参加する約束だ。ダーシーは見事にゴールを守り、翌週にはどのみち何が忙しいわけでもない彼らがクラブに現れた。まずは3ラウンドの間だけでもスポーツマンとして閾う精神から叩き直しだ。しぶしぶとつき合い始めたトレイニングだが、少なくとも何もする事がない一日をやり過ごすことができる。彼らは日々クラブに通い始めた。ベニーら3兄弟とナイティー派の対立も次第に薄らいできた。そんな時、地元のギャング、ロニーが肥満の息子トンカを連れてダーシーを訪ねてきた。クラブのスポンサーになる代わりに、喧嘩も弱く気も小さいトンカをみっちり鍛え直してくれというのだ。喜んで引き受けたダーシーにローニーは惜しみなく援助資金をおいていった。
クラブの用具を揃え、残った資金でダーシーはキャンプ合宿を企画した。ウェールズの自然のなかでマリファナでなく新鮮な空気を吸い、予定された試合に向け精神集中するというのだ。ダーシーはいつもとは違う表情を見せる彼らの傍らで、満足げに自分の悪戦苦閾ぶりを日記に綴っている。ウェールズから戻ったころには街では《101ボクシングクラブ》がちょっとした話題になっていた。親たちも地元紙に掲載された息子の写真を見て誇らしげだ。ただかつてはボクサーをめざしたが途中で挫折した過去を持つティムの父親だけはくだらないと猛反対し、いつもに増してティムをなじり、母親に暴カをふるった。
ロニーの援助も実り、クラブでは他の街からのチームと対戦が開催される日がきた。街の人々は大勢クラブに詰めかけ、かつてはくずのように扱っていた若者たちを応援した。盛り上がりも最高潮に達した時、ティムが登場すると彼の父親はののしり、またとない場を台無しにしようとする。そこだけはゆずれなかったダーシーは彼を表に出し無我夢中で殴りつけてしまう。気がついた時には意識を失い横たわったティムの父親がいた。またしてもこれだ。もう後も先もない…。ダーシーは失意のうちに街を後にする…。

スタッフ

監督・脚本: シェーン・メドウス
製作総指揮: スティーブン・ウーレイ
製作: イモジェン・ウエスト
共同脚本: ポール・フレイザー
撮影: アシュレイ・ロウ
美術: ジョン=ポール・ケリー
製作: イモジェン・ウエスト
音楽: ニ一ル・マッコール、ブー・ヒューアダイン

キャスト

ダニー: ボブ・ホスキンス
ティム: ダニー・ナスバウム
ファガッシ: マット・ハンド
ナイティ :ジェイムス・フートン
ガジェット: ジャスティン・ブレディ
ステュアート: カール・コリンズ
トンカ: ジェームス・コーデン
ヤンギー: アンソニ−・クラーク
ダズ: ダレン・キャンベル
ベニー: ジョアン・マイヤース
メギー: ジミー・ハインド
ティムの父親: ブルース・ジョーンズ
ティムの母親: アネット・バッドランド
トンカの父親: フランク・ハーパー
トンカの母親: ジーナ・エリス
ナイテイの父親: コリン・ヒギンズ
ナイテイの母親: マーレン・オグラディ
ジョー: ジョー・ベル
ウッディ(ティムの犬): トビー

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