原題:NO LOOKING BACK

なぜ、うまく なじめないの? 生まれ故郷の町なのに…

1999年度/アメリカ/ビスタビジョン/ドルビーSR/上映時間:1時間35分/配給:20世紀フォックス映画

2000年9月8日よりビデオレンタル開始 2000年5月13日より渋谷シネパレスにて公開

公開初日 2000/05/13

配給会社名 0057

解説

ロバート・レッドフォードが新人育成のために始めたサンタンス映画祭で、95年度グランプリを受賞し、当時27歳だったエドワード・バーンズの第1回製作、監督、脚本、主演作品となる「マクマレン兄弟」の出現は一つの事件だった。
 この映画はさらにフランスのドービル映画祭審査員特別賞、全米プロデューサー協会が新人に贈るゴールデン・ローレルNOVA賞、NAT0/ショーウエスト興行者コンペティションでは最優秀脚本賞を受賞した。
 製作費25.OOOドルの映画がアメリカだけで1000万ドルの輿収をあげ、実に製作費の400倍近い驚異的な利益率の高い映画になり、さらに全世界で上映された。この成功がインディペンデントの映画作家に与えた夢と希望は絶大なものがあった。
 ロバート・レッドフォードは映画製作会社サウス・フォーク・ピクチャーズを設立し、エドワードの第2回監督、主演作品「彼女は最高」を自ら製作総指揮を取って世界に発表したが、ふたたびエドワードの監督、脚本、主演、共同製作で取り組んだ話題作が、この「ノー・ルッキング・バック」である。
 エドワードは、スティーブン・スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」にも重要な役で出演し、俳優としての演技力も高く評価されているが、今回はガールフレンドのクローディアを捨てた故郷のニューヨーク州ロックアウエイ・ビーチの小さな1町に、舞い戻ってきた青年チャーリーを演じる。
 クローディアは、いまはチャーリーの親友でもあったマイケルと同棲し、食堂で働きながら平穏な生活をしていたが、彼の出現で心乱される。夢も失い青春のターニング・ポイントに立たされたクローディアは、二人の男性の間で愛の選択を迫られる。
 クローディアはマイケルに愛されていながら彼との結婚に踏み切れない。一方、妊娠していた自分を捨てた憎んでいたはずのチャーリーに、なぜかまた心惹かれていくのだ。実直型のマイケルと、プレイボーイのチャーリー。性格の違う男との愛はクローディアの自分探しの新しい旅の始まりでもあった。
 クローディアを演じるのは、「ジム・キャリーはMr.ダマー」「乱気流/タービュランス」のローレン・ホリーで、誰もが一度はたどる等身大のラブ・ストーリーを繊細な心理演技で見せて高い評価を得ている。
 マイケルには、カリスマ的な人気を持つロック・シンガーのジョン・ボン・ジョヴィが扮し、演技派スターとしての新生面を開いた好演で、演技賞を受けた「ムーンライト&ヴァレンチノ」についで絶賛されている。
 クローディアの母親を最近は「Xファイル/ザ・ムービー」に助演していたプライス・ダナー、クローディアの姉を「マクマレン兄弟」に出演していたコニー・プリットンが演じる。エドワード作品のもう一つの重要なテーマは”家族関係”だが、生活感情を巧みに描き込む彼の脚本が、今回もドラマに一段と深みを加えている。
 製作のマイケル・ノジックはレッドフォード作品「クイズ・ショウ」「モンタナの風に抱かれて」を製作。プロデューサーのテッド・ホープ、撮影のフランク・フリンジ、編集のスーザン・グラフも「彼女は最高」についでエドワード・バーンズと組んでいる。
 音楽はジョー・デリアが担当しているが、ブルース・スプリングスティーンの「バレンタイン・デイ」「アイム・オン・ファイアー」などの既成曲が効果的に便用されている。
 ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に近い、映画の舞台と同じロッカウェイ・ビーチでロケーションが敢行された。海に面した静かな町で、「この風土が、映画の重要なキャラクターでもある」と監督は言っており、その美しいカメラと共にロケ効果も見逃せない。

ストーリー

 ニューヨーク州ロックアウエイ・ビーチは潮風が吹く静かな呵で、クローディア(ローレン・ホリー)は食堂で働いていた。彼女は幼馴染みのマイケル(ジョン・ボン・ジョヴィ)と同棲していた。結婚を迫るマイケルに、クローディアは決断がつかず拒んでいた。
 クローディアは仲間が集まるバーで、テレサ(ジェニファー・エスポシート)やゴルディ(ニック・サンドウ)たちと会うが、変わりぱえしない会話や、なんの進歩もない惰性で生きている現状に疑問を持っていた。
 クローディアの実家には離婚した姉ケリー(コニー・ブリットン)が戻っており、姉妹の母親(ブライス・ダナー)は6か月前に夫が家を出ていったショックから立ち直れないでいる。出戻りの姉や蒸発した実父のことを思えば、彼女は結婚に踏み切れない。
 そんな時、何年も町を離れていたチャーリー(エドワード・バーンズ)が実家に戻っていると知ったマイケルは、親友だった彼の家を訪ねクローディアと結婚するつもりだと告げる。クローディアはプレイボーイのチャーリーの、かつてのガールフレンドだったのだ。
 自分を捨てて町を出ていったチャーリーの出現に、マイケルの前では冷静さを見せても、クローディアの心には穏やかでないものがあった。彼女はチャーリーの子供を中絶し、その後、二度と子供の生めない体になっていたが、チャーリーはそのことを知らない。
 チャーリーはクローディアの店にやってきた。突っ張るクローディアに「この町を出たいと言っていた夢見る娘はどこへ行った?俺は君に会うために戻った」と告白する。
 「迷惑だわ。平和な生活を乱さないで。私はマイケルと結婚するの」とクローディア。
 チャーリーはガソリンスタンドで働き出したが、マイケルから車の修理を頼まれたと言いクローディアのもとにやってくる。彼女は、マイケルの留守を狙ってやってきたチャーリーの下心を見抜くが、彼は「これからもまとわりつくよ」と言い残し帰って行った。
 クローディアは同僚のアリスから、早くも町ではチャーリーと彼女のことが噂になっているので、注意したほうがいいと忠告される。一方でチャーリーは18歳の大学生アニー(スーザン・プラット)を連れて歩くようになり、クローディアはジェラシーを感じないといえぱ嘘になる微妙な目分の心に気づく。
 あらためてマイケルから結婚を催促されると、クローディアは「結婚したら何を目標に生きれぱいいの?」と疑問を投げ掛ける。「わからない」とマイケル。「だから私もわからないの」と、二人の愛は不確実に揺れ動いていた。
 チャーリーを交えたポーカーで負けたマイケルは、腹癒せに「クローディアに近づくな」と日頃の不満をぶつけた。
 チャーリーは、クローディアに、「俺と一緒に町を出よう」と誘う。「二度と傷つけられるのはいや」という彼女に、「約束するよ。もう絶対に傷つけない。君が必要なんだ」と迫っていた。
 クローディアは母が倒れたという知らせに実家へ駆けつける。家出中の父がラスベガスで新しい愛人ができ、家を譲るから正式に別れてくれといってきたショックからだった。母は「パパが恋しい」とクローディアに言い、チャーリーとの交際はやめるように説得するが、「ママと同じよ。断ち切れないの。マイケルを苦しめたくないけど、もうときめかないのよ。違う生き方をしたいのよ」と自分の本心を打ち明けていた。
 ついにクローディアはチャーリーの誘いを受ける決心をした。ケリーは妹を心配し、「パパが残した忠告のいい言葉の一つよ。”頑張ってもダメなものはダメなんだ”とね。チャーリーはクズよ」。「誤解してるわ。彼は変わったのよ。私に生きる希望をくれたわ」とクローディアは言い残しチャーリーのもとへ駆けつけた。
 モーテルでクローディアはチャーリーに抱かれた。そこで自分がもう子供の出来ない体になったことを彼に初めて告白した。「すまない」と言う彼だが、本心から子供が嫌いだったこともわかった。「子供が欲しい時にもう生めないなんて皮肉ね」ともらしたクローディアの心からは、彼への未練が引き潮のように去っていった。
 その頃、マイケルはクローディアのゆくえを探していたが、朝帰りした彼女にすべてを察知した。クローディアがチャーリーと関係を持ったことを知ったマイケルは悔しさに涙を流し、ついに”別れ”を宣告する。
 クローディアはチャーリーにも別れを告げ、町を出る決心をする。それは彼女にとって新しい自分探しの旅立ちでもあった。

スタッフ

監督・脚本:エドワード・バーンズ
製作:テッド・ホープ、マイケル・ノジック、エドワード・バーンズ
製作総指揮:ロバード・レッド・フォード
共同製作総指揮:ジョン・スロス
ライン・プロデューサー:アリッシー・ベザラー
撮影:フランク・プリンジ
編集:スーザン・グラフ
プロダクション・デザイナー:テレーズ・デブレス
衣裳デザイナー:サラ・ジェーン、スロットニック
音楽:ジョー・デリア

キャスト

クローディア:ローレン・ホリー
チャーリー:エドワード・バーンズ
マイケル:ジョン・ボン・ジョヴィ
クローディアの母:ブライス・ダラー
ケリー:コニー・ブリットン
テレサ:ジェニファー・エスポジート
ゴルディ:ニック・サンドゥ
アリス:カイリ・バーノフ
ライアン夫人:キャサリーン・ドイル
アニー:スーザン・プラット
ミッシー:ウェルカー・ホワイト

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